「改めて」と「あらためて」の違い|公用文ではどっちを使うべきか

「改めて」と「あらためて」は、どちらも日常的によく使う言葉です。しかし、漢字にするべきか、ひらがなにするべきかで迷った経験はないでしょうか。とくに公用文やビジネス文書では、表記の選択が文章の信頼性に影響することもあります。

実はこの語には、意味・用法・文脈によって微妙な違いが存在します。本記事では、辞書や公的な表記方針を踏まえながら、実務で迷わないための判断基準を解説していきます。

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目次

副詞「改めて」と「あらためて」の意味

まず押さえておきたいのは、「副詞」として使う場合の意味です。「改めて(あらためて)」は主に「もう一度」「別の機会に」「新たに」という意味で用いられます。

たとえば、「改めてご連絡します」「改めて感謝申し上げます」といった用例が代表的です。この場合、語そのものに「悪い点を直す」という意味は含まれません。あくまで「再び」「新たな気持ちで」というニュアンスを表します。

「改めて親睦を図る」などの表現も、「悪い関係を改善する意味になるのでは」と疑問に思う方もいますが、副詞の「改めて」単体に改善の意味はありません。改善の意味が生じるかどうかは、前後の文脈に依存します。つまり、副詞としての「改めて」は、動詞「改める」の本来の意味から一部独立した働きをしているのです。

ひらがな表記の「あらためて」も意味は同じです。違いは意味ではなく、文章の印象や硬さにあります。漢字はやや公的・改まった印象を与え、ひらがなはやわらかく口語的な印象になります。


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公用文は「改めて」が基本

では、公用文ではどちらを使うべきなのでしょうか。結論から言えば、公用文では原則として「改めて」と漢字で書くのが基本です。

常用漢字で表記可能な副詞は、漢字で書くのが公的文章の原則とされています。新聞表記、議事録表記、NHKの現在の表記方針でも、副詞の「あらためて」は「改めて」と漢字で示されています。

副詞だからひらがなにする、という明確な規則は存在しません。むしろ、公的文書においては表記を安定させることが重要であり、漢字で統一する方が整合性が取れます。したがって、「改めて検討する」「改めて通知する」といった書き方が標準的です。

もっとも、媒体によっては過去の慣習でひらがなを用いていた例もあり、その影響で「あらためて」を見かけることもあります。しかし、現在の一般的な公的基準に照らせば、迷った場合は漢字を選ぶのが無難と言えるでしょう。


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動詞「あらためる」との違い

副詞と混同されやすいのが、動詞「あらためる」です。動詞の場合は意味が多様で、「新しくする」「改善する」「堅苦しい態度をとる」などがあります。これらは基本的に「改める」と漢字で書きます。たとえば、「日を改める」「態度を改める」「改まった態度をとる」といった用例です。

一方、「検査する」という意味で「あらためる」を使うことがあります。「荷物をあらためる」「切符をあらためる」などです。本来は「検める」と書く語ですが、常用漢字表にこの読みがないため、ひらがなで書かれることも少なくありません。ただし、「改」にも“検査する”の意味があるため、「改める」と書いても誤りではありません。

また、「年があらたまる」のように自然に新しくなる場合は、ひらがなが好まれる傾向があります。人為的に変える「日を改める」とはニュアンスが異なり、自然な変化を表すためです。ただし、これも絶対的な規則ではありません。例外として、「病勢があらたまる(急に悪化する)」の意味では、対応する漢字の読みが一般的でないため、必ずひらがなで書きます


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表記ゆれと判断基準

ここまで見てきた通り、「改めて/あらためて」は意味そのものよりも、表記方針と文体の違いが問題になります。副詞の場合、意味は同じであり、違いは主に印象です。動詞の場合は意味ごとに漢字が変わることもありますが、一般的な使用では「改める」が中心になります。

実務的な判断基準としては、次のように整理できます。

  • 公用文・ビジネス文書では原則として「改めて」を使用する。
  • ブログやエッセイなど、やわらかい表現を重視する場合は「あらためて」も選択肢になる。
  • 検査の意味では「改める」でも「あらためる」でもよいが、媒体内で統一することが重要。
  • 自然な変化を示す「あらたまる」はひらがなが多いが、強制ではない。そして「病勢があらたまる」はひらがなに限定される。

重要なのは、どちらが絶対に正しいかを探すことではなく、媒体と目的に応じて統一することです。特に公的な文章では、表記の一貫性が信頼性につながります。


まとめ|迷ったら漢字が無難

この記事の内容を表にまとめると、以下のようになります。

場面推奨表記理由
公用文・行政文書改めて常用漢字で書けるため
ビジネス文書改めて改まった印象になる
ブログ・エッセイどちらでも可文体に合わせる
検査の意味改める/あらためる表記ゆれあり
病勢があらたまるあらたまるひらがな限定

「改めて」と「あらためて」は意味の違いよりも、用法と文体の違いが中心です。副詞としての意味は共通で、「もう一度」「新たに」というニュアンスを表します。公用文では「改めて」と漢字表記が基本であり、ひらがな指定の明確な規則はありません。動詞の場合は意味ごとに漢字が変わることがありますが、通常は「改める」が標準です。

結論として、迷ったときは漢字を選べば大きな誤りにはなりません。ただし、文章全体のトーンや媒体の方針に合わせて表記を統一することが、もっとも実践的なポイントです。適切な使い分けを理解しておけば、公用文でもブログでも自信を持って書けるようになるでしょう。

この記事を書いた人

大学卒業後、出版会社へと就職。退職後はフリーライターとして独立し、現在は言葉の意味や違いなど、日々の生活やビジネスに役立つ情報を発信しています。皆さんに「なるほど」と思ってもらえる内容をお届けすることを心がけています。

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