在留カード 外国人登録証明書 違い 意味 使い方

「在留カード」と「外国人登録証明書」は、どちらも日本に滞在する外国人に使われる言葉です。しかし、この二つはまったく同じものではなく、役割に違いがあります。

そのため、意味を正しく理解していないと、普段の手続きで誤解を招くことになりかねません。本記事ではそれぞれの違いを、具体例を使いながらわかりやすく解説していきます。

「在留カード」の意味

 

在留カード」とは、本に中長期的に在留する外国人に交付される、法務省(出入国在留管理庁)が発行する身分証明書です。

このカードには、氏名、生年月日、性別、国籍・地域といった基本情報に加えて、「在留資格」「在留期間」「就労の可否」といった重要な在留管理情報が記載されます。

また、カードにはICチップが搭載され、偽造防止や本人確認の正確性が高められています。

さらに、外国人も住民基本台帳に記録されるようになったため、住民票の発行や行政サービスの利用が日本人と同様に行えるようになりました。

その結果、在留カードは単なる身分証明書にとどまらず、日本で生活するために不可欠な基盤となっています。

「在留カード」の例文

  1. 彼は、銀行口座を開設するために在留カードを提示した。
  2. 留学生は、大学の事務室で在留カードを提出して手続きを進めた。
  3. 彼女は、会社の採用面接で在留カードを確認された。
  4. 市役所での手続きの際、在留カードを見せるよう求められた。
  5. アルバイトの採用時、雇用主は在留カードの有効期限を確認した。

「外国人登録証明書」の意味

 

外国人登録証明書」とは、かつて日本に在留する外国人が所持していた身分証明書です。

2012年7月に廃止された外国人登録制度のもとで交付されており、一般には「外登証(がいとうしょう)」とも呼ばれていました。

この証明書は市区町村に登録を申請することで交付され、基本的な個人情報のほかに住所や国籍が記録されていました。

しかし、在留資格や在留期間といった法的な在留管理情報については必ずしも最新の状態が反映されず、自治体ごとに管理されていた点が課題でした。

そのため、外国人登録証明書は本人確認書類としては機能していたものの、入管行政と密接に連動する仕組みにはなっていませんでした。制度改正後は在留カードに一本化され、現在は利用されていません。

「外国人登録証明書」の例文

  1. 以前は、外国人登録証明書を携帯していなければならなかった。
  2. 昔は、市役所で外国人登録証明書を受け取っていた。
  3. 外国人登録証明書は、在留カードが導入される前に使われていた。
  4. 当時、外国人登録証明書は本人確認のために必要とされた。
  5. 制度改正によって、外国人登録証明書は廃止された。

「在留カード」と「外国人登録証明書」の違い

在留カード 外国人登録証明書 違い

「在留カード」と「外国人登録証明書」の違いは、次のように整理することができます。

項目 外国人登録証明書 在留カード
制度 外国人登録制度(2012年廃止) 新在留管理制度(2012年導入)
発行主体 市区町村 出入国在留管理庁(法務省)
情報内容 氏名・住所・国籍など 氏名・住所・国籍・在留資格・在留期間・就労可否など
管理方式 自治体ごとに管理 国による一元管理
技術 紙製カード中心 ICチップ搭載のプラスチックカード
住民票 外国人は対象外 外国人も住民票に登録可能

「外国人登録証明書」は市区町村ごとの管理だったため、情報の更新や在留資格との連動が不十分でした。そのため、制度全体として効率性や正確性に課題がありました。

これに対し、「在留カード」は国が一元的に管理し、在留資格や在留期間といった法的地位が常に最新情報として反映される仕組みになっています。

さらに、住民基本台帳制度に外国人が組み込まれたことで、行政サービスの利用が日本人と同じ仕組みになり、利便性が向上しました。

このように、「外国人登録証明書」は自治体主体でやや限定的な管理だったのに対し、「在留カード」は国の一元的管理のもと、最新情報を反映しつつ多様な行政サービスと連動できる点が大きな違いです。

つまり、外国人登録証明書は過去の仕組みに基づく証明書であり、現在は在留カードがその役割を担っているということです。

「在留カード」と「外国人登録証明書」の使い分け

 

それでは、実際に両者をどのように使い分ければよいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け方を簡単に示します。

① 現在の制度について説明するとき ⇒「在留カード」

現在の在留管理制度では、「在留カード」を使います。役所や会社で外国人の本人確認をする場合には在留カードが基準となります。

② 過去の制度について言及するとき ⇒「外国人登録証明書」

2012年以前の仕組みを説明するときは「外国人登録証明書」を使います。歴史的な経緯や制度改正を解説する場合などに用いられます。

③ 制度比較をするとき ⇒「在留カード」と「外国人登録証明書」

両者を比較して違いを示す場合は、二つの語を並べて説明します。記事やレポートで制度の変遷を解説するときに適しています。

まとめ

 

この記事では、「在留カード」と「外国人登録証明書」の違いを解説しました。

「外国人登録証明書」は過去の制度に基づくもので、すでに廃止されています。一方、「在留カード」は現在の在留管理制度の中心的な役割を担い、行政手続きや生活の場面で欠かせない存在となっています。

両者の違いを正しく理解し、場面に応じて適切に使い分けることが大切です。

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