
「該当」と「当該」、一見すると似ているため、混同しやすい言葉です。特にビジネスシーンでは、どちらを使えばよいか迷うという人も多いと思われます。
そこで本記事では、「該当」と「当該」の意味の違いを詳しく解説していきます。それぞれの特徴を理解し、場面に応じた使い分けができるようになるためのポイントをお伝えします。
「該当」の意味
「該当(がいとう)」とは、ある基準や条件に当てはまることを意味します。
主に、「該当する」という形で動詞的に使われますが、名詞と組み合わせて「該当者」「該当事項」のように使われることもあります。
一般に、「該当」は「その条件に当てはまる」「適用される」という意味で使われることが多いです。例えば試験や応募の際に、「該当する条件」「該当する資格」などと表現されます。
「該当」の特徴
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主に動詞的に使う
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「該当する」という形で使い、「条件に当てはまる」という意味を持ちます。
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名詞としても使用可能
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「該当者(条件に合う人)」「該当事項(条件に合う事柄)」のように使われることもあります。
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一般的な文章や会話でもよく使われる
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日常会話やビジネスのやり取りでも違和感なく使える言葉です。
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「該当」の例文
- 該当する資格を持っている方は、応募してください。
- 応募条件に該当しない場合、選考対象外となります。
- 該当者には、後日、メールで通知する予定です。
- 該当する法律を調べて、対策を講じる必要があります。
- 該当するページが見つかりませんでした。再度検索してみてください。
このように、「該当」は「当てはまる」という意味を強調した言葉です。
「当該」の意味
「当該(とうがい)」とは、「その」「特定の」という意味を持つ言葉です。主に、特定の物事や人を指し示す際に使用され、必ず名詞を修飾するのが特徴です。
例えば、「当該書類」「当該事案」などのように、特定の対象を明確に示す際に用いられます。
この言葉はやや堅い印象を与えるため、法律文書や公的な通知、学術的な文脈などにおいて使用されます。
逆に、日常会話やカジュアルな文章ではほとんど使われません。「そのもの自体」や「対象となるもの」を強調する場面で使用されるため、公式な文書で見かけることが多い言葉です。
「当該」の特徴
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必ず名詞を修飾する
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「当該」は「当該書類」「当該事項」「当該人物」のように、名詞とセットで使われます。単独で使うことはできません。
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例えば、「当該です」のように単独で使うのは誤りです。
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公的文書や法律用語で使われることが多い
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一般的な会話ではほとんど使われず、公的な文章や契約書などでよく見られます。
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「その」と言い換えることが可能
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「当該〇〇」は「その〇〇」に置き換えても意味が通じる場合が多いです。
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「当該」の例文
- 当該書類の提出期限は、今月末までとなっております。
- 当該社員は、規則に違反したため処分を受けました。
- 当該書類は、正確に記入されている必要があります。
- 当該商品の交換に関しては、購入店にお問い合わせください。
- 当該問題に関しては、すでに専門家による検討が行われています。
このように、「当該」は「そのもの」や「該当するもの」を意味し、特に形式的な文章で使われます。
「該当」と「当該」の違い
「該当」と「当該」には、以下のような違いがあります。
該当 | 当該 | |
---|---|---|
意味 | 基準や条件に当てはまること | 特定のものを指すこと |
品詞 | 名詞(「該当する」で動詞的に使える) | 形容詞的な名詞(名詞を修飾する) |
使い方 | 「条件に該当する」「該当者」など | 「当該書類」「当該事項」など |
使用場面 | 一般的な会話やビジネス文書 | 公的文書や法律文書 |
単独使用 | 可能(「該当する」など) | 不可(後ろに名詞が必要) |
「該当」は、ある条件や基準に当てはまることを意味し、「該当する」のように動詞的に使われることが多いです。また、「該当者」「該当事項」のように名詞と組み合わせて使うこともできます。
例えば、「この条件に該当する人は申請してください」や「該当者には後日連絡します」といった形で使われます。日常会話やビジネスシーンでもよく用いられるのが「該当」の特徴です。
一方、「当該」は「その」「特定の」という意味を持ち、後に続く名詞を修飾する形で使われます。「当該書類」「当該事項」などの表現があり、「当該書類を提出してください」や「当該事項について確認してください」といった使い方をします。主に公的な文書や法律文書で用いられ、日常会話ではあまり使われません。
大きな違いは、「該当」は単独でも使えるのに対し、「当該」は必ず名詞を修飾し、単独では使えない点です。
使い分けのポイント
- 日常的な使い方には「該当」を使用
- 日常会話や簡単な文書では「該当」が適しています。「該当条件」や「該当者」など、比較的簡単に使える言葉です。
- 専門的な文脈では「当該」を使用
- 法律文書やビジネス文書など、堅苦しい文章では「当該」の方がよく使われます。例えば、「当該契約」や「当該法人」など、特定の対象を厳密に指し示す場合に用います。
例文で比較
- 試験の該当者が発表されました。(日常的な使い方)
- 当該契約に基づき、支払いが行われます。(法律的な使い方)
ビジネスシーンでの使い方は?
ビジネスシーンでは、「該当」と「当該」の使い分けが重要です。これらの言葉は、どちらも「特定のものに関連する」といった意味がありますが、使われる場面や文脈が異なります。
「該当」は、比較的柔軟に使える言葉で、特に日常的なビジネス文書でよく使用されます。条件に合う、または基準に適しているという意味で使われ、あまり堅苦しさを感じさせません。
例えば、「該当する従業員には、来週の会議について通知を送ります」といった日常的なやり取りや、「該当する書類を提出してください」といった指示で使われます。
一方、「当該」は正式かつ堅い表現で、主に法律や契約書、報告書などの正式な文書で使用されます。
特定の対象を厳密に指し示す場合に使われるため、ビジネスでは専門的で公式な印象を与えます。例えば、「当該契約に基づく処理が完了しました」や「当該部門の責任者に確認を依頼しました」など、非常に具体的かつ正式な表現です。
このように、ビジネスシーンでは、「該当」を日常的で柔軟な表現として使い、「当該」を堅い言い回しとして、公式な文書や重要な契約において使用するのが適切です。それぞれの言葉を使い分けることで、文書がより正確で適切な印象を与えることができます。
「該当」と「当該」の類義語
「該当」と「当該」に近い意味を持つ言葉もいくつか存在します。それぞれの類義語についても見ていきましょう。
「該当」の類義語
- 適用:条件に合わせて当てはめること
- 一致:ある物事が別の物事にぴったりと合うこと
- 符合:基準にぴったり当たること
例文
- この条件は、すべての適用者に当てはまります。
- 条件が一致しているため、申請が受理されました。
「当該」の類義語
- 該当:前述の通り、あるものに当てはまること
- 関係:特定の物事に関わること
- 対象:特定のものを指す言葉
例文
- 該当の法律に基づく処理が求められます。
- 関係部署に確認の上、対応を決定します。
まとめ
この記事では、「該当」と「当該」の違いについて解説しました。
「該当」は日常的で柔軟に使える言葉で、条件に当てはまる、または適用されるという意味で広く使われます。ビジネスシーンでも、比較的カジュアルなやり取りに使われ、「該当する従業員」や「該当条件」のような表現が一般的です。
一方で、「当該」はより堅い言葉で、主に法律や公式文書、ビジネスの正式な場面で使われます。特定の事物や人に直接関連することを強調し、「当該契約」や「当該部門」のように使われます。
それぞれの意味を理解し、適切に使い分けることで、より正確な表現が可能となるでしょう。
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