悲喜こもごも 類語 文例 使い方 誤用 由来

日本語には、喜びや悲しみなど感情の変化を表す豊かな言葉がたくさんあります。その中でも「悲喜こもごも」という慣用句は、日常会話から文学の世界まで幅広く使われます。

本記事では、そんな「悲喜こもごも」の意味や語源、類語、誤用表現についてわかりやすく解説していきます。例文も交えて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

「悲喜こもごも」の意味

 

悲喜こもごも」とは、喜びと悲しみが入り混じった感情の状態を表す言葉です。

例えば、嬉しい出来事の中に少し切ない気持ちが混ざっている時や、悲しい出来事がある一方で心が温まる瞬間もあるような場合に使われます。まさに「人生の複雑さ」を表現するのにぴったりな言葉です。

この表現は、以下のような場面でよく使われます。

  • 長年働いた会社を退職する際、達成感と寂しさが入り混じる時
  • 家族の結婚式で嬉しい反面、親元を離れる寂しさも感じる時
  • 卒業式での別れが名残惜しくも、将来に期待する気持ちがある時

「悲喜こもごも」の誤用に注意

 

「悲喜こもごも」は、一人の人間が喜びと悲しみを味わうことを意味します。したがって、「悲喜交々の当落発表」のように、喜ぶ人と悲しむ人が入り乱れる」という意味で使うのは誤用です。

例えば、合格発表の場では、喜ぶ声と悲しむ声があちこちから聞こえてきますが、こういった場面で「喜んでいる人と悲しんでいる人が入り交じっているので、「悲喜こもごも」の光景です。」などと言うのは全くの誤りということになります。

また、感情が混ざり合った状態を表す慣用句なので、喜びだけや悲しみだけを表現する際には使いません。例えば、「嬉しい気持ちがただただこみ上げる」といったシンプルな感情の場合には不適切です。

その他には、誤った読み方として「こもごも」ではなく「こもこも」と読まれてしまう場合もあるので注意が必要です。

「悲喜こもごも」の語源・由来

「悲喜こもごも」 由来 語源

「悲喜こもごも」という言葉は、漢字の「悲」と「喜」、そして「こもごも」から成り立っています。

「こもごも」という言葉は「交々」と書き、「かわるがわる」「交互に入り混じっている様子」などの意味があります。

したがって、本来は「悲しみと喜びをかわるがわる味わう」という意味で、「人生振り返ると山あり谷あり…悲喜こもごもの人生だったなぁ」のように、一人の人間の心境を指して使われる言葉である事が分かります。

喜んでいる人、悲しんでいる人が入り混じっている様子を表す言葉ではないのです。

元々、「こもごも」という語は単体でも用いられていましたが、特に「悲喜」とセットになることで、感情が交錯する状態をより具体的に表す表現となりました。古くから日本語で使われてきたため、現代でも自然に使われています。

「悲喜こもごも」の使い方・例文

 

「悲喜こもごも」は、複雑な感情を表現したい時に使われます。具体的な使い方を例文とともに見てみましょう。

  1. 新しい環境に挑戦するとき
    「大学を卒業し、社会人になることに期待と不安が入り混じり、悲喜こもごもの気持ちです。」
  2. 転勤や引っ越しなどの際
    「長年住み慣れた街を離れるのは寂しいが、新しい土地での生活にワクワクもしていて、悲喜こもごもだ。」
  3. 家族や友人との別れの時
    「親友が遠くに引っ越してしまうのは悲しいけれど、彼の新しい生活がうまくいってほしいと思い、悲喜こもごもの心境です。」
  4. 結婚式や子供の成長を見守る場面
    「娘の結婚式で、幸せな姿を見られるのは嬉しいけれど、親元を離れる寂しさもあり、悲喜こもごもだ。」
  5. 試合の結果が惜しい時
    「チームが惜しくも準優勝だったが、ここまで頑張ってきた姿に誇りも感じて、悲喜こもごもの気持ちです。」

このように、「悲喜こもごも」は、一人の人間の感情が複雑に混ざり合うような場面で使うと自然です。

「悲喜こもごも」の類義語

 

「悲喜こもごも」と似た意味を持つ類義語をいくつか紹介します。

1. 一喜一憂(いっきいちゆう)

「一喜一憂」は、喜んだり落ち込んだりと感情が次々に変わる様子を表します。特に、結果や状況によって心が揺れるときに使われます。たとえば、試験結果や株価の変動に心が左右される際に使われることが多いです。

2. 感無量(かんむりょう)

「感無量」は、喜びや感動、悲しみなど、感情が込み上げて言葉にできないほどの感動を表します。「悲喜こもごも」よりも、少し強い感情を含むことが特徴です。たとえば、長年の努力が報われた瞬間に感じる感動の場面で使われます。

3. 複雑な心境

「複雑な心境」は、喜びや悲しみが入り混じり、単純には割り切れない感情を表す言葉です。日常会話でも使いやすく、たとえば、「転勤するのは複雑な心境だ」などのように使われます。

まとめ

 

「悲喜こもごも」は、喜びと悲しみが入り混じった感情を表現するために使われる表現で、日常生活でも多くの場面で役立ちます。その由来は「悲喜」と「こもごも」が組み合わさったもので、感情が交錯する状況を表す表現として、長い間日本語の中で使われ続けています。

人生には喜びや悲しみが同時に存在する場面が多く、そのような複雑な感情を伝えるのに「悲喜こもごも」という表現はぴったりです。今後、身の回りでこの表現を使いたい場面があれば、ぜひこの記事を参考にしてみてください。