路床盛土 路体盛土 違い 意味 使い分け

道路工事や土木作業において、「路床盛土」と「路体盛土」という言葉を見かけることがあります。これらの用語は似ているようで、実は役割が大きく異なるものです。

しかし、違いや使い分けが分かりにくいと感じる方も多いと思われます。本記事では、「路床盛土」と「路体盛土」の意味と違い、さらに具体的な使い分けについて分かりやすく解説します。

「路床盛土」の意味

 

路床盛土(ろしょうもりど)」とは、道路の「路床」部分に対して行う盛土作業、またはその盛った土自体を指します。

「路床(ろしょう)」とは、道路構造の中でも舗装のすぐ下に位置する層であり、車の重みを直接受け止める重要な部分です。そのため、路床に使われる土は特に丁寧に締め固められ、沈下や変形が起きないように施工されます。

この「路床盛土」は、道路の上部構造の安定性や耐久性に大きく関わります。路体がすでにできあがった上に、さらに高い精度で締め固めた土を使って路床を形成することで、その上に乗る路盤や舗装の品質が保たれるのです。

一般的には、粒度のそろった良質な土が使われ、水分量や圧縮強度なども細かく管理されます。道路の使用開始後に発生する「舗装のひび割れ」や「段差」の多くは、この路床部分の施工不良が原因とも言われており、それだけ重要性の高い工程と言えるでしょう。

「路床盛土」の例文

  1. 現場監督は、道路の強度を保つため、路床盛土の締め固めを何度も確認した。
  2. 工事計画では、雨天が続いたため、路床盛土の施工日程を見直すことになった。
  3. 路床盛土に使用する土質は、専門の試験を通して適合が確認された。
  4. 建設業者は、地盤沈下を防ぐため、路床盛土の層を少しずつ積み上げた。
  5. 新設道路の工事では、路床盛土の厚さを均一に保つことが重要視された。

「路体盛土」の意味

 

路体盛土(ろたいもりど)」とは、道路の全体的な土台(=路体)を作るために土を盛ること、またはその土のことを指します。

「路体」は、地形がでこぼこしていたり、谷や斜面になっている場所に道路をつくる際に、必要な高さと形に整えるための構造です。道路の「骨組み」ともいえる基礎部分です。

この路体盛土では、大量の土を広範囲にわたって盛りつけるため、安定性の確保が重要になります。施工では、層を薄く分けて締め固めを繰り返し、土の中に空気や水分が偏らないようにします。

もし路体がしっかりしていなければ、その上にどんなに頑丈な舗装をしても、時間が経つと沈下やひび割れが発生する原因になります。

つまり、路体盛土は「道路の基礎となる地盤をつくる工程」であり、道路工事のスタート地点ともいえる工程です。現場の条件に応じて、粘土・砂・礫などさまざまな土質が選ばれます。

「路体盛土」の例文

  1. 工事の初期段階で、まずは路体盛土によって地盤の高さを整えた。
  2. 土砂の運搬が遅れたことで、路体盛土の作業に遅れが生じた。
  3. 設計図に従い、路体盛土は10cmずつ層を重ねて施工された。
  4. 山間部では、崩れやすい地形のため路体盛土に特別な工法が使われた。
  5. 路体盛土の圧密が不十分だったため、舗装後にわずかな沈下が確認された。

「路床盛土」と「路体盛土」の違い

路床盛土 路体盛土 違い

「路体盛土」と「路床盛土」の違いは、次のように整理することができます。

項目 路体盛土(ろたいもりど) 路床盛土(ろしょうもりど)
位置 道路全体の土台部分(最も下) 路体の上部にある「路床」の部分
目的 地形を整え、道路の高さや形を作る 車の重さを支えるための強い下地をつくる
締め固めの程度 比較的広範囲にわたる より強く、沈下しないように締め固めが重要
関連する構造 路体(道路の基本構造) 路床(路盤や舗装の下にある構造層)
重要性の特徴 道路全体の安定性に関わる 上部構造を支えるための耐久性が求められる

「路床盛土」と「路体盛土」の違いは、役割・位置・施工方法にあります。

一言でいえば、「路体盛土」は道路全体の骨組みを作る工程であり、「路床盛土」はその上にある舗装部分を支えるための、より細かく仕上げる層です。

路体盛土は、山や谷などの不整地において、道路を平らにするために大量の土を使って形を整えます。いわば道路の「基礎工事」です。

それに対して路床盛土は、その基礎の上にさらに精密に盛られた土であり、舗装や車両の重さを直接受ける層の下地として使われます。

また、施工方法も異なります。路体盛土は大量の土を使って広い範囲を締め固めるのに対し、路床盛土はより高密度で丁寧に締め固められます。これにより、舗装後の沈下やひび割れを防ぐのです。

このように、それぞれの工程は道路全体の中で異なる役割を持ち、両方が正しく施工されることで、安全で長持ちする道路が完成するのです。

「路床盛土」と「路体盛土」の使い分け

それでは、実際に両者をどのように使い分ければよいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け方を簡単に示します。

① 道路の基礎を作る場合 ⇒ 「路体盛土」

地形がでこぼこしている場所で道路を通すためには、まず地面を平らにする必要があります。このときに使うのが「路体盛土」です。道路全体の高さや形を整えるために、大量の土を使って基礎を作ります。

② 車の重さを支える層をつくる場合 ⇒ 「路床盛土」

路体の上にある「路床」の部分に土を盛り、その上に路盤や舗装が乗ります。車の重さが直接かかる部分のため、ここには「路床盛土」が使われ、特に強く締め固めて沈下を防ぎます。

③ 盛土の精度や強度が求められる場合 ⇒ 「路床盛土」

例えば、高速道路や交通量の多い場所では、舗装の下の土に特に強い耐久性が求められます。

このようなときには、「路床盛土」でしっかりと強化することが重要です。

まとめ

 

この記事では、「路床盛土」と「路体盛土」の違いを解説しました。どちらも道路づくりに欠かせない大切な工程ですが、それぞれに役割や目的があります。

「路体盛土」は道路の基礎を支える広い範囲の土、「路床盛土」はその上にある舗装の土台となる部分です。意味を正しく理解することで、設計や現場での判断に役立てることができるでしょう。