
「取得」と「習得」は、どちらも物事を得る場面で使われる言葉です。しかし、両者の意味は似ているようで微妙に異なります。
特に資格や技術を手に入れたいとき、どちらの言葉を使うべきか迷うこともあるでしょう。本記事では、それぞれの意味を具体例を使いながらわかりやすく解説していきます。
「取得」の意味
「取得」とは、資格や免許、物品、権利などを自分のものとして正式に手に入れることを指します。
この言葉の特徴は、単に「得る」「手に入れる」というよりも、外部から認められたり、正規の手続きを経て所有するニュアンスが強い点です。
対象は、土地・株式・不動産といった有形のものから、資格・権利といった無形のものまで幅広く含まれます。学習や努力によって得られる場合もありますが、重視されるのは「所有者として公式に認められること」です。
つまり「取得」とは、努力の成果に限らず、一定の条件や手続きを満たして正式に得られることを表す言葉です。
「取得」の例文
- 彼は大学卒業後、建築士の資格を取得した。
- 株式を取得して、会社の株主となった。
- 日本国籍を取得して、正式に市民権を得た。
- この土地を取得することで、新しいビルを建設できる。
- 運転免許を取得したので、一人で車を運転できるようになった。
「習得」の意味
「習得」とは、知識や技術を学び、練習や経験を通して自分のものにすることを指します。
この言葉の特徴は、自分の努力や学習によって能力や技能を身につける点にあります。
対象は、語学、音楽、運動技術、芸術など、目に見えない知識や技能が中心です。学ぶ方法は他人から教わる場合も自分で学ぶ場合も含まれ、単に知識を得るだけでなく、実践を通して身につけるというニュアンスがあります。
つまり「習得」とは、能力や技能を自分のものとして確実に身につける過程を表す言葉です。
「習得」の例文
- 彼女は毎日練習して、ピアノの演奏技術を習得した。
- 留学を通じて、日常会話レベルの英語を習得した。
- 新しいプログラミング言語を、独学で習得した。
- 書道の基本技法を習得したことで、作品の幅が広がった。
- 安全運転のための交通ルールと運転技術を習得した。
「取得」と「習得」の違い
「取得」と「習得」の違いは、次のように整理することができます。
項目 | 取得 | 習得 |
---|---|---|
意味 | 資格・免許・物品などを手に入れること | 知識や技術を学び身につけること |
対象 | 資格、免許、権利、物品など | 語学、技能、技術、芸術など |
ニュアンス | 外部から与えられるものを正式に得る | 努力や学習によって自分のものにする |
例文 | 「運転免許を取得する」「土地を取得する」 | 「英語を習得する」「プログラミングを習得する」 |
「取得」と「習得」はどちらも「得ること」を意味しますが、意味や使い方には明確な違いがあります。
「取得」は、資格や免許、権利、物品といった、公式に認められるものを手に入れることを指します。正式な手続きや条件を経て自分のものにする、というニュアンスが強いのが特徴です。
これに対して「習得」は、知識や技術を学び、練習や経験を通して自分のものにすることを指します。努力や経験によって能力を身につけることが焦点で、目に見えない知識や技能に使われることが多い点が特徴です。
多くの場合、資格や免許を「取得」する前に、まずその知識や技術を「習得」しておく必要があります。たとえば、英語の資格試験では、まず語学力を「習得」し、その力を公式に認定してもらうことで資格を「取得」するという流れが一般的です。
したがって、「習得」は自分の努力で身につける過程を表し、「取得」はその結果として公式に認められることを表す、と覚えておくと理解しやすいでしょう。
「取得」と「習得」の使い分け
それでは、実際に両者をどのように使い分ければよいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け方を簡単に示します。
① 資格や免許を得る場合 ⇒ 「取得」
資格や免許は、学問や技能を身につけた上で、一定の試験を経て公式に認められるものです。したがって、この場合は「取得」を使います。
② 技術や知識を身につける場合 ⇒ 「習得」
語学や技能、運転技術や楽器演奏など、努力や学習によって身につける場合は「習得」が適しています。
③ 物品や権利を手に入れる場合 ⇒ 「取得」
土地、株式、不動産、著作権など、所有権や権利を得る場合は「取得」を使います。
※資格や免許は学ぶ過程があるため、「習得」と混同しやすいですが、資格そのものを得る行為には「取得」を使うのが正しいです。
まとめ
この記事では、「取得」と「習得」の違いを解説しました。
「取得」は資格・免許・物品など、公式に認められるものを手に入れることを指します。「習得」は知識や技術、技能などを学習を通じて自分のものにすることを意味します。
状況に応じて正しく使い分けることで、文章や会話での誤解を避けることができるでしょう。
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