「だいぶ」と「だいぶん」はどっちが正しい？違いや使い分けを解説

日常会話の中でよく耳にする「だいぶ」と「だいぶん」。どちらも使われていますが、「どっちが正しいの？」「意味に違いはあるの？」と疑問に思ったことはありませんか？

この記事では、「だいぶ」と「だいぶん」の違い、使い方、言葉の背景をわかりやすく解説します。迷ったときの参考になるよう、例文やポイントも交えてご紹介します。

「だいぶ」と「だいぶん」の違いとは？

結論から言いますと、「だいぶ」と「だいぶん」は意味としては同じで、どちらも「かなり」「相当」という程度を表す副詞です。したがって、どちらを使っても文法的には間違いではありません。

ただし、現代の標準語やビジネスシーンでは「だいぶ」の方が一般的かつ自然な表現とされています。

一方で、「だいぶん」は地域や世代によっては使われるものの、くだけた印象を持たれやすく、文書や公共の場ではあまり使われません。

言葉は時代とともに簡略化されていく傾向があります。「だいぶん」から「だいぶ」へと短くなっていったのも、こうした自然な流れの一つといえるでしょう。

両者は基本的に同じ意味で使われます。以下に、使用例を示します。

【共通する意味の例】

どちらの文も、「思った以上に～」「かなり～している」といった「程度」のニュアンスで用いられています。

広辞苑の定義によると、両者は

【辞書的な定義（広辞苑より要約）】

辞書によると、「だいぶん」はより口語的な使われ方をすることが書かれています。つまり、「だいぶん」は誤用ではないものの、フォーマルな文章には適さないということです。

また、話し言葉と書き言葉の違いを意識すると、どちらを使えばよいかがより明確になります。メールやプレゼン資料、報告書などでは「だいぶ」が使われることが多いです。

「だいぶん」は、特に関西地方や九州地方でよく使われる傾向があります。たとえば、大阪の人が「だいぶん安くなってるで」と言っても違和感はありません。

一方で、全国的には「だいぶ」が主流であり、ビジネスやメディアなど、標準語が求められる場面では「だいぶ」を使うのが一般的です。

どちらも、元は漢語の「大分（たいぶん）」が由来です。「大分」は江戸時代以前から使われていた言葉で、「大いに分かれる」「全体の中の多くの部分」といった意味を持っていました。

それが徐々に「程度の大きさ」や「かなり」に近い意味に変化し、音も「たいぶん → だいぶん → だいぶ」と変化していったと言われています。

つまり、「だいぶん」は歴史のある表現であり、「だいぶ」はそれが省略された形とと位置づけれることができます。日本語は日常的に使われる中で、短くて発音しやすい形に変化していく傾向があるため、「だいぶ」が今の主流になったと考えられます。

現代では、短くてテンポの良い言葉が好まれます。そのため、「だいぶん」よりも語感の軽い「だいぶ」のほうが自然と主流になっています。

また、LINEやSNSの投稿でも「だいぶ〇〇」という表現が圧倒的に多く、自然な印象を与えます。「だいぶん〇〇」は一部の地域以外ではやや古めかしい響きになる可能性があります。

「だいぶん」は話し言葉としてなら許容されますが、場面や相手によってはやや違和感を与える可能性があるため、注意が必要です。

最後に、「だいぶ」と「だいぶん」の違いを一覧表にまとめます。