見づらい 見ずらい どっち 正しい 違い 漢字 意味

ビジネス文書などで「見づらい」と「見ずらい」のどちらの表記を使うか迷った経験はありませんか?一見どちらも自然に見えますが、実は正しいのは一方だけです。

間違いやすい理由には、発音が似ていることも関係しています。本記事では、「見づらい」と「見ずらい」のどちらが正しいかを、具体例を使いながらわかりやすく解説していきます。

「見づらい」が正しい表記

 

結論から言いますと、正しいのは「見づらい」です。

「見づらい」は、動詞「見る」の連用形「見」に、形容詞「づらい」がついた言葉です。この「づらい」は、動詞の連用形に付く接尾語で、『〜しにくい』『〜するのが難しい』という意味を表します。

つまり、「見づらい」とは「見にくい」「視認しにくい」という意味になります。たとえば、以下のように使います。

  1. 字が小さくて見づらい
  2. 画面が暗くて見づらい
  3. メールのフォントが統一されていなくて見づらい

このように、「見づらい」は目で見ることが困難である状態を表す言葉です。

また、文化庁の「言葉に関する問答集」や、文部科学省の「現代仮名遣い」においても、「づらい」が正しいとされています。

「見ずらい」という表記は、日常的によく見かけるものの、正規の日本語表記ではありません。正式な文書や公的な場面では「見づらい」と書くのが正解です。

「見ずらい」が間違いとされる理由

 

では、なぜ「見ずらい」という誤った表記が広まっているのでしょうか?

その理由の一つは、「づ」と「ず」の発音がほとんど同じであることにあります。現代日本語では、「づ」と「ず」はともに「zu」と発音されるため、耳で聞くと区別がつきにくいのです。

さらに、「〜ずらい」という形が「〜しづらい」「〜言いづらい」などと発音が似ているため、自然と「見ずらい」と書いてしまう人が多いのです。

しかし、語源をたどると違いは明確です。「〜づらい」は、「〜するのがつらい」という意味を持つ古語「つらい」から派生した表現で、「〜するのが困難だ」というニュアンスを表します。

一方で、「〜ずらい」という形は日本語の文法としては標準的ではなく、「〜ず(打消し)」+「らい」という語構成にもなりません。つまり、見ずらい」は誤用ということになります。

したがって、たとえ音で聞くと違いが分かりづらくても、書き言葉では「づ」を使うのが正解です。日本語の正しい表記を意識することは、文章の信頼性にもつながります。

「見にくい」との違いは?

 

「見づらい」とよく似た表現に、「見にくい」があります。どちらも「見えにくい」「視認しづらい」という意味ですが、微妙なニュアンスの違いがあります。

「見にくい」は、単純に物理的に見えにくいという意味で使われます。たとえば、暗くて視界が悪い、文字が小さい、色が薄いといった状況を指します。

一方、「見づらい」は、見えにくさに加えて心理的・感覚的な違和感を含むことがあります。たとえば、デザインがごちゃごちゃしている、配置が不自然、情報が整理されていないなど、「構造的に理解しにくい」というニュアンスも持つのが特徴です。

以下に、表にして例を示します。

表現 主な意味 例文
見にくい 物理的に視認しづらい 暗くて文字が見にくい。
見づらい 感覚的に分かりにくい、理解しづらい 図の構成が複雑で見づらい。

このように、どちらを使うかは文脈で判断します。単に「目で見えにくい」なら「見にくい」、情報や印象の面で「理解しづらい」なら「見づらい」が自然です。

「見づらい」の使い分けと正しい使い方まとめ

 

最後に、「見づらい」を正しく使うためのポイントを整理しておきましょう。

まず、「見ずらい」は誤りであり、正しくは「見づらい」です。これは文化庁の基準にも明記されています。

また、「見づらい」と「見にくい」は意味が近いものの、ニュアンスが異なります。デザインや情報の分かりにくさなど、感覚的な「見にくさ」を表す場合には「見づらい」を使いましょう。

例文でまとめると次のようになります。

  1. 書式がバラバラで見づらい書類。
  2. 小さな文字で見にくいラベル。
  3. 色使いが派手すぎて見づらいサイト。
  4. 文字がかすれて見にくい印刷物。

このように使い分けることで、文章に自然な表現が生まれます。

なお、SNSなどでは「見ずらい」と書かれているのを目にすることもありますが、公式な文書やビジネスメールでは避けるのが無難です。誤字とみなされることが多いため、注意が必要です。

まとめ

 

「見づらい」と「見ずらい」は発音が似ているために混同されがちですが、正しいのは「見づらい」です。

「見づらい」は「見る+づらい(〜しにくい)」の組み合わせで、「見にくい」とほぼ同義ながら、感覚的・構造的なわかりにくさを含む表現です。一方の「見ずらい」は誤用なので、公的文書や正式な文章では使用を避けなければいけません。

正しい日本語表記を身につけて、文章力を高めるようにしましょう。

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