
日常会話でよく使われる「期待」と「希望」ですが、これらは一見すると同じような意味を持つように思えます。しかし、これらの言葉は実は微妙な違いがあります。
本記事では、「期待」と「希望」の違いを深掘りし、どのように使い分けるべきかを解説します。違いをしっかりと理解し、適切に使えるようになりましょう。
「期待」と「希望」の意味
最初に、それぞれの意味を簡単に説明します。
- 「期待」:ある出来事が起こることを心待ちにすること。
- 「希望」:こうあってほしいと願うこと。(望む結果が得られることを願って行動を伴う場合もある。)
「期待」とは、ある出来事が起こることを信じて待つことを意味します。自分が積極的に行動するのではなく、結果を他人や状況に委ねる受け身の姿勢が特徴です。例えば、「試験の合格を期待する」は、結果を待つだけで自らの努力は含まれません。
一方、「希望」とは、「こうなってほしい」と願い、場合によってはその実現に向けて行動を伴う意味を持つ言葉です。例えば、「進学を希望する」と言えば、そのための勉強や準備などの実際の行動が求められます。
また、「希望」は「未来の明るい見通し」という意味で使われることもあります。この点が、両者の大まかな違いとなります。
「期待」と「希望」の違い
両者の違いを表で比較すると、以下のようになります。
期待 | 希望 | |
---|---|---|
意味 | ある出来事が起こることを信じて待つこと | こうなってほしいと願い望むこと |
主体の姿勢 | 受け身(結果を待つ) | 積極的(行動を伴うこともある) |
漢字の意味 | 「期」=時期や機会、「待」=待つ | 「希」=願う、「望」=望む |
時間的要素 | 未来の出来事を待つ | 未来に向けた願望や努力を含む |
使われる場面 | 他者や状況に対して期待することが多い | 自分の願いや目標を表すことが多い |
もう一つの意味 | なし | 未来の明るい見通し(希望を持つ) |
「期待」の「期」という字は、「時期」や「機会」を意味し、時間的な概念が含まれています。つまり、「期待」という言葉には、ある出来事が起こるタイミングを待つという意味が込められています。
例えば、「試合の結果を期待している」といった場合、その結果を時間的に待つという意味が含まれています。ここでは、あくまで自分から積極的に行動するわけではありません。
一方、「希望」の「希」という字は「願う」という意味を持ちます。つまり、「希望」には、何かを望むと同時に、それに向かって行動を起こす場合があるという特徴があります。
例えば、「大学に進学したい」という希望がある人は、そのために勉強を始めたり、必要な準備をしたりと具体的な行動が伴う場合があります。
このように、「期待」は待つことに重点を置いているのに対し、「希望」は未来に向けて行動を伴うこともあるという違いがあります。
「希望」のもう一つの意味
「希望」には、もう一つの意味もあります。それは、「未来の明るい見通し」として使われる場合です。この意味では、自分が望む結果に限らず、未来に対して明るい見通しを持つことを指します。
例えば、「困難な状況でも希望を失わない」といった表現では、具体的な願望ではなく、明るい未来への期待感を示しています。
「期待」と「希望」の辞書の意味
「期待」の辞書での意味
「期待」の辞書での意味は、以下の通りです。
- あることが起こるのを、またはある状態になるのを当てにして待つこと。心待ちにすること。
この定義は、先に説明した通り、何かを待つことに重点が置かれています。例えば、「大きな成功を期待する」という使い方です。
「希望」の辞書での意味
「希望」の辞書での意味は、以下の通りです。
- こうあって欲しいと願い望むこと。また、その願い。
- 未来に対しての明るい見通し。
「希望」には、単に願うだけではなく、未来に対するポジティブな見通しを含むこともあります。
「期待」と「希望」の使い方
実際の会話や文章で、「期待」と「希望」をどのように使い分けるかを見ていきましょう。
「期待」の使い方
- 彼は絶対に期待を裏切るようなことはしない。
- 初めての海外旅行が近づき、日に日に期待が膨らむ。
- チャンスで彼の打順だが、期待できるだろう。
これらの例文では、期待は主に待つことや予測をすることを含んでいます。自分から何かを積極的に行うわけではなく、未来の出来事に対して心待ちにしている様子が表れています。
「希望」の使い方
- ご希望に添うことができず申し訳ありませんでした。
- 希望通りの大学に進学することが決まった。
- 彼女の未来は、希望の光に満ちている。
「希望」は、望んでいる状態や願望が強調され、時にはそのために行動を起こす場面が含まれます。特に「希望通り」という表現には、自分の望む結果が実現することを強く願っている意味合いが込められています。
「期待」と「希望」の類義語
「期待」や「希望」に似た意味を持つ言葉としては、「願望」や「予想」、「予期」などが挙げられます。しかし、これらの言葉には微妙に異なるニュアンスがあります。
たとえば、「願望」はもっと強い個人的な欲望を示す言葉であり、「予想」は未来の出来事に対する予測を意味します。「期待」や「希望」を使い分ける際は、これらの言葉との違いも意識しておくと良いでしょう。
まとめ
今回は、「期待」と「希望」の違いについて解説しました。
「期待」は未来の出来事を待つことを表し、「希望」は自分の望む結果を願い、それに向けて行動することもあるという違いがあります。
これらを適切に使い分けることで、より正確で豊かな表現ができるようになるでしょう。