「怒る」と「怒鳴る」は、どちらも人の感情や態度を表す場面で使われる言葉です。しかし、実際にはこの二つの語には、日常の中で見落としやすい違いが存在します。
感情を正確に捉えたいときほど、言葉の違いを知ることは役に立ちます。本記事ではそれぞれの意味を、具体例を交えてわかりやすく解説していきます。
「怒る」の意味
「怒る(おこる)」とは、不満や不快、理不尽さなどを感じて心の中に強い感情が生まれる状態を指します。
声を荒げるかどうかは関係なく、心の中で腹が立っただけでも「怒る」と表現できます。
たとえば、無言で表情が険しくなるだけの状態でも「怒っている」と言えます。
このように、「怒る」は感情そのものを指す語なので、外見に出す場合と出さない場合の両方が含まれます。
また、辞書には「注意する」という意味が記載されることもありますが、一般的には感情を表す語として使われます。行動ではなく心の働きを表す語であるという点が、他の類語との大きな違いです。
「怒る」の例文
- 彼は、約束を破られたことで強く怒った。
- 友人は、理不尽な扱いを受けて静かに怒った。
- 上司は、部下の報告漏れに対して顔を赤くして怒った。
- 姉は、弟のいたずらに対してついに怒った。
- 彼女は、長時間待たされたことに気付き、急に怒った。
「怒鳴る」の意味
「怒鳴る(どなる)」とは、大きな声を出す行為そのものを指します。
必ずしも怒りが理由とは限らず、相手を呼ぶために大声を出す場合にも使われます。ただし、日常的には強い感情を外にぶつける形として用いられることが多く、特に相手を叱る場面で使われることがあります。
「怒る」が感情であるのに対し、「怒鳴る」は明確に行動を表す語で、声量の増加という外見的な特徴が伴う点が大きな違いです。
また、「怒鳴る」は相手を威圧したり強い注意を促したりする目的で使われることもあります。感情の有無よりも、大声という行動が中心になっている点が重要なポイントです。
「怒鳴る」の例文
- 教師は、危ない行動をした生徒に向かって思わず怒鳴った。
- 彼女は、離れた場所にいる友人へ必死に怒鳴った。
- 父は、家の中が散らかっていたことに気付いて怒鳴った。
- 先輩は、準備を怠った後輩に対して大声で怒鳴った。
- 彼は、部屋の奥にいる子供の名前を大きな声で怒鳴った。
「怒る」と「怒鳴る」の違い

「怒る」と「怒鳴る」の違いは、次のように整理することができます。
| 項目 | 「怒る」 | 「怒鳴る」 |
|---|---|---|
| 種類 | 感情 | 行動 |
| 感情の有無 | 必ずある | 必ずしも必要ではない |
| 声の大きさ | 関係しない | 必ず大きな声 |
| 外見上の特徴 | 表情の変化・態度 | 大声・叫び声 |
| 主な目的 | 不満や怒りを抱く状態を示す | 相手に強く伝える、呼ぶ、叱る |
「怒る」は、相手の行動や状況に対して不満や強い感情が生じた状態そのものを指します。つまり、内面で感じている感情を表す言葉であり、声を荒らげるかどうかは関係ありません。表情が険しくなったり、黙ったまま不機嫌になっているだけでも「怒っている」と言えます。
一方の「怒鳴る」は、相手に向かって大きな声を上げる行為を指します。感情を外に強くぶつける行動であり、相手を威圧したり注意したりする際に発生します。
必ずしも激しい怒りが伴うとは限らず、危険を知らせるための「怒鳴り声」など、感情より行動が重視される場面も存在します。
両者の違いを整理すると、「怒る」は感情の発生、「怒鳴る」はその感情を大きな声という形で表に出した行動と捉えると分かりやすいです。
怒っていても怒鳴らない人もいれば、強い怒りはなくても状況的に怒鳴る人もいます。場面によって適切な語を選ぶことで、感情状態と行動の違いをより正確に表現できます。
「怒る」と「怒鳴る」の使い分け
それでは、実際に両者をどのように使い分ければよいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け方を簡単に示します。
①感情だけが生じている場合 ⇒ 「怒る」
感情が内側で高まっているときは、「怒る」を使います。声を出さず表情が変わるだけでも成立します。
②強く注意する必要がある場合 ⇒ 「怒鳴る」
相手に危険を知らせたり、強く行動を改めさせたいときは「怒鳴る」を使います。
③大声で呼んだり伝えたりする必要がある場合 ⇒ 「怒鳴る」
怒りが理由でなくても、大きな声を出すときは「怒鳴る」を使います。
※ただし、「怒鳴る」=「怒っている」と決めつけると誤解を招くことがあります。感情よりも声の大きさが中心の語だと覚えておくと使い分けがスムーズになります。
まとめ
この記事では、「怒る」と「怒鳴る」の違いを解説しました。
「怒る」はあくまで心の中の動きを表すため、表に出さなくても成立します。一方で「怒鳴る」は、強い音声という動作そのものが中心で、怒りの有無は必須ではありません。
この違いを理解すると、場面に応じた正確な表現ができるようになります。
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