
新年のあいさつとしてよく使われる「新年明けましておめでとうございます。」。しかし近年、「この表現は誤りなのでは?」「重複表現では?」といった指摘を耳にする人も多いです。
実際、国語的に正しいのか、ビジネスメールでも使ってよいのか、いつまで使うべきかなど、気になるポイントはいくつか存在します。本記事では、誤用とされる理由や正しい意味、ビジネスでの使い方などを分かりやすく解説します。
「新年明けまして」は誤用か?
まず、「新年明けましておめでとうございます。」という表現が「誤り」と指摘される理由を確認しましょう。最大のポイントは、「新年」と「明けまして」がどちらも“年が明ける”という意味を含むため、重複表現に見えることです。
「新年」は「新しい年になった時期」を指し、「明けまして」は「年が明ける」という動作を表す言葉です。よって、直訳すると「年が明けて年が明けておめでとう」となるため、日本語に厳しい立場からは「本来は不自然」とされがちです。
しかしながら、文化庁や国語辞典の現状を踏まえると、誤用と言い切るのは行き過ぎです。なぜなら、この挨拶は長年慣用句として使われてきており、日常的な表現としては問題視されていないからです。
「明けましておめでとうございます。」の前に「新年」や「謹賀新年」を添える賀詞表現は一般的で、書き言葉でも広く定着しています。つまり、厳密には重複だとしても、実際には「慣用的に使ってよい表現」というのが現代日本語の立ち位置です。
ビジネスの世界でも誤解を与えることはほとんどなく、取引先のメールや文書でも広く用いられています。
ただし、フォーマルさを重視する場では「明けましておめでとうございます。」とするか、「新年おめでとうございます。」のように簡潔にまとめた方が品位を保ちやすい場合もあります。このあたりは企業文化や相手との関係性で調整するとよいでしょう。
「新年」と「明けまして」の意味
ここでは、「新年」と「明けまして」の意味を整理しつつ、あいさつ文を正しく書く方法を解説します。
「新年」は名詞であり、「年が改まった時期そのもの」を示します。これに対して「明けまして」は動詞「明ける」の連用形が変化した挨拶語で、「年が明けるという出来事が起きたこと」を示します。
この2つは文法的な機能が異なるため、本来は両方を並べる必要はありません。しかし、新年の挨拶では「謹賀新年」「謹んで新春のお慶びを申し上げます。」といった格式高い賀詞が数多く存在し、同じように「新年」を冠した文章が使用されます。
同時に「明けましておめでとうございます。」は口語でも書き言葉でも広く浸透した挨拶であり、この2つが合わさった「新年明けましておめでとうございます。」も自然と普及してきたという流れがあります。
ビジネスメールの場合、「賀詞+定型挨拶」の構造を取るのが一般的です。例えば、以下のような形です。
- 謹賀新年
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 - 明けましておめでとうございます。
旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
このように、一文に両方を詰め込むよりも、行を分けて使うと読みやすく、誤解が少ない丁寧な表現になります。ビジネス文書では相手の読みやすさを優先することが大切であるため、簡潔で整った文章構成を意識すると良いでしょう。
ビジネスメールでの使い方と英語例

ビジネスメールで「新年明けましておめでとうございます。」を使う際の注意点は、相手企業の文化やフォーマル度を意識することです。
近年は重複表現を避ける風潮もあり、ビジネス文書では「明けましておめでとうございます。」のみが推奨されるケースも増えました。特に、官公庁や大企業のように文書規定がしっかりしている相手には、より簡潔な表現の方が安全です。
また、ビジネスメールでは、新年の挨拶のあとに「旧年中はお世話になりました」などの一文を必ず添えることが基本とされています。単なる挨拶で終わらせず、前年度の感謝と今年の抱負や関係維持の意志を示すことで、よりビジネスらしい礼節のある文章になります。
英語での新年の挨拶についても触れておきましょう。英語圏では「Happy New Year!」が最も一般的ですが、ビジネス向けには次のような表現が好まれます。
- Happy New Year. I look forward to working with you again this year.
- Wishing you a wonderful year ahead.
- Thank you for your continued support last year.
日本語と同様に、英語でも「新しい一年もよろしく」という意識を添えた文章が丁寧です。海外の取引先へメールを送る際には、季節的な表現を簡潔にまとめると、読みやすく気持ちの良い挨拶になります。
新年の挨拶はいつまで有効か?
最後に、「新年の挨拶はいつまで使うべきか?」という疑問について解説します。ビジネスの世界では、初出社のメールや取引先への連絡をする際にタイミングが重要になるため、この点は押さえておきましょう。
一般的には、地域差はありますが「松の内」と呼ばれる期間が判断基準となります。関東では1月7日、関西では1月15日までとされることが多いです。
つまり、「明けましておめでとうございます。」という挨拶が自然に使えるのは、概ねこれらの期間中です。ただし、ビジネス上では初めて連絡を取るタイミングが遅れたとしても、1月中であれば「遅ればせながら、本年もよろしくお願いいたします。」のような別の表現で対応できます。無理に「明けましておめでとうございます。」を使い続ける必要はありません。
また、1月下旬以降は年始の挨拶よりも、通常業務の話題や本題を優先する方が自然です。特に初めての取引や海外企業とのコミュニケーションでは、形式張った挨拶よりも実利的な連絡内容が好まれます。ビジネスにおけるコミュニケーションは相手の負担を減らし、効率的に行うことが基本であるため、時期に応じて挨拶の形を柔軟に変更しましょう。
まとめ
「新年明けましておめでとうございます。」は、文法的には重複表現とされるものの、慣用句として広く受け入れられた挨拶であり、誤用と断じるものではないです。ビジネスメールでは簡潔にした方が良い場合もありますが、適切に使えば失礼にはなりません。
英語表現や使える時期を理解しておくことで、年始の挨拶をよりスマートに行えるようになります。文化的背景と現代的な使い方を踏まえて、状況に応じた適切な表現を選ぶことが大切です。
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