
日常生活の中で、「問い」を立てる場面は多くあります。試験問題やアンケート、あるいは会話の中でも、問いかけは重要な役割を果たします。
そんな中でよく似た言葉に「設問」と「質問」がありますが、この二つは同じ意味なのでしょうか?本記事では、両者の違いや使い分けのポイントをわかりやすく解説します。
「設問」の意味
「設問(せつもん)」とは、試験やアンケート、調査などのために、あらかじめ用意された問いを指します。
「設」は「設ける・用意する」という意味を持つことから、この言葉には「目的に応じて計画的に作られた問い」というニュアンスを含みます。
たとえば、教育現場における試験問題の各問いや、市場調査などをする際に調査目的に沿って構成された質問項目を「設問」と呼びます。
「設問」は、発信者(出題者や調査者)の意図が反映された一方通行の問いであり、個人的な疑問や日常会話では通常使われません。
選択式や記述式など形式はさまざまですが、いずれも回答者に特定の情報や意見を引き出すために事前に設計された問いである点が共通しています。
「設問」の例文
以下に、「設問」の使い方を示す例文を5つ紹介します。どれも、事前に構成・用意された問いとして使用されています。
- この調査は、全部で10個の設問から構成されている。
- 設問ごとに配点が異なるため、配分に注意が必要だ。
- 試験の設問に対して、論理的な構成で回答するように心がけた。
- 本調査は、全ての設問にご回答いただく必要があります。
- アンケートの設問を改善し、回答率の向上を図った。
「質問」の意味
「質問(しつもん)」とは、ある事柄に対して疑問を持った人が、その答えを得るために相手に問いかける行為や内容を指します。
日常会話や授業、会議、インタビューなど、さまざまな場面で使われる一般的な言葉です。
「質問」は、基本的に双方向のコミュニケーションで成り立っており、相手からの回答を通じて理解を深めたり、情報を得たりする目的があります。また、その場で思いついて即座に発せられることも多く、臨機応変なやりとりが求められます。
「問う」という漢字が使われている点では「設問」と共通していますが、「質問」は個人的な関心や疑問に基づく能動的な問いかけであることが特徴です。
「質問」の例文
以下に、「質問」が実際に使われる場面を想定した例文を5つ紹介します。疑問を持った人が他者に対して答えを求める形で使われています。
- 会議中に重要なポイントについて質問した。
- 新入社員からの質問に、上司は丁寧に答えた。
- 授業で質問することは、理解を深めるために重要である。
- 質問がある方は、どうぞ挙手をしてください。
- 先生への質問をあらかじめノートに書いておいた。
「設問」と「質問」の違い
「設問」と「質問」の違いは、次のように整理することができます。
項目 | 設問 | 質問 |
---|---|---|
意味 | テストや調査のために用意された問い | 相手に答えを求めて投げかける問い |
使用場面 | 試験、アンケート、課題など | 会話、インタビュー、プレゼンなど |
対象 | 不特定多数 | 特定の相手 |
目的 | 評価・調査 | 情報収集・理解 |
やり取りの性質 | 一方向的 | 双方向的 |
「設問」と「質問」はどちらも「問い」に関する言葉ですが、使われる場面には明確な違いがあります。
「設問」は、主にテストやアンケートなどであらかじめ用意された問いを指します。特定の目的に沿って構成され、解答者に一定の情報や意見を求める形式です。
たとえば、入学試験の国語の問題にある「この文章から筆者の主張を抜き出しなさい」といった問いは「設問」と呼ばれます。基本的に一方向的で、出題者が意図的に設定したものです。
一方、「質問」は会話や議論、インタビューなどの場面で、疑問や確認のために相手に投げかける問いを指します。回答者の反応を前提としており、双方向のやり取りが想定されています。
たとえば、「何食べたい?」「いつ帰って来るの?」というような対話の中の問いが「質問」です。
このように、「設問」はあらかじめ決められた問い、「質問」は会話や意思疎通の中で生まれる問いという違いがあります。文脈に応じて使い分けることが重要です。
「設問」と「質問」の使い分け
「設問」と「質問」は、用途に応じて次のように使い分けることが大切です。
①試験やアンケート、調査に関する問いの場合⇒「設問」
入試問題、満足度調査、就職試験の記述式問題などでは「設問」という言葉を使います。出題者が設計した問いである点がポイントです。
②会話や会議、授業などで相手に直接答えを求める場合⇒「質問」
上司に業務内容を尋ねたり、プレゼンの内容に疑問を持って発言したりする際には「質問」を使います。
③ビジネスメールや議事録などで問いを表現する場合⇒「設問」と「質問」の両方
この場合は、文脈に応じて「設問」と「質問」を使い分ける必要があります。たとえば、アンケートの依頼文では「設問」、Q&Aコーナーなどでは「質問」が自然です。
迷ったときは、一方的に出される問いは「設問」、対話の中で生まれる問いは「質問」と判断するとよいです。
まとめ
今回は、「設問」と「質問」の違いを解説しました。
「設問」は、一方向的で事前に用意された問いを指し、主に評価や調査のために使われます。一方、「質問」は、対話の中で生じる双方向的な問いで、相手の答えや反応を期待して行われます。
それぞれの意味を正しく理解し、誤解のないように使い分けていきましょう。
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