上映 公開 違い 意味 使い分け

「上映」と「公開」は、映画に関する話題の中でよく登場する言葉です。どちらも似たような場面で使われるため、同じ意味だと思ってしまう人も少なくありません。

しかし、実際にはそれぞれの言葉には異なるニュアンスや使い方が存在します。本記事では、「上映」と「公開」の違いを分かりやすく解説していきます。

「上映」の意味

 

上映(じょうえい)」とは、映画や映像作品をスクリーンに映して観客に見せることを指します。

これは行為そのものを表す言葉であり、規模の大小や対象は問いません。たとえば、映画館での商業的な上映もあれば、地域の文化イベントや学校の講堂で行われる一度きりの上映会も「上映」と呼ばれます。

つまり、「上映」は映画が実際に映されている状態に焦点を当てた言葉です。映画館で「上映中」と表示されているときも、それは今まさにスクリーンで映画が流れていることを示しています。

また、「上映」は、必ずしも不特定多数に向ける必要はありません。数十人の小規模な集まりでも「上映」と呼ぶことができるため、言葉の範囲は比較的広いといえます。

「上映」の例文

以下は、「上映」を使った例文です。

  1. 地域の文化ホールでは、名作映画を1日限定で上映した。
  2. 新作映画が全国の映画館で同時に上映され、多くの観客が訪れた。
  3. 学校の体育館で、教育映画が上映され、生徒たちは熱心に見入っていた。
  4. その映画は深夜に特別上映され、ファンの間で話題になった。
  5. 博物館では、展示の一環として短編映像作品が上映されている。

「公開」の意味

 

公開(こうかい)」とは、不特定多数の人々に対して情報や作品を広く示すことを意味します。

映画における「公開」は、作品が正式に一般の人々に向けて披露され、誰でも観ることができる状態に置かれることを指します。

たとえば、映画会社が「〇月〇日に公開」と発表した場合は、その日から全国の映画館で誰でも作品を観ることができる状態になる、という意味を持ちます。

また「公開」は、映画以外にも「情報公開」「一般公開」「美術展の公開」など幅広く使える言葉です。共通するのは「制限されていたものが一般に開放される」というニュアンスであり、この点が「上映」と大きく異なります。

「公開」の例文

以下は、「公開」を使った例文です。

  1. 話題の新作映画がついに公開され、初日から大勢の観客が詰めかけた。
  2. 限定的に公開された作品は、一部の映画館でしか見ることができなかった。
  3. 制作が遅れていた映画が、予定より半年遅れて公開されることになった。
  4. その映画の公開初週の興行収入は、歴代トップに迫る勢いだった。
  5. ネット上で短編映画が無料で公開され、多くのユーザーに視聴された。

「上映」と「公開」の違い

上映 公開 違い

「上映」と「公開」の違いは、次のように整理することができます。

項目 上映 公開
意味 映画をスクリーンに映して観客に見せる 映画を一般に向けて解禁し、鑑賞できる状態にする
対象 特定の会場・イベント・映画館 全国規模や一定期間の公式な映画館網
視点 行為・実施の側面 制度・解禁の側面
例文 「地域のホールで名作映画を上映する」 「話題の新作映画が公開される」

「上映」とは、映画館やホールなどで映画をスクリーンに映し、観客に見せることを指します。

つまり、映画を「実際に流している状態」を意味し、規模の大小は問いません。全国一斉ロードショーもあれば、地域のイベントで一度だけ上映されるケースも含まれます。

一方で、「公開」とは、映画を広く一般に向けて鑑賞できるようにすることを指します。

映画会社が決めた日から、多くの人が映画館でチケットを買い、その作品を見られるようにする行為を「公開」と呼びます。つまり、映画が公式に世に出て人々に開放されることを意味しており、継続的かつ大規模なスケジュールを伴うのが一般的です。

このように、「上映」は映画の実施行為そのものを表すのに対し、「公開」は映画を社会的に開放する制度的・公式な側面を表します。

したがって、「新作映画が公開される」と言えば、全国で映画が観られる状態が始まることを指し、「映画館で上映される」と言えば、特定の場所で実際に映画が映されることを指します。

「上映」と「公開」の使い分け

 

それでは、実際に両者をどのように使い分ければよいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け方を簡単に示します。

①映画館で作品が流れている場合 ⇒ 「上映」

映画館やホールで実際にスクリーンに映しているときは「上映」を使います。

例:「この映画は、夜7時から上映される。」

②映画が公式に解禁される場合 ⇒ 「公開」

映画会社や配給会社が定めた日から、一般の人が観られるようになるときは「公開」を使います。

例:「新作映画が、来週から公開される。」

③限定的なイベントや一時的な鑑賞会の場合 ⇒ 「上映」

試写会や特別イベントなどで一度きり映される場合は「上映」を使います。

例:「昨日は、先行上映会が行われた。」

※「上映」は場所や時間と結びつきやすい言葉、「公開」は作品の解禁や社会的な広がりを表す言葉と覚えておくとよいです。

まとめ

 

この記事では、「上映」と「公開」の違いを解説しました。

「上映」は映画を実際にスクリーンで映して観客に見せる行為を指し、「公開」は映画を一般に解禁して鑑賞可能にすることを意味します。

両者は似ていますが、対象や使われ方に明確な違いがあります。今後、映画の話をするときにぜひ意識してみてください。