「走行」と「通行」は、日常生活でよく使われる言葉です。しかし、その違いについてはあまり意識されていないという人が多いです。
実は両者には微妙な違いがあり、使い分けが求められます。この記事では、「走行」と「通行」の意味や使い方をわかりやすく解説していきます。
「走行」の意味
「走行(そうこう)」とは、車両や乗り物が道を進むことを意味します。特に自動車や電車、バスなどが道路を走ることを指して使われます。
この言葉は、「走る」という動詞が基になっており、速度を持って進むことを強調しています。
例えば、車やバイクが道路を走るとき、電車が線路を走るときなどのように、速さが求められる移動手段に関連して使われることが多いです。
また、「走行」はその対象が機械や乗り物である点が特徴です。人が走る場合は「走行」とは言わず、「走る」と言うのが一般的です。
「走行」の具体例
例1: 車の走行
自動車が道路を走っている場合、その動作を「走行」と表現します。「車は1時間に100キロの速さで走行する」といった使い方が典型的です。
例2: 電車の走行
電車がレールを進む際にも「走行」を使います。「電車は定時通りに走行しています」というように、鉄道の運行に関して使われます。
例3: バスの走行
バスが都市を走るシーンでも「走行」という言葉を使います。「朝のラッシュ時、バスが渋滞でスムーズに走行できない」といった使い方です。
「通行」の意味
一方、「通行(つうこう)」は、物や人が道を進むこと、または通ることを意味します。
「通行」は、車両や歩行者、自転車など、あらゆる移動手段に関連して使われます。そのため、「走行」とは異なり、車両以外のものにも使われるのが特徴です。
また、「通行」は、通過すること自体が目的であり、特に速さや運行の管理に重点を置く「走行」とは異なり、より一般的な移動の意味を持っています。
漢字の構成も確認しておくと、「通行」は「通る」と「行く」が組み合わさってできており、何かが物理的に通過する動作を表しています。
「通行」の具体例
例1: 歩行者の通行
歩行者が道を歩くことも「通行」と言います。「通行人の多い交差点」といった使い方です。
例2: 自転車の通行
自転車が道を通る場合も「通行」を使います。「この道は自転車の通行が許可されている」といった使い方です。
例3: 車両の通行
車両が通行する場合でも使われます。「渋滞がひどく、通行が遅れている」というように、交通の流れを表現します。
「走行」と「通行」の違い
「走行」と「通行」は、どちらも移動に関係する言葉ですが、その使い方には明確な違いがあります。以下の表で違いを確認しておきましょう。
「走行」 | 「通行」 | |
---|---|---|
使用対象 | 車両、乗り物 | 歩行者、自転車、車両 |
主な動作 | 走る、移動する | 通る、移動する |
例 | 車の走行、電車の走行 | 歩行者の通行、自転車の通行 |
速度 | 速い、一定の速度 | 速度に関係なく通る |
「走行」は、主に車両が特定の経路を移動することを指します。特に車や電車など、速度を伴う乗り物の移動を表す際に用いられることが多いです。
「車が高速道路を走行する」「電車が安全に走行する」のように、動作そのものや移動中の状態を強調する言葉です。また、「走行距離」という形で移動した距離を示す場合にも使われます。
一方、「通行」は、人や車両が道を通ることを意味します。焦点は「通過する」という行為そのものであり、「この道は車両通行止めです」「歩行者通行可」のように、許可や制限の文脈で使われることもあります。「通行」は、動きの速さや手段には重点を置かず、道を通るかどうかが重要な点です。
つまり、「走行」は移動の動作や状態を表し、「通行」は道を通る行為やその許可・制限を表すという違いがあります。適切に使い分けることで、文脈に合った表現が可能になります。
違いを例文で比較
「走行」の例文
- 車は高速道路を100キロの速度で走行していた。
- 競技場では、ランナーがトラックを走行している。
- 夜間でも電車が安全に走行できるように、線路の照明が設置されている。
- 雨の日でも車は安全に走行できるように、タイヤの状態をチェックすることが大切だ。
- 大型トラックは長距離の走行が続くため、休憩を取りながら移動する。
「通行」の例文
- 道路は広くて車や自転車の通行がしやすい。
- 台風の影響で、通行止めになった道路がいくつかあった。
- 歩行者専用道路では、車両の通行は禁止されています。
- 大雪のため、通行が制限されることがある。
- この橋は、午後4時から7時まで通行止めになります。
「走行」と「通行」の使い分け
- 乗り物の移動には「走行」
車や電車などの乗り物が動く際には「走行」を使います。これは、速度を伴う移動や移動中の状態そのものを強調する場合に適しています。
- 「新幹線が時速300kmで走行する。」
- 「この車は走行距離が10万キロを超えている。」
- 人や乗り物が道を通る行為には「通行」
「通行」は、道を通る行為全般を指し、人や車両に幅広く使えます。また、許可や制限に関する表現でもよく使用されます。
- 「この道路は歩行者の通行を禁止しています。」
- 「工事中のため、一部車両の通行が制限されています。」
- 人に使う場合の違い
人が移動する場合に、まれに「走行」は競技などの特別な状況で使われることがあります。しかし、日常的な歩行には「走行」は使いません。一方、「通行」は、普通に道を歩く行為にも適用されます。
- 「ランナーがマラソンコースを走行する。」(※競技の文脈)
- 「大勢の観光客が通行している。」(※日常的な文脈)
- ルールや制限を伴う場面では「通行」
交通標識や規制などに関する文脈では、「通行」が適切です。「走行」は移動中の動作を表すため、ルールや制限を直接示すことはありません。
- 「雪のため、通行止めになっています。」
- 「歩行者優先道路では車両の通行はできません。」
まとめ
今回は、「走行」と「通行」の違いについて解説しました。
「走行」は、車や電車などの乗り物が移動することを指し、速度や移動の状態を強調する際に使用されます。
一方、「通行」は、道を通る行為全般を表し、乗り物だけでなく歩行者や自転車などにも広く使われます。また、通行は道を利用する許可や制限の文脈でもよく登場します。
これらの違いを押さえて、正しい場面で適切な言葉を選ぶようにしましょう。