「申告」と「申請」の違いとは?意味と使い分けを解説

「申告」と「申請」は、どちらも行政機関などに必要な情報を伝える場面で使われる言葉です。しかし、両者は手続きの目的や相手に求めていることに違いがあります。

日常生活では「確定申告」や「補助金の申請」など、さまざまな場面で使われるため、それぞれの意味を正しく理解しておくことが大切です。本記事ではそれぞれの意味を、具体例を交えてわかりやすく解説していきます。

目次

「申告」の意味

「申告(しんこく)」とは、自分に関係する事実や状況、必要な事項などを相手に申し出ることをいいます。「申」は「申し述べる」、「告」は「知らせる」という意味を持つ漢字なので、「申し述べて知らせる」という意味合いがあります。

「申告」は、税金に関する手続きで特によく使われる言葉です。代表的なものが「確定申告」で、1年間の所得や控除などを計算し、税務署に必要な事項を届け出ます。この場合、何かの許可を求めるというよりも、自分の所得などについて必要な情報を伝えることが中心です。

また、税務関係だけでなく、法律や制度に基づいて一定の事実を届け出る場面でも「申告」が使われます。つまり、「自分に関係する事実や内容を、必要な相手に知らせる」というのが「申告」の基本的なイメージです。

ただし、申告した内容について、行政機関などが確認したり、税額を決定したりすることはあります。そのため、「申告したら相手は何も判断しない」という意味ではありません。

「申告」の例文

  1. 会社員の彼は、今年の所得金額を税務署へ申告しました。
  2. 必要な書類をそろえたうえで、期限までに申告を済ませます。
  3. 所得税の確定申告では、収入や控除額などを正しく記載します。
  4. 変更があった場合には、その内容を速やかに申告してください。
  5. 自治体から求められた事項について、正確な内容を申告しました。

「申請」の意味

「申請(しんせい)」とは、行政機関や会社などに対して、許可や認可、交付などを求めるために申し出ることをいいます。「申」は「申し述べる」、「請」は「願い求める」という意味を持つ漢字です。そのため、「申請」には、必要な手続きをしたうえで、相手に何らかの対応を求めるという意味があります。

「申請」は、パスポートや補助金、各種許可などの手続きでよく使われます。たとえば、補助金を受けたい場合には、必要な書類を提出して申請し、審査を受けることになります。内容が認められれば、補助金の交付を受けられるという流れです。

また、会社などでも「休暇を申請する」「経費の精算を申請する」などの表現があります。この場合も、単に事実を伝えるだけではなく、休暇を認めてもらったり、費用を支払ってもらったりすることを求めています。

したがって、「申請」は「何かをしてほしい、認めてほしい」という意思を相手に伝える手続きと考えると分かりやすいでしょう。

「申請」の例文

  1. 新しいパスポートを取得するため、窓口へ申請書を提出しました。
  2. 補助金を受けるには、必要事項を記入して申請する必要があります。
  3. 休暇を取りたい社員は、事前に上司へ申請を行うことになっています。
  4. 更新を希望する場合は、期限までに必要な手続きを申請してください。
  5. オンラインで申請したところ、数日後に受付完了の通知が届きました。

「申告」と「申請」の違い

「申告」と「申請」の違いは、次のように整理することができます。

項目申告申請
意味事実・状況などを申し出る許可・交付などを求めて申し出る
目的必要な事項を知らせる希望する処分やサービスを受ける
相手の判断必ずしも許可を必要としない審査・判断が行われることが多い
代表例確定申告、所得申告パスポート申請、補助金申請
イメージ「このような事実があります」「これを認めてください」

両者の大きな違いは、「何を相手に伝え、何を求めているのか」という点にあります。「申告」は、所得や状況など、自分に関係する事実や必要事項を相手に知らせることが基本です。代表的な「確定申告」でも、自分の所得や控除などを計算し、その内容を税務署へ届け出ます。

一方、「申請」は、単に情報を伝えるだけではなく、許可や交付などを受けることを求める手続きです。補助金を申請する場合なら、「自分はこの条件に該当するので、補助金を交付してください」という意思を示すことになります。申請を受けた側は、条件を満たしているかなどを確認し、その結果に応じて許可や交付などを行います。

つまり、「申告」は「必要なことを知らせる」という性格が強く、「申請」は「希望することを求める」という性格が強いといえます。ただし、実際の制度では、申告した内容を行政機関が確認したり、申請に対して形式的な審査だけが行われたりすることもあります。そのため、「申告なら相手は何も判断しない」「申請なら必ず許可される」と考えるのは適切ではありません。

「申告」と「申請」の使い分け

それでは、実際に両者をどのように使い分ければよいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け方を簡単に示します。

①事実や状況を知らせる場合⇒「申告」

事実や状況を相手に知らせるときは「申告」を使います。特に、所得や税額など、自分の状況について必要な事項を届け出る場面で使われることが多い言葉です。

②許可や交付などを求める場合⇒「申請」

何らかの許可や交付、サービスなどを受けたいときは「申請」を使います。相手に希望を伝え、その内容について審査や判断を受ける場合には、「申請」が適しています。

③行政手続きの名称が決まっている場合⇒「制度上の用語に従う」

行政手続きでは、制度や法律によって「申告」「申請」などの名称が定められている場合があります。そのため、意味だけを考えて自由に言い換えるのではなく、実際の手続きで使われている正式な名称を確認することが重要です。

※「知らせるなら申告、求めるなら申請」という考え方は基本的な目安です。実際の公的手続きでは、それぞれの制度によって用語の使われ方が決まっているため、正式な手続き名に合わせると誤解を防げます。

まとめ

この記事では、「申告」と「申請」の違いを解説しました。

「申告」は、自分に関係する事実や状況などを相手に知らせることを意味し、確定申告などで使われます。一方の「申請」は、許可や交付などを受けるために相手へ申し出ることで、補助金申請やパスポート申請などが代表的です。

「申告」は必要な事項を知らせること、「申請」は希望する許可や交付などを求めることと考えると、それぞれの違いを理解しやすくなります。

この記事を書いた人

大学卒業後、出版会社へと就職。退職後はフリーライターとして独立し、現在は言葉の意味や違いなど、日々の生活やビジネスに役立つ情報を発信しています。皆さんに「なるほど」と思ってもらえる内容をお届けすることを心がけています。




目次