
日常生活の中でよく見かける「お知らせ」や「案内」。それらには、「掲示」や「表示」といった言葉が使われています。
しかし、この2つの言葉は意味が似ていているため、使い分けが難しいと感じる場面が多いです。そこで本記事では、「掲示」と「表示」の意味の違いをわかりやすく解説していきます。
「掲示」の意味
「掲示(けいじ)」とは、文書や案内などの内容を紙や掲示板に貼り出して、人に知らせることを指します。
この言葉には、公的な場面や公式な情報の告知といったニュアンスが含まれます。
たとえば、学校の掲示板に貼られる行事予定や、役所の入口に掲示される案内文、企業内の通達などがその典型です。
掲示される内容は、多くの場合が長文であり、ある程度の文章量を通して詳細な情報を伝えることが目的です。そのため、「掲示」は特定の範囲に属する人々に対して、やや改まった方法で情報を伝える場面に用いられます。
また、「掲示物」「掲示板」といった形で使われることも多く、目立つ場所に貼るという点が重要な要素となります。
「掲示」の例文
- 学校では、行事の予定が毎月掲示されている。
- 会社の食堂に、今月のメニュー表が掲示されていた。
- 公園に「ゴミは持ち帰りましょう」と掲示されていた。
- 掲示板に、新しい人事異動の内容が書かれていた。
- 市役所の入口に、災害時の避難場所についての案内が掲示されていた。
「表示」の意味
「表示(ひょうじ)」とは、情報や数値、記号などを目に見える形で示すことを意味します。
たとえば、道路標識、商品の価格ラベル、電化製品の画面に表示される数値など、さまざまな場面で使われています。
表示される内容は、文字だけでなく、数字やマーク、図なども含まれ、視覚的にすばやく理解できるのが特徴です。
また、「表示」は状況や状態を伝える目的でも用いられます。たとえば、スマートフォンの電池残量や交通信号の色などがその例です。
「表示」は日常生活の中で公的・私的を問わず幅広く使われており、情報を簡潔に、瞬時に伝えることを目的としています。この点が、掲示板などに文章で示す「掲示」との大きな違いです。
「表示」の例文
- 冷蔵庫の温度が、パネルに数字で表示されている。
- 駅の案内板に、次の電車の発車時刻が表示された。
- パソコンの画面に、エラーメッセージが表示された。
- 商品のパッケージに、原材料と賞味期限が表示されている。
- スマートフォンに、バッテリーの残量がパーセントで表示された。
「掲示」と「表示」の違い
「掲示」と「表示」の違いは、次のように整理することができます。
項目 | 掲示 | 表示 |
---|---|---|
意味 | 文書やお知らせを掲げること | 情報や状態を視覚的に示すこと |
用途 | 公的なお知らせ、案内など | 数値、マーク、状態の表示 |
使用場面 | 学校、役所、会社など | 店舗、機器、画面など |
内容の傾向 | 長文、文書形式 | 簡潔な情報、記号や数値 |
一時性・恒常性 | 一定期間掲示されることが多い | 状況に応じて変化することが多い |
「掲示」は、紙や掲示板などに文書やお知らせを貼り、不特定多数の人に伝えることを指します。
主に学校、役所、会社などで使われ、公的・公式なニュアンスがあります。内容は、予定表や注意事項、案内など、比較的長文になることが多いです。
一方、「表示」とは、情報・内容・状態などを見えるようにすることを意味します。看板や電光掲示板、画面上のマークなど、視覚的に情報を示す手段です。
主に、「価格を表示する」「残量を表示する」など、数値や記号、簡潔な情報が対象になることが多く、日常生活のあらゆる場面で使われます。
このように、「掲示」は「掲げて知らせる」、「表示」は「見える形で示す」という点で明確な違いがあります。
「掲示」と「表示」の使い分け
それでは、具体的にどのように「掲示」と「表示」を使い分ければよいのでしょうか。以下のように、場面ごとに整理します。
①公的な内容を紙や掲示板に知らせたい場合 ⇒ 「掲示」
公式なお知らせや注意事項を、不特定多数に見せるために貼り出すときは「掲示」を使います。たとえば、学校で生徒に向けて試験日程を知らせる際には「掲示」が適しています。
②数値や状態、マークなどを画面や看板で伝える場合 ⇒ 「表示」
電化製品のパネル、交通表示板、価格タグなど、視覚的な簡潔さが求められるときには「表示」が適しています。たとえば、電車の発車時刻をホームのモニターに映すときは「表示」です。
③文章よりも、瞬時に意味が伝わる形式で示す場合 ⇒ 「表示」
数秒で情報を理解してもらいたいときは「表示」のほうが自然です。道路標識や警告ラベルなど、目に入ってすぐ伝わることが重視されます。
それぞれの言葉には明確な場面があり、「表示」の方がより広い分野で使われる傾向があります。特にデジタル化が進む中で「表示」の使用頻度は増えていますが、公的機関や教育現場では今も「掲示」が重視されています。
まとめ
本記事では、「掲示」と「表示」の違いを解説しました。どちらも「情報を伝える」という目的は共通していますが、手段や内容、使用される場面に大きな違いがあります。
文章で告知する場合は「掲示」、記号や数字など視覚的に示す場合は「表示」と覚えておくと、実務でも役立ちます。正しく使い分けることで、相手に誤解なく情報を伝えることができるでしょう。
※この記事を読んだ後は、以下の関連記事もおすすめです。