あがる のぼる 違い 使い分け 意味

「あがる」と「のぼる」は、どちらも「上に行く」という意味を持つ言葉です。しかし、その使い方やニュアンスには微妙な違いがあります。

日常会話では意外と混同して使われることが多いため、正しい使い分けを知っておくと役立ちます。この記事では、「あがる」と「のぼる」の違いを詳しく解説し、その使い分けについて紹介していきます。

「あがる」の意味

 

あがる」は、低い位置・段階から高い位置・段階に移ることを意味します。「あがる」は、そこへの到達という「結果」に重点が置かれる言葉です。

例えば、一階から階段をのぼって二階へ到達したときに「階段をあがる」と言います。また、感情が上昇し、結果的に気持ちが高揚した時は「気分があがる」「テンションがあがる」などと言います。

また、物理的な動きだけでなく、感情や状態の変化にも使われるのが「あがる」という言葉の特徴です。

「あがる」の例文

  1. 階段をあがる – 階段をのぼり、上に到達することが強調される。
  2. 成績があがる – 成績が良くなるという結果を表している。
  3. 気分があがる – 気持ちが良くなる、元気になるという結果を表している。
  4. 評価があがる – 周りからの評価がよくなるという結果を表している。
  5. エレベーターで最上階まであがる – 最上階まで到達したという結果を表している。

「のぼる」の意味

 

一方、「のぼる」は、低い位置から高い位置へ向かって移動することを意味します。

「のぼる」は、「移動そのもの」に焦点を当てた言葉で、途中の動作を強調するのが特徴です。例えば、「山をのぼる」や「木にのぼる」などと言った場合には、山や木を登る過程を強調します

また、「のぼる」も物理的な動き・抽象的な動きの両方に使う事ができますが、どちらかと言うと、物理的な動きに対して使われることの方が多いです。

「のぼる」の例文

  1. 山をのぼる – 山を登るという移動の過程を表す。
  2. 木にのぼる – 木を登るという動作そのものに焦点が当たる。
  3. 階段をのぼる – 「あがる」と似ているが、登る途中の動きが強調される。
  4. はしごをのぼる – はしごを使って上へ行く過程を表している。
  5. 被害額が1億円にのぼる – 数量が次第に高まっていく過程を表している。

「あがる」と「のぼる」の違い

あがる のぼる 違い

「あがる」と「のぼる」は、以下のように比較することができます。

意味 「あがる」 「のぼる」
重点 到達すること(結果) 移動すること(過程)
ニュアンス 物理的・抽象的の両方 主に物理的
階段をあがる、気分があがる 山をのぼる、木にのぼる

「あがる」と「のぼる」の違いを簡単に説明すると、「結果」と「過程」のどちらの意味を持つかです。

あがる」は、目的地へ到達すること、すなわち結果に重点を置く動詞です。たとえば、「成績があがる」や「気分があがる」など、何らかの物事が到達した結果を表します。

また、「あがる」は、物理的な移動以外にも使われ、抽象的な変化や上昇を表す意味もあります。具体的には、「気分があがる」や「テンションがあがる」などのように、抽象的に上の位置や段階に到達することを指して使われます。

一方、「のぼる」は、上に向かって移動する過程そのものに焦点を当てた言葉です。特に、「山をのぼる」や「木にのぼる」など、物理的に上昇する過程を強調して使われます。場合によっては、成長や努力の過程など、抽象的な過程を示す場合にも使われますが、こちらは用例としては多くありません。

このように、「あがる」は到達するという「結果」を、「のぼる」は、上に向かって移っていくという「過程」を強調する点が大きな違いです。

「あがる」と「のぼる」の使い分け

 

「あがる」は、移動が終わった「結果」に焦点を当てるときに使います。一方で「のぼる」は、動作の「過程」に焦点を当て、移動中のことを述べたいときに使います。

これを踏まえて具体例で比較しますと、たとえば、「山の上にあがる」だと「山の頂上に到達する」という結果を表し、「山の上にのぼる」だと「山の上にのぼっている途中」という過程を表します。

また、「気球があがる」だと、「すでに気球が上空に浮かんでいる状態」を表し、「気球がのぼる」だと、「気球が上に向かって移動しつつある状態」を表します。

一方で、片方は使えるものの、もう片方は使えないというケースもあります。

たとえば、「汗をふきながら山道をのぼる」とは言いますが、「汗をふきながら山道をあがる」とは言いません。「のぼる」は経過に重点があるため、「汗をふきながら」という途中の動作とともに使っても自然ですが、到達点に重点のある「あがる」は不自然だからです。

また、「生徒の手があがる」とは言いますが、「生徒の手がのぼる」とは言いません。これは、「あがる」は手のような体の一部の移動にも使えますが、「のぼる」は動かせるもの全体の移動にしか使えないためです。

他には、「損害は100億円にのぼる」とは言いますが、「損害は100億円にあがる」とは言いません。このように、数量が次第に高まって相当の程度にまで達するようなときは、「のぼる」を使います。

まとめ

 

今回は、「あがる」と「のぼる」の違いについて解説しました。

「あがる」は、低い位置から高い位置に到達することや、状態が変化して上昇することに焦点を当てた言葉です。感情や評価、成績の上昇などにも使われます。

一方、「のぼる」は、低い位置から高い位置に向かって移動する過程に焦点を当てた言葉です。特に物理的な動きに使われ、登山や木に登る動作に多く使われます。

両者の違いは、「あがる」が結果としての到達に重点を置き、「のぼる」が移動する過程に焦点を当てる点です。この違いを理解し、適切に使い分けることで、より正確な表現が可能となるでしょう。