
日常生活やビジネスシーンにおいて、情報を人に伝えることはよくあります。その際によく使われるのが、「公開」と「開示」という言葉です。
どちらも「情報を見せる」という点では共通しますが、対象や目的によって適切に使い分ける必要があります。本記事では、誤解されやすい「公開」と「開示」について、その違いをわかりやすく解説していきます。
「公開」の意味
「公開(こうかい)」とは、不特定多数の人々に対して、情報や成果物を広く開放することを意味します。
たとえば、映画の公開、研究成果の公開、行政文書の公開などが典型例です。
ポイントは、誰でも自由にアクセスできる状態を作るという点にあります。公開される情報は、特定の相手に限られず、社会全体に向けて開かれるのが特徴です。
また、「公開」には、積極的に知らせたい、周知したいという意図が込められています。企業の新商品発表や、学校での研究発表会などは「公開」の典型例でしょう。
さらに、インターネットの発達により、ブログ記事や動画配信といった形で個人が気軽に情報を「公開」できる時代になっています。このように、「公開」はオープンで広範囲に情報を広めるニュアンスが強い言葉です。
「公開」の例文
- 新作映画は、全国の劇場で一斉に公開された。
- 市は、住民に向けて会議の内容を公開した。
- 研究チームは、新しい発見を学会で公開した。
- 博物館は、貴重な資料を一般に公開している。
- 政府は、統計データをインターネットで公開した。
「開示」の意味
「開示(かいじ)」とは、特定の相手や限られた範囲に対して必要な情報を示すことを指します。
多くの場合、法律や契約に基づき、求められた相手に正確な情報を提供する場面で使われます。たとえば、企業が株主に対して財務情報を開示する場合や、行政が市民に対して個人情報を開示する場合などです。
「公開」との大きな違いは、不特定多数ではなく、限定された対象に向けて行われる点にあります。不特定多数に向けて広く情報を発信するような場合は「開示」とは言いません。
また、開示は義務的・公式的な文脈で使われることが多い言葉です。そのため、ビジネスや法的なやり取りの中では特に重要な役割を果たします。
「開示」の例文
- 会社は、株主に向けて財務情報を開示した。
- 裁判所は、証拠資料の一部を相手方に開示した。
- 企業は、取引先にリスク情報を開示した。
- 病院は、患者に対して診療記録を開示した。
- 行政機関は、請求に応じて情報を開示した。
「公開」と「開示」の違い
「公開」と「開示」の違いは、次のように整理することができます。
項目 | 公開 | 開示 |
---|---|---|
対象 | 不特定多数の人 | 特定の相手 |
ニュアンス | 広く知らせる、オープンにする | 必要に応じて示す |
用途の例 | 映画公開、研究成果の公開、行政文書公開 | 財務情報開示、裁判資料の開示 |
情報の範囲 | 広い・一般的 | 限定的・必要な範囲 |
主な目的 | 社会全体への周知 | 利害関係者への説明・透明性確保 |
「公開」と「開示」は、いずれも「情報を人々に示すこと」を表しますが、その範囲や目的に違いがあります。
「公開」とは、不特定多数の人に対して広く情報を示すことを指します。たとえば、映画の公開、研究成果の公開、行政文書の公開など、多くの人が自由に閲覧できる形をとるのが特徴です。「オープンにする」というニュアンスが強く、一般社会に広く知らせる場合に使われます。
一方、「開示」とは、特定の相手に対して必要な情報を示すことを意味します。たとえば、企業が株主や取引先に財務情報を開示する場合や、裁判において証拠を相手方に開示する場合などです。「必要な人に必要な範囲で見せる」という制限がある点が重要です。
このように、「公開」は一般社会を広く対象とするのに対し、「開示」は限定された相手に対して行う点で使い分けられます。
「公開」と「開示」の使い分け
それでは、実際に両者をどのように使い分ければよいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け方を簡単に示します。
①社会に広く知らせる場合 ⇒ 「公開」
新しい製品やイベント、研究成果などを一般の人に広めたいときは「公開」を使います。オープンにして多くの人に見てもらう際に適しています。
②特定の相手に必要な情報を示す場合 ⇒ 「開示」
株主や取引先、裁判の当事者など、特定の人に情報を伝えるときは「開示」を使います。対象が限定され、必要に応じた伝達に用いられます。
③法律や制度上で定められた場合 ⇒ 「開示」
契約や法律で義務付けられている情報提供は「開示」を使います。たとえば、企業が財務諸表を開示するのは、投資家保護や市場の公正を保つためです。
まとめ
この記事では、「公開」と「開示」の違いを解説しました。「公開」は不特定多数に広く知らせる場合、「開示」は特定の相手に必要な情報を伝える場合に使われます。
広く知らせたいなら「公開」、特定の相手に必要な情報を渡すなら「開示」と覚えると混乱しにくいです。意味を正しく理解し、状況に応じて使い分けることで、相手に誤解を与えず正確な情報伝達が可能になるでしょう。