止まる 留まる 停まる 違い 使い分け 意味

「止まる」「留まる」「停まる」は、いずれも「とまる」と読む言葉です。ただ、見た目は似ていても使い方はそれぞれ微妙に異なります。

そこで本記事では、それぞれの言葉の意味を、具体例を交えながらわかりやすく解説していきます。正しく使い分けることで、文章力や会話表現がより豊かになるでしょう。

「止まる」の意味

 

止まる」は、「動作、活動、変化などが終わる」という意味を持つ言葉です。

漢字の「止」は、「足あとが止まった状態」を表す象形文字で、動いていたものが静止するイメージがあります。たとえば、歩いていた人が立ち止まる、車が走行をやめるといった動作が「止まる」です。

また、「止まる」は、動きだけでなく、流れていた水や進行していた出来事、心の動きなどにも使うことができます。そのため、「涙が止まる」「話が止まる」「エンジンが止まる」など、日常生活の中でも広く使われます。

このように、「止まる」は、物理的な動作の終わりだけでなく、抽象的な変化の終わりにも使えるのが特徴です。

「止まる」の例文

  1. 赤信号で車が止まるのを待った。
  2. 息をひそめて耳を澄ますと、呼吸が自然に止まる感じがした。
  3. 電池が切れると、時計の針が止まることに気づいた。
  4. あまりにおかしくて、笑いがしばらく止まることはなかった。
  5. 最近、努力しても成長が止まるように思えるときがある。

    「留まる」の意味

     

    留まる」は、「一時的にその場から動かずにいる」「別の場所に移動しない」という意味を持つ言葉です。

    漢字の「留」は「とどめる」や「とどまる」を表し、水をためるという意味から派生しています。

    この言葉は、人や物が物理的にその場所に存在し続ける様子を表す場合もあれば、「心がある場所に留まる」「注意が一点に留まる」など、感情や意識が特定の対象に向けられて動かない様子を表すこともあります。

    特に、「記憶に留まる」「心に留まる」などの比喩的な使い方が多く、抽象的な表現にもよく使われます。人の意志や感情が含まれることが多いのも特徴です。

    「止まる」との違いは、「動きをやめること」よりも、「今いる場所や状態にとどまり続けること」に重点が置かれている点です。

    「留まる」の例文

    1. 彼の言葉を今でもずっと心に留める
    2. お気に入りの写真を壁に留める
    3. 彼は王様の目に留まる活躍を見せた。
    4. 小さなミスなので気に留めることのないように。
    5. 野良猫が目にも留まらぬ速さで逃げ去った。

    「停まる」の意味

     

    停まる」は、「途中で一時的に動作や変化をやめる」という意味を持つ言葉です。

    「停」という漢字には、もともと「旅人が一時的に宿泊する建物」という意味があり、「一時的な停止」というニュアンスが含まれています。

    たとえば、「列車が停まる」「バスが停まる」は、目的地に向かう途中で一時的に止まることを意味します。また、「停電」「停学」などのように、活動やサービスが一時的に中止されることにも使われます。

    「停まる」は常用漢字ではないため、実際の文章に使う際は注意が必要です。公用文や一般的な文章では、「停まる」ではなく、より一般的な「止まる」が使われることが多いです。

    「停まる」の例文

    1. バスが目的地の停留所に停まる
    2. 台風の影響で電車が完全に停まった
    3. 点検のため、機械を一時的に停める
    4. 大型船が、港の岸壁に静かに停まる
    5. 大きな駐車場にトラックを停める

    「止まる」「留まる」「停まる」の違い

    止まる 留まる 停まる 違い

    三つの「とまる」は、いずれも何かが「静止する」ことを意味しますが、焦点となるポイントが異なります。以下の表で違いを比較してみましょう。

    漢字 主な意味 用途例 ニュアンス
    「止まる」 動作・活動・変化が終わる 車が止まる、成長が止まる 動いていたものが静止する
    「留まる」 今いる場所や状態にとどまる 心に留まる、写真を留める その場にとどまり続ける
    「停まる」 一時的に動作・変化をやめる バスが停まる、船が停まる 一時的な停止

    「止まる」「留まる」「停まる」は、いずれも「動いていたものが動かなくなること」を意味しますが、使い方には明確な違いがあります。

    まず「止まる」は、最も広い意味で使われる一般的な表現です。動作や動きが終わることを示し、物理的な動きに限らず、会話や感情、時間の流れなど抽象的な事象にも使われます。たとえば「車が止まる」「涙が止まる」「時が止まったようだ」など、多様な場面で用いられます。

    次に「留まる」は、「ある場所に居続ける」「その場を離れない」という静的な意味合いが強い言葉です。「心に留まる」「記憶に留まる」といった表現では、抽象的な対象に意識や記憶がとどまることを表します。鳥や虫などが木の枝や壁に「とまっている」といった自然な動作にも使われます。

    最後に「停まる」は、主に機械や乗り物などの動作が一時的に中断されることを表します。「駅に電車が停まる」、「エレベーターが停まる」といったように、機械的な動作の一時停止を表す場合によく使われます。「停電」や「停車」などの熟語にも見られるように、特に公共交通や機械系に関わるケースが多いのが特徴です。

    使い分けのポイント

    • 「止まる」は、最も広く使われ、物理的・抽象的な意味でどちらにも適用できる。
    • 「留まる」は、人の心や気持ち、記憶に関わる抽象的な意味で使われることが多い。
    • 「停まる」は、一時的な停止を表すため、機械や交通機関が動きを停止する場面で使われる。

    常用漢字に関しては「止まる」「留まる」が使いやすく、「停まる」はニュースや専門用語などで見られる程度にとどまります。迷ったときは、「一時的かどうか」「心や記憶に関係するか」を意識して選ぶと自然な文章になります。

    まとめ

     

    本記事では、「とまる」の違いについて解説しました。

    「止まる」は最も広い意味で使われ、物理的・抽象的な状況に適用可能です。「留まる」は、主に精神的にその場にとどまることに焦点を当て、「停まる」は一時的な停止に使われます。

    正確な使い分けが難しい場合は、ひらがな表記にするのも一つの手です。文脈に応じた自然な使い方を心がけましょう。

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