公用文のかぎ括弧「」の使い方は?引用・強調のルールを解説

公用文を作成する際は、内容を正確に伝えるだけでなく、読み手にとって分かりやすい文章にすることが大切です。 そのために使用される記号の一つが、かぎ括弧「」です。

しかし、どのような場面で使用すればよいのか、語句を強調するために使ってもよいのか、迷うこともあるでしょう。 また、法令名や重要な用語を囲む場合など、使い方によって文章の印象も変わります。

本記事では、公用文におけるかぎ括弧の使い方やルール、具体的な例文、使用する際の注意点について解説します。

目次

公用文におけるかぎ括弧の基本

かぎ括弧「」は、日本語の文章で使用される括弧の一種です。公用文においても、文章の内容を分かりやすく伝えるために使用できます。一般的には、会話や文章の引用、特定の語句の強調などに用いられます。

例えば、誰かの発言をそのまま紹介するときや、文章中の特定の用語を目立たせたいときに使用します。かぎ括弧で囲むことで、ほかの文章と区別しやすくなり、読み手が内容を把握しやすくなります。

公用文では、正確さや読みやすさが重視されるため、括弧の使い方にも配慮する必要があります。ただし、かぎ括弧を使用できるからといって、すべての重要な語句を囲む必要があるわけではありません。 文章の目的や内容に応じて、必要な範囲で使用することが大切です。

また、かぎ括弧には「」のほかに、二重かぎ括弧『』もあります。一般的な文章では、書名や作品名などを示す際に『』が使われますが、具体的な使い分けは文書の種類や表記方針によって異なります。公用文を作成するときは、使用する括弧の種類を文書全体で統一するとよいでしょう。

かぎ括弧の基本的な役割を理解しておけば、行政文書や通知文、報告書など、さまざまな文章を作成する際に役立ちます。

引用を示すかぎ括弧の使い方

かぎ括弧の代表的な使い方の一つが、会話や文章の引用です。誰かの発言や、ほかの文章から引用した部分を「」で囲むことで、引用箇所を明確に示せます。

例えば、会議での発言を記録する場合や、住民から寄せられた意見を紹介する場合などに使用できます。引用する範囲がはっきりするため、書き手自身の説明と、引用した内容を区別しやすくなります。

具体的な例文は、次のとおりです。

  • 市長は、「地域の安全を守ることが重要です」と述べた。
  • 住民からは、「通学路の安全対策を強化してほしい」という意見が寄せられた。
  • 会議では、「事業の実施時期を見直す必要がある」との指摘があった。
  • 報告書には、「調査結果を踏まえて対応を検討する」と記載されている。
  • 担当者は、「来月までに必要な手続きを完了する」と説明した。

このように、発言や文章の一部を引用する場合には、かぎ括弧を使用することで引用部分を明確にできます。

ただし、引用する際は、元の発言や文章の意味を変えないように注意することが重要です。 発言の一部だけを取り出す場合も、前後の文脈を踏まえて正確に伝える必要があります。また、引用であることを明確にするために、必要に応じて発言者や出典を示すことも大切です。

なお、かぎ括弧を使用すれば、引用に関するすべての要件を満たせるわけではありません。公用文や報告書で他者の文章を引用するときは、引用の目的や範囲、出典の示し方などにも配慮しましょう。

語句を強調するかぎ括弧の使い方

かぎ括弧は、文章中の特定の語句を強調したり、ほかの表現と区別したりするためにも使用できます。公用文では、重要な用語や政策上のキーワードなどを明確に示したい場合に役立ちます。

例えば、基本計画に掲げる重点事業や、施策の中心となる考え方を示すときに使用できます。読み手の注意を特定の語句に向けやすくなり、文章の内容を理解する助けになります。

具体的な例文は、次のとおりです。

  • 市長は、「現場主義」を基本方針として市政運営に取り組んでいる。
  • 基本計画では、「防災まちづくり」と「少子高齢化対策」を重点事業に位置付けている。
  • 本事業では、「地域との連携」を重視して取り組みを進める。
  • 今回の見直しでは、「利便性の向上」を重要な課題としている。
  • 市は、「誰もが安心して暮らせる地域づくり」を目指している。

このように、特定の語句をかぎ括弧で囲むと、その表現が文章の中で重要な意味を持つことを示しやすくなります。

ただし、強調を目的としたかぎ括弧の使用は、必要な場合にとどめることが大切です。 多くの語句を囲んでしまうと、どこが本当に重要なのか分かりにくくなり、文章の読みやすさが損なわれる可能性があります。

また、一般的な名詞や日常的な表現をすべて囲む必要はありません。強調しなくても意味が十分に伝わる場合は、かぎ括弧を使わずに記述するほうが自然です。公用文では、視覚的な効果だけでなく、文章全体の明確さや統一感を意識して使用しましょう。

法令名や専門用語に使うルール

公用文では、法令名や専門用語などをかぎ括弧で囲むことが多いです。名称や用語を文章の中で明確に示したい場合に役立ちます。ただし、法令名や専門用語に必ずかぎ括弧を付けなければならないというわけではありません。

例えば、災害対策に関する文書では、関係する法令名や制度上の用語を示すために、かぎ括弧を使用することがあります。具体的な例文は、次のとおりです。

  • 「災害対策基本法」の一部改正に伴い、関係する事務の見直しを行った。
  • 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づき、必要な措置を講じる。
  • 災害廃棄物は「一般廃棄物」に区分される。
  • 災害廃棄物の処理主体は、原則として「市町村」となる。
  • 本計画では、「地域防災力」を向上させるための施策を定めている。

このように、法令名や専門用語をかぎ括弧で囲むことで、名称や用語を周囲の文章から区別しやすくなります。特に、専門的な内容を扱う文書では、読み手が重要な用語を把握するための助けになります。

一方で、法令名などをかぎ括弧で囲むかどうかは、文書の性質や組織内の表記ルールによって異なります。法令名だから必ず「」を付ける、専門用語だから必ず囲む、と一律に判断しないことが重要です。

また、法令名を記載するときは、括弧の有無だけでなく、正式名称が正確であるかどうかも確認しましょう。正式名称を誤って記載すると、読み手に誤解を与えるおそれがあります。用語の意味や使用方法が法律などで定められている場合は、根拠となる資料も確認すると安心です。

かぎ括弧を使う際の注意点

公用文でかぎ括弧を使用するときは、引用や強調などの目的を明確にし、文章全体の読みやすさを損なわないようにすることが大切です。特に注意したいのが、使用頻度や括弧の重なり、句読点との関係です。

まず、かぎ括弧を多用しすぎないようにしましょう。重要な語句を目立たせようとして多くの表現を囲むと、文章が複雑になり、かえって読みづらくなる場合があります。強調する必要がある語句を選び、使用する箇所を絞ることがポイントです。

次に、かぎ括弧を入れ子にする場合にも注意が必要です。例えば、引用した文章の中に別の発言や引用語句が含まれる場合には、括弧の種類を使い分ける方法があります。一般的な文章では、外側に「」、内側に『』を使用する例が見られます。

例文は、次のとおりです。

  • 担当者は、「市長から『安全対策を優先するように』との指示があった」と説明した。
  • 報告書には、「住民から『説明が不足している』との意見が寄せられた」と記載されている。
  • 会議録には、「委員から『実施時期を再検討すべきだ』との発言があった」と記録されている。
  • 市長は、「計画に掲げる『地域との連携』を一層強化する」と述べた。
  • 担当者は、「今回の課題は『情報共有の不足』にある」と説明した。

ただし、括弧を二重に使用する場合の具体的な表記は、文書の種類や組織のルールに従って判断しましょう。

さらに、かぎ括弧と句読点の位置にも気を配る必要があります。例えば、引用文を独立した発言として示す場合と、文章の一部として引用する場合とでは、句点の扱いが異なることがあります。公用文では、「」の使い方だけでなく、句読点を含めた表記全体を統一することが重要です。

まとめ

本記事の内容をまとめると、以下のようになります。

項目使い方・注意点
基本的な役割引用や語句の区別などに使用する
引用会話や文章の引用範囲を明確にする
強調重要な語句や表現を目立たせる
法令名・専門用語必要に応じて名称や用語を区別する
入れ子での使用必要に応じて「」と『』などを使い分ける
使用上の注意多用を避け、句読点や表記を統一する

公用文におけるかぎ括弧「」は、引用部分を明確にしたり、特定の語句を強調したりするために使用できます。法令名や専門用語を区別する際にも役立ちますが、必ず括弧で囲まなければならないわけではありません。

大切なのは、読み手にとって分かりやすい文章になるよう、使用する目的を明確にすることです。かぎ括弧を多用せず、必要な箇所に適切に使用しましょう。

この記事を書いた人

大学卒業後、出版会社へと就職。退職後はフリーライターとして独立し、現在は言葉の意味や違いなど、日々の生活やビジネスに役立つ情報を発信しています。皆さんに「なるほど」と思ってもらえる内容をお届けすることを心がけています。




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