
日常生活やビジネスシーンでよく使われる言葉に「ヒアリング」があります。しかし、これを「ヒヤリング」と表記している文章も見かけることがあります。
そのため、どちらが正しいのか迷った経験はないでしょうか?そこで本記事では、「ヒヤリング」と「ヒアリング」の違いについて、文化庁の見解や和製英語としての側面も踏まえて解説していきます。
「ヒヤリング」とは?意味や使い方
「ヒヤリング」は、主に日本国内で見られる表記です。
語源をたどると英語の「hearing」から来ていますが、正しくカタカナにすると「ヒアリング」となります。
ただし日本語の発音において「ヒア」が「ヒヤ」と聞こえることがあり、その影響で「ヒヤリング」という表記が一定の慣用として広まったと考えられます。
実際に、文化庁の外来語表記の細則では、「イ列・エ列の音の次のアは原則として『ア』と書く。ただし慣用がある場合はそれによる」と定められています。
つまり「ヒアリング」が標準ですが、「ヒヤリング」も口語的・慣用的な形として存在は認められているということです。
たとえば、面接や会議などで「今日はお客様へのヒヤリングを行いました」と言う人もいますが、正式なビジネス文書では「ヒアリング」と書くのが適切です。
「ヒヤリング」は誤りとまでは言えないものの、信頼性を重んじる場では避けたほうがよい表記だといえます。
「ヒアリング」とは?正しい意味と用法
「ヒアリング(hearing)」は、外来語として日本語に取り入れられた言葉で、「聞くこと」や「聴取」を意味します。
日本語では、主に次の二つの文脈で使われています。
ビジネスシーンにおける「聞き取り」
例:顧客の要望を把握するためにヒアリングを行う。
インタビューや聞き取り調査の意味で用いられます。営業活動やマーケティング調査、人事面談などで頻繁に登場します。
医療や教育における「聴力」関連
例:ヒアリングテスト(聴力検査)、リスニングとヒアリングの違い。
この場合は「耳で聞く能力」としての意味で、聴覚に関する場面で使われます。英語教育の分野では「リスニング」と区別して説明されることもあります。
また注意すべき点として、「ヒアリング」は日本独自の用法を含む和製英語です。
英語で「hearing」と言えば「聴力」「公聴会」「審問」といった意味が強いため、ビジネスで「顧客へのヒアリング」といっても海外では通じにくい場合があります。
英語で表現するなら「interview」「asking questions」などが適切です。
なぜ「ヒヤリング」と誤記されやすいのか?
「ヒヤリング」という表記が広まってしまう理由には、日本語の音声上の特徴や慣用の存在が関わっています。
1.「イ」と「ヤ」が連続する発音の曖昧さ
日本語では「ヒア」という音が早口で「ヒヤ」と聞こえることがあります。「シアター」が「シヤター」と聞こえるのと同じ現象です。この曖昧さが誤表記の原因になります。
2.慣用表記の存在
文化庁も示すように、外来語には例外的に「ヤ」で表記されるケース(例:ダイヤモンド、ダイヤル)があり、「ヒヤリング」もそうした慣用の一つと見なされる場合があります。完全に誤用というよりは「揺れのある表記」と理解するのが妥当です。
3.日常会話における崩れ
会話では多少崩れても意味が伝わればよいと考えられるため、「ヒヤリング」と口にする人が増え、それが文章にも持ち込まれるようになりました。
4.インターネット上での拡散
誤表記や慣用がSNSやブログで広がり、検索結果に多く現れることで「これでもいいのかな」と思う人が出てきたと考えられます。
正しい表記を使うためのポイント
では、混乱を避けるために「ヒアリング」と「ヒヤリング」をどう区別すべきでしょうか。以下の点を押さえると安心です。
公式な場面では必ず「ヒアリング」
ビジネス文書・報告書・公的な書類では「ヒアリング」が正しい表記です。「ヒヤリング」は慣用として存在しても、信頼性を保つためには避けるべきです。
文化庁の基準を参考にする
「イ列の後は原則『ア』、慣用なら『ヤ』」という文化庁のルールを思い出しましょう。表記に迷ったら標準である「ヒアリング」を選べば間違いありません。
和製英語であることを意識する
日本語で「ヒアリング」といっても、英語では同じ使い方をしません。海外とやりとりする際は「interview」などに言い換える必要があります。
口語と文章を分けて考える
会話では「ヒヤリング」と言っても通じますが、文章にする場合は必ず「ヒアリング」に統一する習慣をつけましょう。
まとめ
「ヒヤリング」と「ヒアリング」はしばしば混同されますが、正しい表記は「ヒアリング」です。ただし文化庁の見解にあるように「慣用」として「ヒヤリング」も一定の存在は認められています。
とはいえ、ビジネスや学術の場では誤解や印象低下を避けるため「ヒアリング」を用いるのが基本です。
さらに「ヒアリング」は和製英語であり、英語の hearing とはニュアンスが異なる点も押さえておく必要があります。海外では「interview」「ask」といった言葉に置き換えるのが自然です。
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