お菓子やドリンク、中華料理などの原材料を見ていると、「シナモン」「八角」「ニッキ」といった香辛料の名前を目にすることがあります。どれも独特の甘い香りがあり、何となく似た印象を持っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、実はこの三つは原料も使われ方もまったく異なる香辛料です。この記事では、シナモン・八角・ニッキの違いについて、それぞれの意味や特徴をわかりやすく解説していきます。
「シナモン」の意味
「シナモン」とは、クスノキ科の常緑樹「肉桂(ニッケイ)」の幹の樹皮を乾燥させて作られる香辛料 のことです。
世界最古のスパイスの一つとされ、古代エジプト時代には薬や保存料としても利用されていました。歴史的にも非常に長く親しまれてきたスパイスです。
香りは 甘くて温かみがあり、辛味がほとんどないやさしい風味 が特徴です。アップルパイやシナモンロール、クッキー、カプチーノ、チャイなど、おもに洋菓子やドリンクで広く使われています。カレーや肉料理など、料理の香りづけにも使われる汎用性の高さも魅力です。
シナモンにはいくつかの種類があり、特に有名なのが 「セイロンシナモン(本物のシナモン)」 と 「カシア(シナニッケイ)」 の二種類です。
- セイロンシナモン:香りが繊細で上品、価格はやや高め
- カシア:香りが強くスパイシーで、一般のスーパーではこちらが多い
特に日本で普段からよく目にする粉末シナモンの多くは、手に入りやすく香りが強いカシアが使われています。このように、シナモンは甘い香りを生かす“洋菓子の定番スパイス” として親しまれています。
「八角」の意味
「八角(はっかく)」とは、シキミ科の植物「ダイウイキョウ」の果実を乾燥させた香辛料 です。星のような八つの角を持つ形が特徴的で、その見た目から英語では 「スターアニス」 とも呼ばれています。
八角の香りは、甘さの中に強烈なスパイシーさがあり、シナモンよりも格段に主張が強いのが最大の特徴です。独特の香りのため好みが分かれますが、一度料理に加えるだけで全体の香りが華やかになり、深みやコクが生まれます。
主な用途は以下の通りです。
- 角煮
- チャーシュー
- 北京ダック
- 麻婆豆腐
- 五香粉(中華ミックススパイス)
特に煮込み料理の臭み消しとして優秀で、肉やスープの香りを一気に中華料理らしく変えてくれます。
八角にも種類があり、中国産のものが一般的ですが、産地によって香りの強さに微妙な違いがあります。また、八角は量を入れすぎると香りが強く出すぎるため、少量で使うのがコツです。
このように、「八角」は果実が原料で、香りも用途もシナモンやニッキとは大きく異なるスパイスといえます。
「ニッキ」の意味
「ニッキ」とは、日本産のクスノキ科の樹木から作られる香辛料で、別名「ニッケ」とも呼ばれます。原料の系統はシナモンと近いものの、日本独自に発展したスパイスです。
最大の特徴は、甘い香りの中にしっかりとした辛味・刺激があることです。京都名物の八つ橋やニッキ飴を思い浮かべると分かるように、鼻に抜けるツンとした香りが印象に残ります。この刺激の強さが、シナモンとの決定的な違いといえます。
そして、ニッキとシナモンのもっとも大きな違いは使われる部位にあります。
- シナモン:幹の樹皮
- ニッキ:主に根の部分
同じクスノキ科でも、根を使うことによって香り成分の出方が変わり、ニッキ特有の鋭い辛味が生まれます。そのため、シナモンのような「やさしい甘さ」というよりも、大人向けで個性の強い香りとして感じられることが多いのです。
ニッキの用途は、以下のように主に日本の和菓子文化の中で発展してきました。
- 八つ橋
- ニッキ飴
- かりんとう
- せんべいや和菓子の香りづけ
洋菓子で広く使われるシナモンとは異なり、ニッキは用途が限定的で、流通量も多くありません。そのため、価格はやや高めで、近年は若い世代には馴染みが薄くなりつつあります。
一方で、生薬として利用されてきた歴史もあり、体を温める作用があるとされるなど、日本人の生活に根付いた伝統的な香辛料でもあります。
このように、ニッキはシナモンと近縁でありながら、香り・辛味・用途のすべてにおいて異なる個性を持つ、日本独自のスパイスといえるでしょう。
シナモン・八角・ニッキの違い
それぞれの違いは、以下のように整理することができます。
| スパイス | 原料・部位 | 香りの特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| シナモン | クスノキ科/幹の樹皮 | 甘くやさしい | 洋菓子、ドリンク |
| ニッキ | クスノキ科/根 | 甘さ+強い辛味 | 和菓子(八つ橋など) |
| 八角 | 別系統の植物/果実 | 非常に強く濃厚 | 中華料理、煮込み料理 |
シナモン・ニッキ・八角は、いずれも甘い香りを持つ香辛料ですが、原料・香り・用途は明確に異なります。
「シナモン」は、幹の樹皮から作られ、甘くやさしい香りが特徴です。洋菓子やドリンクなど、幅広い用途で使われています。
「ニッキ」は、同じクスノキ科でも根の部分を使う点が特徴で、辛味が強く、日本の和菓子に特化した使われ方をしてきました。
「八角」は、そもそも植物の系統が異なり、果実を使うスパイスです。香りが非常に強く、中華料理の煮込みや肉料理に向いています。
以上の説明から、
- 洋菓子の甘い香り:シナモン
- 和菓子の刺激的な香り:ニッキ
- 中華料理の濃厚な香り:八角
と覚えると、違いと使い分けが分かりやすくなります。
まとめ
シナモン・八角・ニッキは、香りが似ているため混同されがちですが、実際には三者三様の個性を持つ香辛料です。原料や作られ方、使われる料理を知ることで、その違いははっきりします。
次にお菓子や料理を口にしたとき、「この香りはどれだろう?」と意識してみてください。スパイスの違いに気づけるようになると、食の楽しみはさらに広がるはずです。