
選挙における投票には、さまざまな方法が用意されています。特に「不在者投票」と「期日前投票」は、投票日当日に会場へ行けない人のための制度として知られています。
しかし、これらは似ているようでいて、対象者や投票の仕組みに違いがあります。本記事では、それぞれの制度の意味や違い、使い分け方についてわかりやすく解説します。
「不在者投票」の意味
「不在者投票」とは、選挙の投票日当日に指定された投票所で投票できない人が、特別な手続きによって投票する制度です。
これは主に、病院や介護施設に入院・入所している人、長期出張中の人、船員、海外に滞在している人などを対象としています。
不在者投票は、本人の住民票がある選挙区以外に一時的に滞在している場合や、身体的理由により外出が困難な場合に活用されます。
投票方法は、滞在先の施設や郵送などを通じて行われ、記載した投票用紙は封筒に入れて選挙管理委員会に送られます。
また、不在者投票を利用するには、事前の申請や手続きが必要なことが多く、誰でも簡単に利用できるわけではありません。そのため、利用できる対象者や手順が、ある程度限定されているのが特徴です。
「不在者投票」の例文
- 祖父は病院に入院しているため、不在者投票を利用して投票を済ませた。
- 出張で地元を離れていたので、不在者投票制度を使って投票した。
- 海外赴任中の兄は、在外公館で不在者投票を行ったようです。
- 高齢で外出が難しい父は、施設内で不在者投票を済ませていた。
- 船で長期間勤務する叔父は、乗船前に不在者投票を申請していた。
「期日前投票」の意味
「期日前投票」とは、投票日当日に投票所へ行けない有権者が、あらかじめ決められた期間内に、期日前投票所で投票を行う制度です。
これは、選挙公示日の翌日から投票日前日までの間に、居住地の市区町村に設けられた専用の投票所で行われます。
利用には「宣誓書」の記入が必要ですが、理由は「仕事」「旅行」「冠婚葬祭」「病気」など多岐にわたり、基本的に誰でも使える制度です。
投票の流れは、当日の投票とほぼ同じで、投票用紙を記入後、すぐに投票箱へ入れます。
利便性が高く、多くの人に利用されている投票方法であり、期日前投票所はショッピングモールや駅ビルに設置されることもあります。
忙しい現代人にとって、柔軟に選挙参加できる手段の一つとして、年々その重要性が増しています。
「期日前投票」の例文
- 投票日に出張が入っていたので、期日前投票を利用した。
- 結婚式と重なっていたため、前日に期日前投票を行った。
- 日曜日は仕事なので、平日に期日前投票をしてきました。
- 平日の昼休みに、市役所で期日前投票を済ませてきた。
- 台風の予報が出ていたため、安全のために期日前投票を選んだ。
「不在者投票」と「期日前投票」の違い
「不在者投票」と「期日前投票」の違いは、次のように整理することができます。
項目 | 期日前投票 | 不在者投票 |
---|---|---|
対象者 | 投票日に行けないすべての有権者 | 遠隔地滞在者、入院・入所者など |
実施場所 | 居住地の期日前投票所 | 滞在先の施設・郵送など |
投票方法 | 直接投票箱に投函 | 封筒に入れて選挙管理委員会へ送付 |
申請の有無 | 申請不要(宣誓書の記入は必要) | 事前に申請が必要な場合が多い |
投票期間 | 公示日翌日~投票日前日 | 施設や状況により異なる |
「不在者投票」と「期日前投票」は、いずれも「投票日に投票所に行けない人」のための制度ですが、運用の仕組みや対象者に違いがあります。
まず大きな違いは、誰でも利用できるかどうかです。「期日前投票」は比較的広く使える制度で、宣誓書を提出すれば原則誰でも利用できます。
一方で「不在者投票」は、特定の理由や状況に該当する人のみが対象であり、事前申請や指定施設での実施が必要になります。
また、投票方法にも違いがあります。期日前投票では通常の投票と同じく、記入後に直接投票箱へ投函します。不在者投票では、投票用紙を封筒に入れ、選挙管理委員会へ送付する必要があるなど、手続きがより厳格です。
このように、「期日前投票」は申請不要で比較的簡単に利用できるのに対し、「不在者投票」は対象が限られ、封入・送付などの手続きが必要という違いがあります。
「不在者投票」と「期日前投票」の使い分け
それでは、実際に両者をどのように使い分ければよいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け方を簡単に示します。
①仕事や旅行で投票日に地元にいない場合 ⇒「期日前投票」
仕事、出張、旅行、冠婚葬祭などで投票日に居住地を離れると分かっている場合は、「期日前投票」を使います。
②病院や施設に長期入院・入所している場合 ⇒「不在者投票」
体が不自由で投票所へ行けない場合、または長期入院している場合などは、施設内で「不在者投票」を行います。
③遠隔地(離島、海外、船上など)に滞在している場合 ⇒「不在者投票」
海外勤務や長期の船旅など、居住地とは異なる場所に滞在している場合は、「不在者投票」を利用します。
※「期日前投票」は比較的誰でも使える制度ですが、「不在者投票」は限られた状況下でのみ使えるという違いをしっかり認識しましょう。
まとめ
この記事では、「不在者投票」と「期日前投票」の違いを解説しました。
「期日前投票」は誰でも利用できる簡便な制度で、宣誓書の記入だけで済みます。一方、「不在者投票」は特定の状況に限られ、申請や封筒による手続きが必要です。
対象者や投票方法の違いを理解し、状況に応じた適切な制度を選びましょう。