
社会人になると、上司や取引先など目上の人と話す機会が増え、敬語を使う場面も多くなります。しかし、丁寧に話しているつもりでも、実は間違った敬語を使ってしまっているケースは少なくありません。
特にビジネスシーンでは、言葉づかい一つで相手に与える印象が変わることがあります。そこで、本記事では、社会人がよく使ってしまう間違いやすい敬語20選を紹介します。「×NG表現」と「〇正しい言い方」をセットで解説するので、ビジネス敬語の見直しに役立ててみてください。
間違いやすい敬語①
×了解しました → 〇承知しました
「了解しました」は日常会話ではよく使われる言葉ですが、目上の人に対して使う敬語としては適切ではないとされています。
ビジネスシーンでは、次のような表現が一般的です。
- 承知しました
- かしこまりました
例
誤:資料の件、了解しました。
正:資料の件、承知しました。
取引先や上司に対しては「承知しました」を使うと丁寧な印象になります。
間違いやすい敬語②
×ご苦労様です → 〇お疲れ様です
「ご苦労様です」は、目上の人が目下の人をねぎらう言葉とされています。そのため、部下が上司に使うと違和感を持たれることがあります。
ビジネスでは次の表現が一般的です。
- お疲れ様です
例
誤:ご苦労様です。資料を確認しました。
正:お疲れ様です。資料を確認しました。
間違いやすい敬語③
×なるほどですね → 〇おっしゃる通りです
「なるほど」は理解を示す言葉ですが、目上の人に使うとややカジュアルな印象を与えることがあります。
そのため、ビジネスでは次の表現が自然です。
- おっしゃる通りです
- 勉強になります
例
誤:なるほどですね。
正:おっしゃる通りです。
間違いやすい敬語④
×よろしかったでしょうか → 〇よろしいでしょうか
「よろしかったでしょうか」は飲食店などでよく聞く表現ですが、過去形になっている点が不自然と指摘されることがあります。
そのため、基本的には次の表現が自然です。
- よろしいでしょうか
例
誤:こちらでよろしかったでしょうか。
正:こちらでよろしいでしょうか。
間違いやすい敬語⑤
×拝見させていただきます → 〇拝見します
「拝見」はすでに謙譲語です。そのため、「させていただく」を付けると二重表現になってしまいます。そのため、「拝見します」を使うのが自然です。
例
誤:資料を拝見させていただきます。
正:資料を拝見します。
このように、敬語はシンプルな方が自然です。
間違いやすい敬語⑥
×おっしゃられました → 〇おっしゃいました
「おっしゃられました」は、二重敬語の代表例です。
「おっしゃる」はすでに尊敬語なので、「られる」を付ける必要はありません。
例
誤:部長がおっしゃられました。
正:部長がおっしゃいました。
間違いやすい敬語⑦
×ご覧になられましたか → 〇ご覧になりましたか
これも二重敬語の一つです。
- ご覧になる(尊敬語)
なので、「られる」は不要です。
例
誤:資料をご覧になられましたか。
正:資料をご覧になりましたか。
間違いやすい敬語⑧
×ご教授ください → 〇ご教示ください
この2つは意味が違います。
- ご教示:方法ややり方を教えてもらう
- ご教授:学問や専門知識を教えてもらう
「ご教授」は長い時間をかけて教わり、知識や技術を深く理解したいときに使われます。一方で「ご教示」は、短期間で簡単に教えられる内容について使われます。
質問してその場で答えてもらうような、比較的短時間で理解できる内容には「ご教示」が適しています。ビジネスメールでは、一般に「ご教示」を使うことの方が多いです。
例
誤:操作方法をご教授ください。
正:操作方法をご教示ください。
間違いやすい敬語⑨
×お世話様です → 〇お世話になっております
「お世話様です」はややくだけた表現です。ビジネスメールでは次の表現が一般的です。
- お世話になっております
例
誤:いつもお世話様です。
正:いつもお世話になっております。
間違いやすい敬語⑩
×お体をご自愛ください → 〇ご自愛ください
「自愛」には体を大切にするという意味が含まれています。
そのため、「お体をご自愛ください」は意味が重複している表現なので誤りです。
例
誤:お体をご自愛ください。
正:ご自愛ください。
間違いやすい敬語⑪
×お伺いさせていただきます → 〇お伺いします
「お伺いする」は「行く」「訪ねる」の謙譲語です。そのため、すでに敬語の意味が含まれています。
そこに「させていただく」を付けると、ややくどい表現になってしまいます。
例
誤:明日そちらにお伺いさせていただきます。
正:明日そちらにお伺いします。
ビジネスでは、シンプルな敬語の方が自然に聞こえることが多いです。
間違いやすい敬語⑫
×ご説明させていただきます → 〇ご説明します
「させていただく」は便利な表現ですが、使いすぎると回りくどい印象になることがあります。
基本的には次の表現で十分丁寧です。
ご説明します
例
誤:これから資料についてご説明させていただきます。
正:これから資料についてご説明します。
間違いやすい敬語⑬
×お会いさせていただきます → 〇お会いします
これも「させていただく」を付けすぎた例です。「お会いします」だけでも十分丁寧な表現です。
例
誤:来週お会いさせていただきます。
正:来週お会いします。
過剰な敬語にならないよう注意しましょう。
間違いやすい敬語⑭
×ご確認してください → 〇ご確認ください
「ご確認してください」は不自然な敬語です。正しくは「ご確認ください」となります。
これは「ご確認」がすでに相手の行為を丁寧に表した言い方(尊敬表現)になっているためです。そのため、そこに「してください」を付けると、言い回しが重なって不自然になります。
例
誤:内容をご確認してください。
正:内容をご確認ください。
間違いやすい敬語⑮
×参考になりました → 〇勉強になりました
「参考になりました」は一見丁寧に聞こえる表現ですが、場合によっては相手の話を評価しているような印象を与えることがあります。そのため、目上の人に対して使うと、やや上から目線に感じられることもあります。
ビジネスの場面では、「勉強になりました」のように、相手から学んだというニュアンスを含む次の表現の方が自然です。
例
誤:大変参考になりました。
正:大変勉強になりました。
間違いやすい敬語⑯
×とんでもございません → 〇とんでもないことです
「とんでもない」は、「思いもよらない」「とても考えられない」といった意味を持つ一つの形容詞の言葉です。そのため、「とんでもない」に「ございません」を付けると、文法的には不自然とされています。
丁寧に言う場合は次のような表現が自然です。
例
誤:とんでもございません。
正:とんでもないことです。
間違いやすい敬語⑰
×お名前を頂戴してもよろしいですか → 〇お名前をお伺いしてもよろしいですか
「頂戴する」は「物をもらう」という意味で使われることが多い言葉です。そのため、「名前を頂戴する」という表現はやや不自然に感じられる場合があります。
相手の名前を聞く場合は、「聞く」の謙譲語である 「お伺いする」 を使う方が自然で丁寧です。
例
誤:お名前を頂戴してもよろしいでしょうか。
正:お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。
このように言い換えることで、より自然で丁寧な敬語表現になります。
間違いやすい敬語⑱
×取り急ぎご連絡します → 〇取り急ぎご連絡いたします
「取り急ぎご連絡します」でも意味は通じますが、「します」はややカジュアルな印象になることがあります。ビジネスメールでは、より丁寧な謙譲表現である 「いたします」 を使う方が一般的です。
「いたします」は「する」の謙譲語であり、自分の行為をへりくだって表現する言い方です。そのため、取引先や上司への連絡では次の表現がよく使われます。
例
誤:取り急ぎご連絡します。
正:取り急ぎご連絡いたします。
間違いやすい敬語⑲
×おっしゃっておられました → 〇おっしゃっていました
「おっしゃっておられました」は「おっしゃる」と「おられる」が重なっているため、ややくどい表現になります。
そのため、次のようにするのが自然です。
例
誤:部長がおっしゃっておられました。
正:部長がおっしゃっていました。
間違いやすい敬語⑳
×おっしゃられる → 〇おっしゃる
これは二重敬語の代表例です。
「おっしゃる」は「言う」の尊敬語であり、すでに敬意を表す言葉になっています。そこにさらに尊敬の意味を持つ「られる」を付けると、敬語が重なって不自然な表現になります。
そのため、正しい言い方は次の通りです。
例
誤:社長がおっしゃられる通りです。
正:社長がおっしゃる通りです。
まとめ
本記事の内容をまとめると、以下のようになります。
| NG敬語 | 正しい言い方 |
|---|---|
| 了解しました | 承知しました |
| ご苦労様です | お疲れ様です |
| なるほどですね | おっしゃる通りです |
| よろしかったでしょうか | よろしいでしょうか |
| 拝見させていただきます | 拝見します |
| おっしゃられました | おっしゃいました |
| ご覧になられましたか | ご覧になりましたか |
| ご教授ください | ご教示ください |
| お世話様です | お世話になっております |
| お体をご自愛ください | ご自愛ください |
| お伺いさせていただきます | お伺いします |
| ご説明させていただきます | ご説明します |
| お会いさせていただきます | お会いします |
| ご確認してください | ご確認ください |
| 参考になりました | 勉強になりました |
| とんでもございません | とんでもないことです |
| お名前を頂戴してもよろしいですか | お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか |
| 取り急ぎご連絡します | 取り急ぎご連絡いたします |
| おっしゃっておられました | おっしゃっていました |
| おっしゃられる | おっしゃる |
敬語は丁寧に話そうとするほど、かえって間違えてしまうことも少なくありません。特にビジネスシーンでは、二重敬語や過剰な敬語が知らないうちに使われていることがあります。ぜひ今回の内容を参考に、普段の言葉づかいを見直してみてください。