「該当」と「当該」という言葉は、一見すると似ているため、どちらを使えばよいかが混同しやすいです。特にビジネスシーンでは、どっちを使えばよいか迷うという人も多いと思われます。
そこで本記事では、「該当」と「当該」の意味をしっかりと理解し、適切に使い分けるためのポイントを解説します。日常的な場面からビジネスシーンまで、それぞれの使い方を具体例を交えて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「該当」の意味
「該当(がいとう)」とは、物事や人が、ある基準や条件に合致することを意味します。
一般的には、「その条件に当てはまる」「適用される」という意味で使われます。日常的にも頻繁に使われる言葉で、例えば試験や応募条件に関して、「該当する条件」などと表現されることが多いです。
例文
- この試験に該当する資格を持っている方は、応募してください。
- 応募条件に該当しない場合、選考対象外となります。
- 該当者の通知が、来週には発送される予定です。
- この件に該当する法律を調べて、対策を講じる必要があります。
- 該当するページが見つかりませんでした。再度検索してみてください。
このように、「該当」は「適用」「当てはまる」という意味を強調した言葉です。
「当該」の意味
一方で、「当該(とうがい)」は、特定の事物や人に直接関連するものを指します。「そのもの自体」や「対象となるもの」を強調する意味で使われ、法律や公式文書などで多く見かけます。
「当該」という言葉は少し堅い印象を与えることが多いため、ビジネスシーンや学術的な文脈でよく使用されます。日常会話で使うことは少なく、専門的な場面で見かけることが多いです。
例文
- 当該商品の交換については、購入店にお問い合わせください。
- 当該の規定に従って処理を行うことが求められます。
- 当該社員は、規則に違反したため処分を受けました。
- 当該書類は、正確に記入されている必要があります。
- 当該問題に関しては、すでに専門家による検討が行われています。
「当該」は「そのもの」や「該当するもの」を意味し、特に形式的な文章で使われます。
「該当」と「当該」の違い
「該当」と「当該」は、どちらも「特定のものに関連している」という意味を持ちますが、そのニュアンスには大きな違いがあります。
「該当」 | 「当該」 | |
---|---|---|
意味 | ある物事や人が基準に合致すること | ある物事や人に直接関連すること |
使用シーン | 日常的な文脈、応募条件、適用基準 | 法律、ビジネス、公式な文書 |
印象 | わかりやすく、普段使いされる | 堅い、専門的な場面で使われる |
使い分けのポイント
- 日常的な使い方には「該当」を使用
- 日常会話や簡単な文書では「該当」が適しています。「該当条件」や「該当者」など、比較的簡単に使える言葉です。
- 専門的な文脈では「当該」を使用
- 法律文書やビジネス文書など、堅苦しい文章では「当該」の方がよく使われます。例えば、「当該契約」や「当該法人」など、特定の対象を厳密に指し示す場合に用います。
例文
- 試験の該当者が発表されました。(日常的な使い方)
- 当該契約に基づき、支払いが行われます。(法律的な使い方)
ビジネスシーンでの「該当」と「当該」の使い方
ビジネスシーンでは、「該当」と「当該」の使い分けが重要です。これらの言葉は、どちらも「特定のものに関連する」といった意味がありますが、使われる場面や文脈が異なります。
「該当」は、比較的柔軟に使える言葉で、特に日常的なビジネス文書でよく使用されます。条件に合う、または基準に適しているという意味で使われ、あまり堅苦しさを感じさせません。
例えば、「該当する従業員には、来週の会議について通知を送ります」といった日常的なやり取りや、「該当する書類を提出してください」といった指示で使われます。
一方、「当該」は正式かつ堅い表現で、主に法律や契約書、報告書などの正式な文書で使用されます。
特定の対象を厳密に指し示す場合に使われるため、ビジネスでは専門的で公式な印象を与えます。例えば、「当該契約に基づく処理が完了しました」や「当該部門の責任者に確認を依頼しました」など、非常に具体的かつ正式な表現です。
このように、ビジネスシーンでは、「該当」を日常的で柔軟な表現として使い、「当該」を堅い言い回しとして、公式な文書や重要な契約において使用するのが適切です。それぞれの言葉を使い分けることで、文書がより正確で適切な印象を与えることができます。
「該当」と「当該」の類義語
「該当」と「当該」に近い意味を持つ言葉もいくつか存在します。それぞれの類義語についても見ていきましょう。
「該当」の類義語
- 適用:条件に合わせて当てはめること
- 一致:ある物事が別の物事にぴったりと合うこと
- 符合:基準にぴったり当たること
例文
- この条件は、すべての適用者に当てはまります。
- 条件が一致しているため、申請が受理されました。
「当該」の類義語
- 該当:前述の通り、あるものに当てはまること
- 関係:特定の物事に関わること
- 対象:特定のものを指す言葉
例文
- 当該の法律に基づく処理が求められます。
- 関係部署に確認の上、対応を決定します。
まとめ
「該当」と「当該」の違いは、主にその使用される文脈や印象にあります。「該当」は日常的で柔軟に使える言葉で、条件に当てはまる、または適用されるという意味で広く使われます。ビジネスシーンでも、比較的カジュアルなやり取りに使われ、「該当する従業員」や「該当条件」のような表現が一般的です。
一方で、「当該」はより堅い言葉で、主に法律や公式文書、ビジネスの正式な場面で使われます。特定の事物や人に直接関連することを強調し、「当該契約」や「当該部門」のように使われます。ビジネス文書や契約書など、専門的で公式な印象を与えるため、使い分けが重要です。
それぞれの意味と文脈を理解し、適切に使い分けることで、より正確で効果的な表現が可能となるでしょう。