催事 イベント 違い 意味 使い分け

日常会話や広告などでよく見かける「催事」や「イベント」という言葉。何気なく使われていますが、実は意味に違いがあることをご存じでしょうか?

「何となく同じようなもの」と思っていると、場面によっては違和感を与えてしまうこともあります。この記事では、それぞれの言葉の意味や使い分けのポイントを分かりやすく解説します。

「催事」の意味

 

催事(さいじ)」とは、特別に行われる催し物のことを指します。

語源は動詞の「催す(もよおす)」で、「あることをきっかけに、物事を起こす・実施する」という意味を持ちます。この語源からも、「催事」は人の関心を引くために意図的に開催される特別な集まりであることがわかります。

「催事」は、特に商業施設やデパートなどでよく使われ、販売促進や集客を目的としたイベントに対して用いられます。たとえば、地方の名産品を集めた「北海道フェア」や、調理器具の「実演販売会」などが代表的です。

重要なポイントは、あくまで一時的・特別なイベントを指すということです。毎年恒例の祭りや定期開催のイベントのように、日常化・定着しているものは一般に「催事」とは呼ばれません。

「催事」の例文

  1. デパートでは、全国の特産品を集めた催事が開催されています。
  2. 今週末の催事では、地元の人気スイーツが販売される予定です。
  3. 催事場の設営スタッフとして、朝から準備を手伝いました。
  4. 駅前の広場で、期間限定の催事が開かれてにぎわっていました。
  5. 商業施設の催事スペースで、新商品の試食販売が行われています。

「催事場(さいじよう)」「催事スペース」といった表現もあり、これらは施設内に設けられた催事専用の空間を意味します。商業施設の案内図などでよく見かける表現です。

「イベント」の意味

 

イベント」とは、催し物全般の総称として使われる言葉です。

語源は英語の「event」で、「出来事」「行事」「催し」という意味があり、日本語でも同様に広い意味を持って使われています。

特別な行事、恒例の行事、さらには日常的に行われる地域のお祭りやスポーツ大会なども「イベント」と呼ぶことができます。

たとえば、音楽フェス、マラソン大会、文化祭、ワークショップなど、そのジャンルは多種多様です。特別であるかどうかにかかわらず、「イベント」は成立します。

また、スポーツや格闘技の世界では、「イベント」は試合の単位として使われることもあります。「メインイベント」などがその代表例です。

このように、「イベント」は日常からビジネス、エンタメに至るまで、非常に幅広い場面で用いられるのが特徴です。

「イベント」の例文

  1. 来月、市民ホールで音楽イベントが開催されます。
  2. 夏休みに向けて、家族向けのイベントが企画されています。
  3. そのイベントでは、地元の中学生による演奏も行われました。
  4. SNSで見たイベント情報がきっかけで、会場に足を運びました。
  5. 今日の格闘技大会では、最後の試合がメインイベントでした。

「催事」と「イベント」の違い

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「催事」と「イベント」の違いは、次のように整理することができます。

項目 催事(さいじ) イベント
意味 特別に行われる催し物 催し物全般の総称
百貨店の物産展、新作発表会など 祭り、ライブ、スポーツ大会など
開催の性質 特別、不定期(恒例行事には使わない) 特別・恒例問わず
使用される場 商業施設、百貨店などで多用される 一般的に広く使われる
用語の範囲 「イベント」よりも狭い 「催事」を含む、より広い意味
英語対応 特に定訳なし(英語では”event”で訳される) 英語の”event”

「催事」と「イベント」は、どちらも「人を集めて何かを行う催し物」という共通点を持ちますが、意味の範囲や使われ方に違いがあります。

「催事」は、特別に行われる会・展示などの催し物を指します。百貨店や商業施設では「物産展」や「期間限定ショップ」などが催事として開かれ、一般的には「催事場」や「催事ブース」という言葉でも使われます。

ここで重要なのは、「催事」は特別に開催されるものに限定される点です。恒例の年中行事や定期開催の行事は「催事」とは呼びません。

一方、「イベント」はもっと広い意味を持ちます。特別かどうかに関係なく、定期開催の祭りやコンサートなども含め、すべての「催し物」を指す総称です。さらに、スポーツやエンタメの世界では「試合」「競技」の意味でも使われ、「メインイベント」などはその代表例です。

このように、「催事」は「イベント」の中の一部であり、「イベント」全体の中に「催事」が含まれるという関係にあります。

「催事」と「イベント」の使い分け

 

言葉の違いを理解したうえで、両者を適切に使い分けることが大切です。以下のようなケースでの使い分けが役立ちます。

①商業施設での商品販売や特別展示の場合 ⇒ 「催事」

→ 商業施設で特別に行われる物産展や実演販売のときは「催事」を使います。

②文化的・地域的な行事やライブなどの場合 ⇒ 「イベント」

→ 地域のお祭り、音楽ライブ、ワークショップなど広い目的を持つときは「イベント」を使います。

③スポーツやエンタメの中で個別の試合や催しを指すとき ⇒ 「イベント」

→ スポーツ大会の中の一試合や、格闘技での「メインイベント」など、個別の演目として表す場合は「イベント」を使います。

まとめ

 

この記事では、「催事」と「イベント」の違いを解説しました。

「催事」は特別な目的で一時的に行われる催し物で、主に商業施設などで使用されます。一方、「イベント」は恒例・不定期を問わず、広く催し物全般を指す言葉です。

場面に応じて適切に使い分けることで、より自然で正確な日本語表現ができるようになるでしょう。