「ベルベット」と「ベロア」の違いは?意味・特徴・使い分けを解説

「ベルベット」と「ベロア」は、どちらも高級感のある柔らかな生地として知られています。しかし、見た目がよく似ているため、違いが分からないという人も多いのではないでしょうか。

この記事では、ベルベットとベロアの特徴を比較しながら、それぞれの違いや使い分けについて分かりやすく解説します。

目次

「ベルベット」の意味

「ベルベット」とは「ビロード」のことで、表面に毛羽や輪奈(わな)を持つパイル織物の一種です。辞書では「ベルベット」を「ビロードの異称」と説明しており、ビロードも「表面に毛羽や輪奈を出した、滑らかで光沢のある織物」とされています。つまり、ベルベットとビロードは基本的に同じものを指す言葉です。

ベルベットの表面には、毛のように立ち上がった糸が密に並んでいます。この表面の毛羽立った部分が、ベルベット特有の柔らかな手触りや光沢を生み出しています。こうした生地の表面に立ち上がった糸やループ状の部分は「パイル」と呼ばれます。

パイルとは、生地の表面に立っている毛羽やループ状の糸のことです。ベルベットは、このパイルを表面に作ることで、独特の柔らかさや光沢を生み出しています。パイルを輪奈の状態で残すものもありますが、毛羽の部分を切って起毛させたものもあります。こうした構造が、ベルベット特有のなめらかな質感につながっています。

ベルベットというと、昔は絹を使った高級な生地というイメージが強くありました。実際、辞書にも日本では主として絹製のものを指すことが多いという説明があります。ただし、現在では絹だけでなく、綿やレーヨン、ポリエステルなどさまざまな素材が使われています。そのため、ベルベットという名称だけで素材まで判断することはできません。

また、ベルベットは光の当たり方や毛並みによって色の見え方が変化しやすいことも特徴です。表面をなでる方向によって光沢の出方が変わるため、衣類では上品で華やかな印象を与えます。そのため、ドレスや舞台衣装、リボンなどの服飾品だけでなく、家具や室内装飾などにも利用されています。

「ベロア」の意味

「ベロア」とは、柔らかく毛足があり、光沢のある生地を指す言葉です。辞書では「毛足が長く柔らかで光沢のある織物」と説明されています。表面に毛羽立った部分があるため、なめらかで柔らかな手触りをしているのが特徴です。

ベロアの表面は、光の当たり方や毛並みの向きによって色合いや光沢の見え方が変わります。そのため、落ち着いた色の生地でも独特の華やかさや高級感を出すことができます。また、毛足の長さや生地の厚さなどによって、見た目や手触りにもさまざまな違いがあります。

ベロアは、衣料品をはじめ、帽子や服飾小物、インテリアなど幅広い用途に使われています。特に衣料用では、柔らかな肌触りを生かした生地が多く、衣服のほか、装飾的な素材として使われることもあります。

なお、ベロアは特定の素材や製法だけを指す言葉ではありません。使用する繊維や生地の作り方によって、厚さや手触り、伸縮性などは異なります。そのため、「ベロア」という名称だけで、生地の素材や伸縮性まで判断することはできません。

「ベルベット」と「ベロア」の違い

ベルベットとベロアは、どちらも柔らかく光沢のある生地として扱われるため、見た目だけでは区別しにくいです。しかし、言葉の意味や一般的な使われ方には違いがあります。

最も大きなポイントは、ベルベットは「ビロード」という比較的はっきりした生地を指すのに対し、ベロアはビロードに似た風合いを持つ生地を指す幅広い言葉である点です。

ベルベットは、基本的にパイルを持つ織物です。表面の毛羽や輪奈によって、なめらかな手触りと独特の光沢が生まれます。一方のベロアは、ビロードに似た柔らかさや起毛感を持つ生地を広く指して使われます。辞書でもベロアは毛足が長く、柔らかく光沢のある織物とされています。

また、衣料品で使われるベロアには伸縮性のあるものが多いため、「ベルベットは伸びにくく、ベロアは伸びやすい」というイメージを持つ人もいます。しかし、伸縮性だけを基準に両者を区別することはできません。生地の伸びやすさは、織物か編物か、使用する繊維、組織、加工方法などによって変わるからです。

したがって、ベルベットとベロアの違いを覚えるときは、毛足の長さや伸縮性だけで判断するよりも、「ベルベット=ビロード」「ベロア=ビロードに似た風合いを持つ生地」という関係を押さえるほうが正確です。

用途と使い分け

「ベルベット」は、上品で高級感のある光沢やなめらかな質感を生かして、さまざまな用途に使われています。代表的なのはドレスや舞台衣装などの衣料品ですが、リボンなどの服飾品、家具、室内装飾などにも用いられます。光の反射によって表情が変わるため、華やかな雰囲気を演出したい場合にも適しています。

一方、「ベロア」も衣類や服飾品、インテリアなど幅広い用途があります。辞書ではコートや帽子などに用いるとされており、百科事典では婦人服や子ども服などにも使われると説明されています。

衣料品では、ベルベットがドレスやジャケットなど、比較的きちんとした印象の服に使われることがあります。それに対してベロアは、柔らかい着心地や伸縮性を生かした衣類などに使われることも多く、カジュアルな印象を持たれる場合があります。ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、名称だけで用途を決められるわけではありません。

また、「ベロア」は布地だけを指すとは限りません。革の分野では、起毛した毛足の長い革をベロアと呼ぶ場合もあります。日本大百科全書では、スエードに比べて毛並みが粗く、毛足の長い起毛革をベロアとする説明があります。

このように考えると、ベルベットとベロアは「どちらが高級か」「どちらが毛足が長いか」という単純な違いではありません。ベルベットは特定のパイル織物を指す言葉、ベロアはビロードに似た生地などを表す幅広い言葉と考えると、両者の関係を理解しやすくなります。

まとめ

本記事の内容をまとめると、以下のようになります。

比較項目ベルベットベロア
意味ビロードのことビロードに似た風合いを持つ生地など
生地の特徴パイルを持つ織物柔らかく起毛した生地など
手触りなめらかで柔らかい柔らかく、起毛感がある
光沢独特の上品な光沢がある光沢を持つものが多い
伸縮性生地によって異なるが、比較的伸びにくいものも多い伸縮性を持つ衣料用生地も多い
用途衣類、服飾品、家具、室内装飾など衣類、帽子、インテリア、革製品など
言葉の範囲比較的明確ベルベットに似た生地などを含み、比較的広い

ベルベットとベロアは、どちらも柔らかく光沢のある起毛生地として知られています。ベルベットは「ビロード」とほぼ同じ意味で、パイル織物を指すのが基本です。

一方、ベロアはビロードに似た風合いを持つ生地を指し、織物を含めて幅広く使われています。そのため、ベルベットは特定の生地名、ベロアはより幅広い呼び方と覚えると分かりやすいでしょう。

この記事を書いた人

大学卒業後、出版会社へと就職。退職後はフリーライターとして独立し、現在は言葉の意味や違いなど、日々の生活やビジネスに役立つ情報を発信しています。皆さんに「なるほど」と思ってもらえる内容をお届けすることを心がけています。




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