
「切替」と「切換」は、どちらも「きりかえ」と読みます。しかし、どちらを使うべきか迷うという人も少なくありません。
特に公用文では、使い分けに悩む場面が多いでしょう。本記事では、「切替」と「切換」の違いを具体例を交えながら分かりやすく解説していきます。
「切替」の意味
「切替(きりかえ)」とは、今の状態をやめて、新しい状態に変えることを意味する言葉です。
「替」という字には「ほかのものに置きかえる」という意味があり、気持ちや考え方、契約内容などを自分の意識で新しいものに変えることを表します。
たとえば、「気持ちの切替をする」と言えば、嫌な気持ちを引きずらずに前向きになることを意味します。また、仕事や会話で「話題を切り替える」と言えば、意識的に話を別の方向に変えることを意味します。
つまり、「切替」は心理的・内面的・抽象的な変化を表す際に使われる言葉ということです。
「切替」の例文
以下に、「切替」を使った例文を5つ紹介します。
- 私は、昨日の失敗を忘れて気持ちを切り替えました。
- 彼女は、休日の予定を切り替えて家で休むことにしました。
- 料金プランの切替は、明日までが期限となっています。
- 上司は、会議の話題を別の案件に切り替えました。
- 私は、昨日の失敗を忘れて気持ちの切替を行いました。
「切換」の意味
「切換(きりかえ)」は、機械や装置の操作によって、ある状態を別の状態に変えることを意味する言葉です。
「換」という字には「取り換える」「交換する」という意味があり、外部からの働きかけによって動作や状態を変えることを表します。そのため、スイッチを押す、レバーを動かす、設定を変更するといった操作を伴う場面でよく使われます。
たとえば、「電源を切り換える」「冷房に切り換える」のように、対象が機械や装置のときに自然に使われます。
つまり、「切換」は心理的な変化ではなく、外部の操作によって起こる具体的な動作を指す言葉です。
「切換」の例文
以下に、「切換」を使った例文を5つ紹介します。
- 車を運転中、坂道でギアを切り換えた。
- スマートフォンの画面表示の切替は、簡単にできます。
- 作業員は、機械のモードを自動運転に切り換えた。
- 急に部屋が暑くなったので、冷房に切り換えた。
- 駅員は、列車の進行方向を反対側に切り換えました。
「切替」と「切換」の違い
「切替」と「切換」の違いは、次のように整理することができます。
対象 | 切替(きりかえ) | 切換(きりかえ) |
---|---|---|
主な対象 | 心・考え・契約 | 機械・電源・ギア |
意味 | 心理的・抽象的な変化 | 物理的・機械的な変化 |
使用場面 | 気持ちの切替、話題の切替 | 電源の切換、冷房の切換 |
ニュアンス | 主体的・内面的 | 客体的・外面的 |
頻度 | 一般に多い | 技術分野で多い |
「切替」と「切換」はどちらも「状態を移行させる」「あるものを別のものに変える」という意味を持つ言葉です。しかし、読み方は同じでも、対象とする変化の種類に違いがあります。
「切替」は、心の状態や考え方、契約内容やシステムなど、心理的・抽象的な変化を表す際に使われます。たとえば、「気持ちの切替」「プランの切替」「話題を切り替える」といった表現です。
一方の「切換」は、電源やスイッチ、ギアなど物理的・機械的な操作や変化を表す際に使われます。たとえば、「電源を切り換える」「暖房から冷房に切り換える」「進行方向を切り換える」など、外部からの働きかけや機械的な操作を伴う動作を表す場合です。
このように、「切替」は主体的・内面的な変化を示し、「切換」は客体的・外面的な変化を示すという違いがあります。ただし、現代ではこの使い分けが厳密でないことも多く、公文書や案内文でも「切替」に統一される傾向があります。
「切替」と「切換」の使い分け
それでは、実際に両者はどのように使い分ければいいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け例を三つ示します。
①気持ちや考え方を変える場合 ⇒ 「切替」
気持ちを前向きにする、話題を変えるなどのときは「切替」を使います。心理的な変化や意識面での転換に適しています。
②機械の設定や操作を変える場合 ⇒ 「切換」
装置の設定変更、部品の取り換えなど物理的な動作を伴う場合は「切換」を使います。外側から操作するイメージです。
③プランや状況を変える場合 ⇒ 「切替」
携帯電話の料金プランや業務計画を変更するなど、抽象的・システム的な変更には「切替」が使われることが多いです。
※ただし、現代では必ずしも厳密な区別がされるわけではなく、「切替」に統一される例も増えています。そのため、機械的な文脈以外では「切替」に統一しても問題ありません。
まとめ
今回は、「切替」と「切換」の違いを解説しました。「切替」は心や考え方など、心理的・抽象的な変化に使われます。一方の「切換」は電源やギアなど、機械的・物理的な操作に使われます。
ただし、近年では「切替」に統一されることが増えているため、実生活では「切替」を基本にすれば問題ありません。場面によって「切換」を使えれば、より適切な表現になります。