真北 磁北 違い 意味 使い分け

「真北」と「磁北」は、どちらも方角を示す際によく出てくる用語です。しかし、この二つが示す「北」は同じではなく、それぞれ違う基準を持っています。

地図やコンパスを正しく使うためには、それぞれの特徴を正確に理解する必要があります。本記事では、「真北」と「磁北」の意味の違いをわかりやすく解説していきます。

「真北」の意味

 

真北(しんぽく)」とは、地球の自転軸が指す地理的な北の方向を指します。

地図上に描かれている北は基本的にこの「真北」を基準としており、測量や地図作成の基準点にもなります。

たとえば、測量士が土地の境界を決めるときや、地図上で複数地点の方角を正確に比較するときには「真北」を基準にします。

「真北」はコンパスの針が指す方向とは別物で、磁場に影響されないため、地理的な位置関係や経緯度に基づいた正確な方向を示します。

時間や季節による変化で方角が変わることは基本的にないため、長期的・公式な用途に適しています。

「真北」の例文

  1. 登山計画を立てるとき、地図で真北を確認してから出発した。
  2. 測量士は、境界を確かめるために真北を基準に角度を測定した。
  3. 地形図を読む場合、まず真北を基準にして方角を把握した。
  4. 天体観測では、望遠鏡の設置にあたり真北を基準に位置を合わせた。
  5. 都市計画の資料では、街区の向きを真北で統一して記載した。

「磁北」の意味

 

磁北(じほく)」とは、地球が持つ磁場に基づいてコンパスが指す北の方向を指します。

地球の内部には磁石のような性質を持つ流体の運動があり、それによって磁場が生まれています。この磁場の影響を受けて、コンパスが指し示す北方向を「磁北」と呼ぶのです。

ただし、地球の磁場は場所によって向きが異なるため、磁北の方向は実際には地域ごとにわずかに変わります。

この磁北と地理的な真北との差を「偏角」と呼び、地図とコンパスを併用する際は偏角を補正する必要があります。

たとえば、山や森でコンパスだけを頼りに進むときは磁北に従いますが、地図を使って正確な方角を出す場合には偏角を考慮することが大切です。

「磁北」の例文

  1. 林道でコンパスを頼りに、磁北を確認して進路を決めた。
  2. 海図を見ながら、船長は磁北に基づいて航路を補正した。
  3. 野外訓練では、参加者が磁北を読んで方角を合わせた。
  4. 登山中、磁北と地図の真北の差を見てルートを調整した。
  5. 古いコンパスを使ったら、磁北が微妙にずれていたので点検した。

「真北」と「磁北」の違い

真北 磁北 違い

「真北」と「磁北」の違いは、次のように整理することができます。

項目 真北(しんぽく) 磁北(じほく)
意味 地球の自転軸に基づく北極点の方向 コンパスが示す磁場に基づく北
基準 地理的・天文学的基準 地球の磁場
一致性 世界共通で安定している 地域や時代によって変化する
誤差 誤差なし(ほぼ固定) 真北との間に磁偏差がある
利用例 地図作成、天体観測、測量 コンパスでの方位確認、登山

「真北」と「磁北」の最も大きな違いは、基準の性質が異なる点です。

「真北」は地理的な基準であり、地球の自転軸に基づく絶対的な北を指します。一方、「磁北」は地球の磁場に基づく実用的な北であり、コンパスの針が示す方向です。

磁北は場所によって向きが変わるため、真北との間に「偏角」と呼ばれる角度差が生じます。偏角は地域ごと、時期ごとに変化することがあるため、地図とコンパスを併用する際は補正が必要になります。

また、用途面でも違いがあり、地図作成や測量では真北が用いられ、野外でコンパスを使う場面では磁北が直接役に立ちます。

このように、「真北」は地理的で絶対的な基準、「磁北」は実際の磁場に基づく実用的基準を示すという違いがあります。

「真北」と「磁北」の使い分け

 

それでは、実際に両者をどのように使い分ければよいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け方を簡単に示します。

① 正確な基準が必要な場合 ⇒「真北」

測量や建築設計、天文学など、誤差が許されない分野では「真北」を使います。真北を基準にすることで、位置や角度を正確に把握することができます。

② 日常的に方角を確認する場合 ⇒「磁北」

登山やキャンプなど、実際に方位磁石を使って方向を知りたいときは「磁北」を使います。実用的で簡単に確認できるため、現場では便利です。

③ 地図と照合して行動する場合 ⇒「真北」と「磁北」両方

登山や航海で地図を参照する場合には、「磁北」と「真北」の差を意識する必要があります。このときは、磁北を知ったうえで偏角を補正し、真北との関係を考慮するのが適切です。

※「真北」は「絶対的で変わらない北」を指すのに対し、「磁北」はあくまで「コンパスが示す相対的な北」です。方位磁石が指す方向は「磁北」であることを理解しておくのがポイントです。

まとめ

 

この記事では、「真北」と「磁北」の違いを解説しました。「真北」は地理的な北極を基準とする絶対的な方角であり、「磁北」は地球の磁場が示すコンパスの向きです。

正確な方角の把握は、安全な行動や正確な測量に直結します。用途に応じてどちらを基準にするかを判断し、地図とコンパスを併用する場合は偏角の補正を忘れないようにしましょう。