日常生活でよく目にする「言葉遣い」と「言葉使い」。この2つは似た表記ですが、それぞれ使い方が微妙に異なります。どちらも「言葉」に関わる表現であるため、使い分けがわからず悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、「言葉遣い」と「言葉使い」の違いを詳しく解説し、実際の使い分けのポイントについて分かりやすく説明します。この記事を読めば、正しい使い方が理解できるようになるはずです。
「言葉遣い」の意味
「言葉遣い(ことばづかい)」とは、言葉を使う際の態度や方法、話し方を指します。例えば、敬語や丁寧語の正しい使用、場面に応じた話し方などがこれに含まれます。
語源・由来
漢字の「遣う」には「うまく操作する」や「扱う」という意味があり、「言葉遣い」は言葉を適切に操る行為やマナーを表します。「遣う」は、古くから人や物を移動させたり操作したりする行為を表していました。そこから派生して、「言葉を操作する」=「言葉遣い」という言葉が生まれたとされています。
「言葉遣い」の例文
- 店員がお客様に対して丁寧な「言葉遣い」をしている。
- 上司との会話では正しい「言葉遣い」が求められる。
- 「その言葉遣いは不適切だ」と親から注意された。
- 当社の理念に共感いただける言葉遣いができるかどうかが大切です。
- 面接の際には、相手に対して丁寧な言葉遣いを心がけることが重要です。
「言葉使い」の意味
一方、「言葉使い(ことばづかい)」とは、言葉を具体的にどう使うか、という意味合いを持つ言葉です。たとえば、会話の中で特定の言葉をどのように選んで使うかや、文脈に応じた言葉の選択が「言葉使い」に含まれます。
語源・由来
「使う」という漢字には「道具や方法を用いる」という意味があります。そのため、「言葉使い」は、個々の単語や表現方法そのものに焦点を当てている言葉です。
「言葉使い」の例文
- 話し相手に合わせた「言葉使い」が求められる。
- 友人との会話なので、「言葉使い」をあまり堅苦しくしないように。
- 子どもには優しい「言葉使い」で説明するようにしましょう。
- その「言葉使い」は、子どもに適していないと感じた。
- 児童には優しくて分かりやすい「言葉使い」が求められます。
「言葉遣い」と「言葉使い」の違い
「言葉遣い」と「言葉使い」の違いを簡単にまとめると、以下のようになります。
項目 | 「言葉遣い」 | 「言葉使い」 |
---|---|---|
意味 | 言葉の使い方やマナー、態度 | 言葉の選び方、表現方法 |
使われる場面 | 敬語や丁寧な話し方 | 場面に応じた具体的な言葉の選択 |
例 | 丁寧な言葉遣い、礼儀正しい話し方 | カジュアルな言葉使い、ビジネスの言葉 |
焦点 | 相手への配慮や話し方全体 | 言葉そのものの選び方 |
「言葉遣い」と「言葉使い」は、どちらも使うことのできる表現ですが、意味やニュアンスに若干の違いがあります。
「言葉遣い」の方は「遣う」という漢字が使われており、言葉の選び方や使い方、話し方の丁寧さや配慮といったニュアンスを含みます。例えば、「丁寧な言葉遣い」「言葉遣いに気をつける」といった表現があり、相手との関係性や状況に応じた適切な言葉選びを指します。礼儀やマナーに重きを置く場面で用いられることが多いです。
一方、「使う」という字を用いた「言葉使い」は、言葉をどのように運用するかという、より直接的な意味を持ちます。「正しい言葉使い」「子どもの言葉使い」のように、文法や言い回しの正確さ、語彙の選び方に注目する際に使われることが一般的です。言葉そのものの選び方に焦点を当てたのが「言葉使い」となります。
違いのまとめ
「言葉遣い」は主に態度や振る舞いとしての側面に注目し、「言葉使い」は言語表現そのものの選択に注目している点が最大の違いです。
そのため、敬語やマナーなどが重視されるフォーマルな場では「言葉遣い」を使い、それ以外の日常的な場面では「言葉使い」を使うのが本来の使い方となります。
ただし、普段の文章ではそこまで厳密には区別されず、どちらも類似の意味で使われることも少なくありません。
どちらを使うのが正しい?
「言葉遣い」と「言葉使い」は、どちらも使われる表現ですが、現在の日本語では「言葉遣い」が一般的で、より適切な表現とされています。そのため、どちらを使うか迷った場合は「言葉遣い」を使えば問題ありません。
理由
- 辞書的な扱い
標準的な国語辞典(『広辞苑』や『大辞林』など)では、「言葉遣い」が正式な項目として掲載されており、「言葉使い」は省略や簡略化された表現として扱われています。また、「言葉使い」という表記自体がない辞書もあります。 - 礼儀や態度へのニュアンス
「遣う」という字には、相手への配慮や礼儀正しさが含まれるため、敬語や丁寧な話し方に関連する場合、「言葉遣い」の方が適切です。 - 慣用表現としての定着
日本語では、「言葉遣いが悪い」「丁寧な言葉遣い」といった表現が広く使われており、「言葉使い」は日常的に目にする機会が少なくなっています。
例外的な使い方
ただし、「言葉使い」も誤りというわけではないため、特定の文脈で用いられることがあります。例えば、子どもの学習や言語運用の技術に関する説明では、「正しい言葉使い」のように、単純に「言葉を使う」という意味合いで使用される場合もあります。
結論
基本的には「言葉遣い」を使うのが正しい選択です。ただし、「言葉使い」が必要な場面では、文脈や対象によって使い分けるとよいでしょう。
まとめ
「言葉遣い」は、話し方や態度、言葉の使い方のマナーや礼儀を指し、特に敬語や丁寧さに焦点を当てた場面で使われます。一方、「言葉使い」は言葉の具体的な使用方法や語彙の選択に注目する際に用いられます。
現代では「言葉遣い」が主流で、「言葉使い」は簡略化された表現として扱われることが多いです。そのため、迷ったときは「言葉遣い」を使うのが無難です。ただし、「言葉使い」も言葉の運用や学習などの特定の文脈で適切に用いられることがあります。
両者の違いを理解し、場面に応じた使い分けを心がけると、より適切な表現が可能になります。