
文章を書くとき、「やりづらい」と「やりずらい」という表記を目にすることがあります。どちらも同じように見えますが、実は正しい表記は一つです。
間違った使い方をすると、相手に誤解を与えてしまうこともあるかもしれません。本記事では、「やりづらい」と「やりずらい」の違いを分かりやすく解説していきます。
「やりづらい」の意味
「やりづらい」は、動詞「やる」の連用形「やり」に接尾語「づらい(辛い)」がついた言葉です。
「づらい」は、その動作を行うのに心理的・物理的な困難を感じる意を表します。つまり、「やるのが難しい」「やることに抵抗を感じる」といった意味です。
現代仮名遣いのルールにおいても、「やる+つらい」が連語になった場合は例外的に「づ」と書くのが正しいとされます。口語では「やりずらい」と書くことがありますが、書き言葉としては誤りです。文章やビジネス文書では必ず「やりづらい」を使用するのが正しい書き方です。
「やりづらい」の例文
- 新しいシステムに慣れていないので、操作がやりづらいです。
- 彼の指示は曖昧なので、一緒に仕事をするのがやりづらいです。
- チーム内の意見がばらばらで、プロジェクトを進めるのがやりづらい状況です。
- 新しい部署での業務は、環境に慣れていないためやりづらいと感じます。
- オンライン会議でのコミュニケーションが取りづらく、議事進行がやりづらいです。
「やりずらい」の意味
「やりずらい」は、口語やSNSなどでよく使われる表現で、厳密には誤った表記です。
発音は「やりづらい」と同じですが、書き言葉としては誤りです。「ずらい」と書くと、接尾語「づらい」の由来やルールを無視することになり、文章の正確性を損ないます。
誤用の原因は、発音が同じため「ず」と書きたくなる心理や、現代仮名遣いの「ず」と「づ」の書き分けの誤解によるものと考えられます。
「やりずらい」の例文
※以下の例文は、口語やSNSで見られる表現です。文章としては誤りなので、正式には「やりづらい」を使いましょう。
- 新しいアプリの操作が慣れていなくて、やりずらいと感じた。
- 今日の会議の進め方はちょっとやりずらいなと思った。
- メンバーの意見がバラバラで、調整がやりずらいです。
- 初めて担当する業務なので、手順が複雑でやりずらいと感じた。
- 彼は友人に対して「このゲーム操作、やりずらいね」と言った。
「やりづらい」と「やりずらい」の違い
「やりづらい」と「やりずらい」の違いは、次のように整理することができます。
項目 | やりづらい | やりずらい |
---|---|---|
正誤 | 正しい | 誤り |
意味・ニュアンス | その動作をするのが難しく感じる | ※正しくは「やりづらい」と同じ意味とされる誤用 |
主な使用場面 | 書き言葉・文章・正式な文書 | 口語・SNS・話し言葉など非正式な場面 |
印象・評価 | 正式・丁寧で信頼できる印象 | 誤りとされるため文章では好ましくない |
備考 | 動詞の連用形+「づらい」 | 発音は同じだが現代仮名遣いでは誤り |
「やりづらい」は、動詞「やる」の連用形「やり」に、接尾語「づらい(辛い)」が付いた言葉で、「その動作をするのが困難」「心理的にやりにくい」といった意味を表します。接尾語として使われる「づらい」は濁音で表記するのが正しく、書き言葉では必ず「づ」と書きます。
一方、「やりずらい」は口語やSNSなどでは見かけることがありますが、これは発音が同じであるために「ず」と書いてしまうことによる誤りです。文章としては基本的に使わないのが望ましく、正式には「やりづらい」と書くのが正解です。
現代仮名遣いでは基本的に「ず」と「づ」は統一される場合が多いものの、「やる+つらい」のように二語がつながって新しい語になる場合は「づ」を使うという例外があります。そのため、「やりづらい」が正しい表記として定着しています。
まとめると、日常会話では「やりずらい」が使われることもありますが、正しい表記は一貫して「やりづらい」です。ビジネス文書などを書くときは、必ず「やりづらい」を選びましょう。
「やりづらい」と「やりずらい」の使い分け
それでは、実際に両者をどのように使い分ければよいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け方を簡単に示します。
①日常的な文章の場合⇒「やりづらい」を使う
日常的に使う文章では、基本的に「やりづらい」を使います。「やりづらい」を使ったことで、誤りを指摘されるようなことはまずありません。
②SNS・チャットの場合⇒「やりづらい」が望ましい
SNSやチャットでは、「やりずらい」と書く人も多く見られます。ただ、正確な表記を心がけたい場合や丁寧に伝えたい場面では「やりづらい」を使った方が好印象です。
③ビジネス文書の場合⇒必ず「やりづらい」
ビジネス文書や公的な場面では、必ず「やりづらい」と書くのが正しい使い方となります。報告書やメール、公式な文章では「やりずらい」は誤用です。
まとめ
今回は、「やりづらい」と「やりずらい」の違いを解説しました。
「やりづらい」は正しい表記で、接尾語「づらい」が付いた言葉です。一方の「やりずらい」は、書き言葉としては誤りの表記です。
ビジネス文書では必ず「やりづらい」を使用し、正確に表記するようにしましょう。