併記 並記 違い 使い分け 意味 どっち 正しい

文書や資料を作成する際、「へいき(併記・並記)」という表現を使う場面があります。

しかし、「併記」と「並記」は漢字が違うだけで意味も同じなのでしょうか?また、どちらを使うのが正しいのでしょうか?

この記事では、「並記」と「併記」の意味や違い、使い分けについて詳しく解説していきます。辞書や新聞用語集の記載、漢字の成り立ちなども踏まえて、正しい理解を深めましょう。

「併記」と「並記」はどちらを使うべき?

 

並記」と「併記」は、いずれも「複数のものを並べて書く」という意味を含みますが、一般に使われているのは「併記」の方です。

主要な国語辞典(大辞林、大辞泉、新明解国語辞典など)では、「併記」は見出し語として載っていますが、「並記」はそもそも掲載されていない場合がほとんどです。

また、新聞や放送、行政文書などの表記基準においても「併記」が用いられており、「並記」は基本的に推奨されていません。

つまり、「併記」が現代日本語において、標準的かつ正確な表現であり、迷ったときは「併記」を使えば間違いないと言えます。

「併記」とは?意味と使い方を解説

 

併記」とは、「二つ以上の事項を一緒に、または並べて記すこと」を意味します。具体例として、以下のような使い方があります。

  • 英語と日本語を併記する
  • 原文と訳文を併記する
  • 漢字とふりがなを併記する
  • 性別(男/女)を併記する
  • 日付を和暦・西暦で併記する

■ 漢字の成り立ち

「併」は、「二人の人(亻+並)」を合わせて一つにすることから、「合体する」「一緒になる」といった意味合いを持ちます。

つまり、複数の情報を統合するようなニュアンスが含まれることになります。したがって、「併記」には、一体感や補足性があるのが特徴です。

また、「併記」は単なる並列だけでなく、「主となるものに補足的な情報を添える」というような使い方も可能です。『明鏡国語辞典』には、この意味としての説明が記されています。

「主たるものに従の関係で他をあわせて書き記す場合と、完全に優劣なく並べ書きする場合とがある。並べ書きするときには、『並記』とも書く」

引用:明鏡国語辞典

つまり、「併記」には補足的な意味と、対等な並べ方の両方が含まれており、「並記」はそのうちの後者(対等な書き方)を指すとも言えるのです。

「並記」とは?意味と使い方を解説

 

並記(へいき)」とは「複数のものを並べて書くこと」を意味する言葉ですが、こちらは一般的に使われていないという違いがあります。

多くの国語辞典では、「並記」が見出し語として掲載されていません。インターネット上でも「並記」という表記は少なく、学術論文や官公庁の資料などでも確認できる例はごくわずかです。

【使用例】

  • 並記の例は実務書や新聞記事ではほとんど見られない
  • 学術的な定義の中で補足的に登場する程度

 漢字の成り立ち

「並」は「二人が横に並ぶ姿」をかたどった字で、「ならべる」「等しくする」という意味があります。したがって、「並記」にはより強く「対等な並列」というニュアンスがあります。

しかし、日常の文書作成や公式な文書においては、意味が重なる「併記」が慣用的に使われているため、「並記」という語は避けられる傾向にあります。

日常的に用いられる熟語でも「併」の方が多く、使用頻度の面からも「併記」が自然な選択です。

漢字の意味から見る「併」と「並」の違い

それぞれの漢字の意味を比較すると、次のような違いがあります。

漢字 読み 意味 例語
へい/あわせる 二つを一つにする、添える 併用、併記、併合、併存
へい/ならべる 等しく並べる、同列にする 並立、並列、並行、並存

このように、「併」は合体や補足の意味が強く、「並」は同等・対等を重視した意味合いがあります。

新聞・公用文ではどちらを使うべき?

 

新聞や放送、公文書では、どのように「へいき」の表記を定めているのでしょうか?以下に代表的な例を紹介します。

■ 新聞用語集(共同通信社)

  • へいき → 併記
  • へいよう → 併用
  • へいそん → 併存
  • へいりつ → 並立

このように、「へいき」は「併記」と表記されるのが基本であり、「並記」は原則として使われません。

■ NHK放送用語集

NHKの放送用語集でも、「併記」「併用」「併存」などが採用されています。意味を明確にするため、用語は統一しており、「併」の字が選ばれています。

■ 常用漢字表(文化庁)

  • 「併」→ 音読み:ヘイ、訓読み:あわせる
  • 「並」→ 音読み:ヘイ、訓読み:ならべる、ならぶ

常用漢字表でも、それぞれの意味の違いが明確に区別されており、公文書や法律文書では「併」の字が適切とされます。

このように、新聞や公用文での表記基準は、「併記」が統一的に使われているという現状があります。

まとめ:「併記」が正しい。迷ったら「併記」を選ぶ

最後に、「併記」と「並記」の違いを簡潔にまとめます。

項目 併記 並記
意味 一緒に書く(主従・補足・対等どちらも含む) 対等に並べて書く
一般性 ✅高い(辞書掲載あり) ❌低い(辞書掲載なし)
使用場面 公文書、新聞、学術書など 限定的であまり使われない
推奨表記 ✅推奨される ❌非推奨、避けた方が無難

「併記」と「並記」はどちらも似た意味を持ちますが、使われ方には大きな違いがあります。実務的にも辞書的にも、「併記」が多く使われ、標準的な表現とされています。

特に、公的文書、ビジネス文書、教育関係の資料などでは「併記」を使うことが正確で信頼される選択になります。言葉に迷ったときは、「併記」を選ぶことで安心して文書を仕上げることができるでしょう。

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