
「志望」と「希望」は、どちらも未来への願いを表す言葉ですが、その使い方には違いがあります。あなたはこれらの言葉をどのように使い分けていますか?
正しく理解し、場面に合わせて使い分けることで、言葉の力を引き出すことができます。今回は、「志望」と「希望」の違いについて解説していきます。
「志望」の意味
「志望(しぼう)」とは、自分自身が特定の目標や職業、進路に対して望むことを意味します。
この言葉には、単なる願望だけでなく、目標に向かって努力する意思が含まれています。「志」という漢字は「こころざし」、すなわち「目的を持った強い意志」を表しており、「望」は「望むこと」を意味します。
そのため、「志望」は単なる願いではなく、強い意志を持った目標設定を示します。
例えば、受験や就職の際に「志望校」や「志望動機」という表現が使われます。これは、単に「行けたらいいな」という希望ではなく、「この学校に入りたい」「この職業に就きたい」といった意志を表しているからです。
このように、「志望」は具体的な目標が伴う場面で使われることが多いです。
「志望」の例文
- 彼の第一志望は、東京大学だと聞いている。
- 面接では、なぜこの会社を志望したのかを明確に伝えることが大切だ。
- 志望動機を書くときは、具体的な理由を述べる必要がある。
- 医者になることを志望している彼は、毎日熱心に勉強している。
- 志望校に合格するために、彼は毎日10時間以上勉強している。
「希望」の意味
一方、「希望(きぼう)」とは、自分や他人、社会全体などが「こうなればいいなと思う気持ち」や「明るい未来への期待」を意味します。
「希」という漢字は「めったにない」や「少しの望み」という意味を持ち、「望」は「望むこと」を表します。このことから、「希望」は強い意志などではなく、単なる願望を示すことが分かります。
例えば、「希望者にはプレゼントを差し上げます」という表現では、「もらいたいと思っている人」のことを指します。また、「希望の光」などの表現では、「将来への期待」や「明るい未来」を象徴する言葉として使われます。
つまり、「希望」は広い意味で「こうなったらいいな」という思いを表すのです。
「希望」の例文
- 彼は海外で働きたいという希望を持っている。
- 講座の受講を希望する方は、申し込み用紙に記入してください。
- 希望に満ちた若者たちは、夢を追いかけて都会へ出て行った。
- 私の希望は、家族が健康で幸せに暮らすことです。
- 彼女は新しい仕事を希望しているが、まだ具体的な行動はとっていない。
「志望」と「希望」の違い
「志望」と「希望」の違いは、以下のように整理することができます。
項目 | 志望 | 希望 |
---|---|---|
意味 | 目標に対して望むこと | こうなればいいなという願望 |
使い方 | 進学、就職、職業などに使われる | 広い意味での願望に使われる |
例 | 志望校・志望動機・志望職種 | 希望者・希望条件・希望の光 |
意志の強さ | 強い意志を伴う | 意思の有無はなし |
望みの対象 | 自分自身の進路・目標 | 自分・他人・社会全体 |
「志望」は、目標に向かって努力する意思が込められた言葉です。自分が進むべき道や目指すべき目標に対して、強い意志を持ち、それに向けて努力を惜しまないという意味合いが含まれています。
「志望」と「希望」の使い分け
「志望」と「希望」は、以下のように使い分けるとよいです。
1. 進学や就職の場面では「志望」
例えば、大学入試や企業への応募では、「希望」ではなく「志望」を使います。
× 第一希望の大学 → 〇 第一志望の大学
× 会社を希望する → 〇 会社を志望する
2. 配属や願望を述べるときは「希望」
会社の部署や勤務地を選ぶ場合は「希望」を使います。
〇 配属希望を出す
〇 希望する勤務地を伝える
3. 明確な目標がある場合は「志望」
「〇〇になりたい」という具体的な目標があるときは「志望」が適切です。
〇 医者を志望する
〇 教師を志望する
4. 漠然とした願いなら「希望」
単なる願いごとや未来への期待を述べるときは「希望」を使います。
〇 未来に希望を持つ
〇 世界が平和になることを希望する
使い分けのまとめ
- 「志望」 は自分自身の進路や目標に使う。(例:「医師志望」「第一志望」)
- 「希望」 は自分・他人・社会全体の望みに使う。(例:「希望の職種」「世界平和を希望する」)
- 「希望」は未来への明るい見通しにも使う。(例:「希望を捨てない」「希望に満ちた人生」)
まとめ
今回は、「志望」と「希望」の違いを解説しました。
「志望」は強い意志と努力を伴う目標設定を表し、進学や就職の際に使われます。一方、「希望」は願望や期待を示し、強い意志を伴わないことが多いです。
両者は意志の強さや使われる場面が異なるため、適切に使い分けることが必要となります。