
「どのような」と「どんな」は、どちらも物事の状態を問う場面で使われる言葉です。しかし、両者には微妙なニュアンスの違いがあるため、使い方を誤ると不自然に聞こえてしまうこともあります。
日常会話では気軽に使える一方で、ビジネス文書や公式な説明の中では表現を選ぶ必要が出てきます。本記事ではそれぞれの意味を、具体例を使いながらわかりやすく解説していきます。
「どのような」の意味
「どのような」とは、丁寧で改まった表現として用いられる言葉です。特に公的な場面やビジネス上のやり取りで多く見られます。
意味としては「どんな」と大きく変わりませんが、言葉の響きに堅さや丁寧さが加わる点が特徴です。
たとえば、役所での手続きや会社での正式な依頼の際に「どのような資料が必要ですか」と聞くと、礼儀正しく相手に尋ねる印象になります。
逆にこの場面で「どんな資料が必要ですか」と聞くと、少しくだけた印象になり、場合によっては不適切に感じられることがあります。
また、会話ではなく文章においても「どのような」は多用されます。学術論文や説明書、ビジネスレポートなどでは、フォーマルな文体を保つために「どのような方法で進めますか」「どのような結果が考えられますか」といった表現が使われます。
したがって、「どのような」は、相手に対する敬意を示しつつ、状況や性質をたずねる場面で有効な言葉だといえます。
「どのような」の例文
- 私たちは、どのような方法でこの課題に取り組むべきでしょうか。
- 会議では、どのような意見が出されたのかを記録しておく必要があります。
- この企画には、どのような効果が期待できるのかを検討してください。
- 新しい制度では、どのような人が対象になるのでしょうか。
- アンケートでは、どのような点に不満を感じているのかを明確にしました。
「どんな」の意味
「どんな」とは、日常的でくだけた言い方として用いられる言葉です。
意味自体は「どのような」とほぼ同じで、性質や状態を問う際に使われます。ただし、口語的で柔らかい響きを持ち、気軽な会話に適しています。
たとえば、友人同士のやりとりでは「どんな映画が好き?」「どんな服を買ったの?」といったように自然に使えます。
ビジネスシーンでも口頭でのやり取りなら問題なく使われますが、公式文書や改まったメールでは避けられることが多いです。
また、「どんな」は相手に親しみを与える言葉でもあります。子どもとの会話や、カジュアルな接客場面では「どんな本を読みたいの?」のように使うことで、柔らかく質問できます。
つまり「どんな」は、相手との距離感を縮める効果を持つ言葉だといえます。
「どんな」の例文
- あなたは、どんな音楽をよく聴きますか。
- 今日は、どんな出来事がありましたか。
- 子どもたちは、どんな遊びをするのが好きなのでしょうか。
- 彼は、どんな人ともすぐに仲良くなれます。
- 明日の天気は、どんな感じになりそうですか。
「どのような」と「どんな」の違い
「どのような」と「どんな」の違いは、次のように整理することができます。
項目 | どのような | どんな |
---|---|---|
ニュアンス・特徴 | 丁寧・改まった表現、やや硬い印象 | くだけた表現、口語的で自然 |
使用場面 | ビジネス、公的文書、説明文 | 日常会話、カジュアルな文章 |
適する文体 | 書き言葉に適している | 話し言葉に適している |
例文 | どのような手続きが必要ですか。 | どんな本が好き? |
両者の意味自体は大きく変わりませんが、場面によって選び方が異なります。
「どのような」は、丁寧さが求められるビジネスや公的なやり取りに適しており、相手に敬意を払うニュアンスを含みます。文章としても違和感なく使用できるため、改まった書き言葉で多用されます。
一方で、「どんな」は、日常会話やカジュアルな文章で自然に使える表現です。柔らかさがあり、相手との距離感を縮めたいときに適しています。
したがって、両者は「意味は同じだがフォーマル度が異なる」という違いで整理できます。丁寧さやフォーマルさが求められる場では「どのような」、親しい関係や口語的表現では「どんな」を使うと自然になります。
「どのような」と「どんな」の使い分け
それでは、実際に両者をどのように使い分ければよいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け方を簡単に示します。
① ビジネスメールや公的文書の場合 ⇒ 「どのような」
改まったやり取りのときは「どのような」を使います。たとえば、「どのような資料を提出すればよろしいでしょうか」といった表現は、相手に失礼がなく丁寧な印象を与えます。
② 日常会話やカジュアルな文章の場合 ⇒ 「どんな」
親しい相手との会話や、ブログ・SNSのようなカジュアルな文章では「どんな」が自然です。たとえば、「どんな映画を観たい?」のように、気軽に使えるのが特徴です。
③ プレゼンや説明文の場合 ⇒ 「どのような」
人前で発表する場面や資料に書く場合は「どのような」を使います。たとえば、「どのような成果が得られるか説明します」と言うと、説得力があり、聞き手に信頼感を与えます。
※「どんな」は書き言葉ではくだけすぎる印象を与える場合があるため、文書では基本的に「どのような」を使うのが無難です。
まとめ
本記事では、「どのような」と「どんな」の違いを解説しました。
「どのような」は、丁寧で改まった響きを持ち、ビジネスや公的な文章で多用されます。一方、「どんな」は、親しみやすく、日常会話やカジュアルな文章で自然に使える表現です。
状況に応じて両者を使い分けることで、相手と円滑なコミュニケーションができるようになるでしょう。
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