「自学」と「独学」は、どちらも自分で学ぶ場面で使われる言葉です。しかし、学ぶ方法や主体性の程度には違いがあります。
日常生活や学校、資格取得の場面でも、似たような意味で使われることが多く混乱することがあります。本記事では「自学」と「独学」の意味を、具体例を交えてわかりやすく解説していきます。
「自学」の意味
「自学(じがく)」とは、自分の意思で主体的に学ぶことを意味します。漢字の「自」は「自ら」、「学」は「まなぶ」を示し、合わせて「自ら学ぶ」という意味になります。
「自学」は、教育現場で「主体的学習」や「探究的な学び」として扱われることが多く、学習内容や方法を自分で選び、計画的に知識を広げる姿勢全体を指します。
たとえば、授業で習った内容を自分なりに調べて理解を深める場合や、資格取得のために自分で課題を設定して取り組む場合も「自学」です。教師や他人の助言があっても、最終的に学ぶ内容や方法を自分で決めている場合は「自学」に該当します。
このように、「自学」は学ぶ姿勢全体を表す広い概念として用いられます。
「自学」の例文
- 授業で習った内容を基に、自学でさらに深く調べた。
- 資格試験に向けて、自学の計画を立てて毎日取り組んだ。
- 歴史に興味があり、自学で関連書籍を読み進めた。
- 授業中の学びを生かし、自学で自分なりのまとめノートを作成した。
- 趣味のプログラミングを自学で学び、簡単なアプリを作れるようになった。
「独学」の意味
「独学(どくがく)」とは、他人や教師の指導を受けず、自分だけで学ぶことを意味します。漢字の「独」は「ひとり」、「学」は「まなぶ」を示し、合わせて「ひとりで学ぶ」という意味です。
「独学」は完全に自力で学ぶ学習スタイルで、教材や情報、学習計画も自分で選択します。手本や指導者がいなくても、参考書や動画、インターネットなどを利用して、自分で学び進める姿を表します。
たとえば、学校に通わず本やオンライン教材だけで外国語を習得する場合や、資格取得のために参考書だけで学ぶ場合などが独学にあたります。
独学は自学よりもさらに主体性が高く、他人の影響をほとんど受けない学びを指す言葉です。社会人のスキルアップや趣味の習得など、独立した学びの場面で多く使われます。
「独学」の例文
- 学校に通わず、独学で英語の文法を身につけた。
- 独学でプログラミングを学び、簡単なウェブサイトを作成した。
- 資格試験に向けて、独学で参考書や問題集をこなした。
- 趣味の写真撮影を独学で学び、作品を展示できるレベルに到達した。
- 歴史小説を読むだけでなく、独学で関連資料を調べて知識を深めた。
「自学」と「独学」の違い

「自学」と「独学」の違いは、次のように整理することができます。
| 項目 | 自学 | 独学 |
|---|---|---|
| 意味 | 自分の意志で学ぶ主体的な学び | 他人の指導をほとんど受けず、自力で学ぶ学び |
| 主体性 | 高い(学ぶ範囲や方法を自分で決める) | 非常に高い(ほぼ自力のみで学ぶ) |
| 学ぶ内容 | 学校や教材、社会の影響を受ける場合もある | 完全に自分で選んだ内容 |
| 使用場面 | 学校・資格・趣味・探究学習など | 趣味・資格・独力でのスキル習得など |
| 例文 | 授業で学んだ内容をもとに自学で研究を進めた | 学校に通わず、独学でプログラミングを習得した |
「自学」と「独学」はどちらも自分で学ぶことを意味しますが、焦点や範囲に違いがあります。
「自学」は、他人の指導や教材の影響があっても、最終的に学ぶ内容や方法を自分で決める主体的な学び全体を指します。学校の授業で学んだ内容をもとに、自分なりに調べたり工夫したりする場合も「自学」です。生涯学習や資格取得、探究学習など、幅広い場面で用いられます。
一方「独学」は、他人や学校の指導をほとんど受けず、自分だけで学ぶことに特化した学びを意味します。完全に自力で教材や情報を選び、計画を立て、知識や技能を習得する場合に使われます。たとえば、学校に通わずに本やオンライン教材だけで外国語を学ぶ場合は「独学」と言えます。
このように、「自学」は主体的に学ぶ姿勢全体を表す広い概念であり、「独学」はその中でも、他人の助けをほとんど借りず自力で学ぶ場合を指します。「自学」は学校や社会の影響を受けてもよい主体的学習であるのに対し、「独学」はあくまで完全自力の学びです。
ただし、独学の場合でも、参考書や動画、ネットの情報などは活用します。それでも、基本的には他者の直接的な教えがない状態を指す点が大きなポイントです。
「自学」と「独学」の使い分け
それでは、実際に両者をどのように使い分ければよいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け方を簡単に示します。
① 学校や授業の内容を自分で深めたい場合 ⇒ 「自学」
このようなときは「自学」を使います。授業や教材を基に、自分なりに課題を設定して学ぶ場合は自学が適切です。学校教育の枠内でも主体的な学びを示す表現として使えます。
② 学校や教材の指導をほとんど受けずに学びたい場合 ⇒ 「独学」
指導や授業に頼らず、自分だけで学ぶ場合は「独学」を使います。完全自力で知識や技能を習得する学習スタイルを指す言葉です。
③教わったことをきっかけに、さらに自力で調べる場合⇒「自学」
授業で触れた内容を、興味のある部分だけ深く調べる場合も「自学」と言えます。基礎は誰かの指導で学び、そこから自分で広げていく場合は「自学」を使います。
※「独学」は必ずしも「孤立して勉強する」ことではありません。参考書や動画を利用しても問題ありません。重要なのは「直接教わっていない」という点です。
まとめ
この記事では、「自学」と「独学」の違いを解説しました。
「自学」は、他人の影響があっても最終的に学ぶ内容や方法を自分で決める主体的学びを指し、「独学」は他人の指導をほとんど受けずに自力で学ぶ学びを意味します。
状況や目的に応じて正しく使い分けることで、学習スタイルを正確に伝えられます。





