戸籍謄本  戸籍抄本 違い 意味 使い分け

行政手続きや公的証明の場面で登場する「戸籍謄本」と「戸籍抄本」。どちらも戸籍に関する証明書ですが、内容や使われ方には明確な違いがあります。

名前が似ているため混同しがちですが、目的に応じて適切に使い分ける必要があります。この記事では、その違いと使い分け方について詳しく解説します。

「戸籍謄本」の意味

 

戸籍謄本(こせきとうほん)」とは、戸籍に記載されているすべての構成員の情報をそのまま写した公的な書類のことです。

正式名称は「戸籍全部事項証明書」といい、近年の戸籍制度のコンピュータ化に伴い、この名称が使われることもあります。

戸籍は、同じ本籍地に属する家族を単位として構成されており、その中には氏名・生年月日・続柄・出生地・婚姻や離婚の履歴など、家族全員の基本情報が記載されています。

「戸籍謄本」は、たとえば遺産相続や親族関係の確認など、家族全体の情報が必要な場面で利用されます。本人以外の情報も含まれるため、個人情報の取り扱いには十分な注意が必要です。

実際に取得するには、自治体の窓口またはオンライン申請を通じて手続きを行う必要があり、申請者には「正当な利害関係」があることが求められます。

「戸籍謄本」の例文

  1. 相続手続きのために、市役所で戸籍謄本を取り寄せました。
  2. 婚姻届を提出するときに、夫婦の戸籍謄本が必要となります。
  3. 父の生まれから亡くなるまでの戸籍を確認するため、戸籍謄本を請求しました。
  4. 子どものパスポート申請に、戸籍謄本の提出を求められました。
  5. 戸籍の本籍地が遠方にあるため、郵送で戸籍謄本を取り寄せました。

「戸籍抄本」の意味

 

戸籍抄本(こせきしょうほん)」とは、戸籍の中の特定の一人の情報のみを抜き出して写した公的な書類のことです。

正式名称は「戸籍個人事項証明書」と呼ばれ、謄本に比べて記載内容は限定的です。自分自身の情報だけが必要なときに使われることが多く、個人のプライバシー保護にもつながります。

例えば、就職や公的資格の取得、パスポートの申請などで、本人の身元や家族構成の一部を証明する必要がある場合に用いられます。

申請時には、誰の情報が必要かを明記する必要があり、本人または法定代理人・正当な利害関係のある人でなければ取得することができません。

「戸籍抄本」の例文

  1. 就職活動での本人確認書類として、戸籍抄本を提出しました。
  2. 一人暮らしを始める際、保証人情報の確認のために戸籍抄本を取得しました。
  3. パスポートの申請をするので、自分の戸籍抄本が必要でした。
  4. 婚姻届に添付する書類として、私は戸籍抄本を提出しました。
  5. 手続き先から「抄本で構いません」と言われたので、戸籍抄本を請求しました。

「戸籍謄本」と「戸籍抄本」の違い

戸籍謄本 戸籍抄本 違い

「戸籍謄本」と「戸籍抄本」の違いは、次のように整理することができます。

項目 戸籍謄本 戸籍抄本
内容の範囲 戸籍内の全員分の情報 戸籍内の一人分の情報
利用目的 家族全体の証明が必要な場合 個人のみの証明が必要な場合
別名(現在の用語) 戸籍全部事項証明書 戸籍個人事項証明書
情報の記載量 多い(複数人分) 少ない(個人のみ)
申請時の指定 誰の分かを明記する必要なし 抄本にする人を明記する必要あり

「戸籍謄本」と「戸籍抄本」は、いずれも戸籍の内容を証明する公的な書類ですが、記載される情報の範囲に違いがあります。

戸籍謄本は、ある戸籍に記載されているすべての人の情報を写したものです。たとえば、夫婦と子どもが同じ戸籍に入っていれば、3人全員の氏名・生年月日・続柄・出生地・本籍などが記載されます。

一方、戸籍抄本は、その戸籍の中の個人一人分だけを抜き出して写したものです。たとえば、就職やパスポート申請などでその人の本人確認のために使われることが多く、個人情報の保護の観点からも選ばれることがあります。

どちらを取得すべきかは、提出先や申請目的によって異なります。また、戸籍制度の見直しにより、現在は「戸籍全部事項証明書(謄本に相当)」や「戸籍個人事項証明書(抄本に相当)」といった名称が使われることもあります。

「戸籍謄本」と「戸籍抄本」の使い分け

 

それでは、実際に両者をどのように使い分ければよいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け方を簡単に示します。

① 相続や戸籍のつながりを確認する場合 ⇒「戸籍謄本」

相続や出生から死亡までのつながりを証明する必要があるときは「戸籍謄本」を使います。家族全員の情報が必要となるため、抄本では不十分です。

② 就職や本人確認などの場合 ⇒「戸籍抄本」

就職活動や各種手続きで本人のみの情報が求められるときは「戸籍抄本」で問題ありません。提出先が「謄本でなくてもよい」としている場合も多いです。

③ パスポート申請などの行政手続きの場合 ⇒「戸籍謄本」または「戸籍抄本」

パスポートやビザ申請では、どちらでもよい場合があります。提出先に確認し、必要最低限の情報で済む場合は「戸籍抄本」を選ぶとよいでしょう。

※「謄本と抄本はどちらも戸籍証明書の一種」ですが、記載内容の違いにより適用範囲が異なります。申請先によっては、どちらか一方しか受け付けないこともあるため、事前に確認するのが安心です。

まとめ

 

この記事では、「戸籍謄本」と「戸籍抄本」の違いを解説しました。

「戸籍謄本」は戸籍内の全員の情報を記載した書類で、相続など家族全体の証明に使われます。一方、「戸籍抄本」は個人一人の情報だけを記載し、就職や本人確認などに適しています。

申請前に提出先の要件をよく確認し、最適な書類を選ぶようにしましょう。