「秋田犬」を「アキタイヌ」と読むのか、それとも「アキタケン」と読むのか疑問に思ったことはないでしょうか?これは「秋田犬」以外にも、「柴犬」や「土佐犬」などの他の日本犬にも当てはまる疑問です。
実はこれらの「犬」の呼び方には一定の傾向があるようです。今回は、「犬」という漢字の読み方について詳しく解説していきます。
「イヌ」と「ケン」の基本的な違い
「イヌ」とは?
「イヌ」は、犬という動物そのものを指す際に使われる言葉です。たとえば、ペットとしての犬や一般的な犬全般について話すときに「イヌ」と読むのが自然です。
例文:
- 私の家では小さなイヌを飼っています。
- 野原で数匹のイヌが遊んでいました。
- この映画には可愛いイヌが出てきます。
- イヌは忠実な動物として知られています。
- イヌと散歩するのが日課です。
「ケン」とは?
一方、「ケン」は、専門用語や熟語で使われることが多い読み方です。特に学術的な文脈や動物の品種名、四字熟語などで「ケン」と読む場合があります。
例文:
- その警察ケンはとても賢い。
- 日本犬は「にほんケン」と読みます。
- ケン種ごとに特徴があります。
- 養ケン場で働いている人に話を聞きました。
- ケン舎の環境はしっかり管理されています。
どちらを使うべき?場面別の使い分け方
読み方を選ぶ際には、文章の内容によって使い分けることが重要です。以下に具体的な場面ごとのポイントをまとめました。
1. 「犬」単体として使う場合
「犬」という言葉のみで使う場合は、「イヌ」と読むのが一般的です。
例:「昨日、公園でかわいい犬(イヌ)を見たよ。」→ 「ケンを見たとは言わない。」
2. 正式な文脈の場合
正式な文章として使うような場合は「ケン」と読む場合が多いです。
例:「災害により救助犬(きゅうじょけん)が派遣されました。」→ 正式な文章として適している。
3. 熟語や四字熟語の場合
「ケン」は熟語や四字熟語の一部としてよく使われます。以下はその例です。
- 愛犬家(あいけんか):犬を大切にする人を指す言葉。
- 猛犬注意(もうけんちゅうい):危険な犬がいる場所で使われる標識。
- 盲導犬(もうどうけん):視覚障害者を補助する犬。
これらの言葉を「イヌ」と呼ぶようなことは基本的にありません。
「秋田犬」は「アキタケン」か「アキタイヌ」か
「秋田犬」と書いたときに、「アキタケン」と「アキタイヌ」のどちらで読むのかという問題があります。
実は、地元の秋田県では伝統的に「アキタイヌ」と呼んでいるようです。公益社団法人である「秋田犬保存会」も「秋田イヌ保存会」という名称を付けています。
こうしたことから、辞書によっては”「秋田ケン」とも言うが、正式には「秋田イヌ」だ。”などと書いているものもあります。
同じように、古くから「柴犬」も「シバイヌ」、「土佐犬」も「トサイヌ」と呼ばれてきました。
そのため、基本的にはこれらの日本犬は「イヌ」と読むのが正式な読み方ということになります。
ところが、NHK放送文化研究所が以前に「〇〇犬」をどう読むかという調査をしたところ、次のような結果が出ました。
- 「秋田犬」⇒「アキタケン(95%)」「アキタイヌ(5%)」
- 「土佐犬」⇒「トサケン(79%)」「トサイヌ(21%)」
- 「柴犬」⇒「シバケン(52%)」「シバイヌ(48%)」
秋田と土佐は「~ケン」と呼ぶことが圧倒的に多く、柴犬だけは半々に分かれるという結果になっています。
地元などでは、伝統的に呼ばれてきた呼び方と、一般に定着している呼び方が一定していないことが分かります。
マスメディアなどの放送業界では、こうした傾向も踏まえ、秋田・土佐は基本的に伝統の「イヌ」と読みますが、「ケン」と読むこともあるようです。
「イヌ」と「ケン」で読み方が異なる理由
なぜ伝統的な「〇〇イヌ」ではなく、「○○ケン」と呼ぶ人が多いのでしょうか?これは、呼びやすさや語呂、語感のよさによるものが大きいと考えられます。
例えば、公益社団法人である「日本犬保存会」は、元々は「日本イヌ保存会」でしたが、「〇〇ケン」という呼び方が定着してきたのを受けて、その後に「日本ケン保存会」へと名称を変えました。
日本犬以外でも、「シェパード犬」「セントバーナード犬」などの洋犬も、語呂のよさから「ケン」と読むのが一般的です。
また、日本犬でも元々「ケン」と呼ぶような場合もあります。例えば、「北海道犬」は「ホッカイドウケン」と呼ぶことが多いです。また、「紀州犬」も「キシュウケン」と読むのが慣用的です。
「甲斐犬」も「カイケン」と呼ばれることが多いですが、この場合は「カイイヌ」と言うと、「飼い犬(ペット)」と混同してまぎらわしいので、それを避けるために「カイケン」と呼んでいるようです。
いずれにせよ、「〇〇イヌ」「○○ケン」の両方の呼び方が存在しますが、「〇〇イヌ」と読むのが正式な読み方、「○○ケン」は慣用的な読み方というパターンが多いです。
状況に応じて、これらの言葉を使い分けるのが適切だと言えるでしょう。
まとめ
「〇〇犬」の読み方には「イヌ」と「ケン」の二通りがあり、正式な場面では「イヌ」、慣用的には「ケン」と使い分けられることが多いです。
例えば「秋田犬」は地元では「アキタイヌ」と読むのが伝統的ですが、一般的には「アキタケン」と読む人が圧倒的に多い傾向があります。他にも「土佐犬」は「トサケン」、「柴犬」は「シバケン」と呼ばれることが一般的です。
公式な場面では「イヌ」を使いつつ、日常や慣用では「ケン」を選ぶなど、状況に応じた使い分けをするようにしましょう。