
文章を書くとき、「繰り返し」と「繰返し」のどちらを使えばよいのか迷ったことはないでしょうか。どちらの表記も見かけるため、正しい書き方が分からず戸惑う人も少なくありません。
特に、公用文やビジネス文書では表記の統一が求められるため、送り仮名の違いは気になるところです。そこで本記事では、「繰り返し」と「繰返し」の違いや、公用文ではどちらを使うべきなのかを分かりやすく解説します。
「繰り返し」の意味
まずは、「繰り返し」という言葉の意味を確認しておきましょう。
「繰り返し」とは、同じことを何度も行うこと、または同じ状態が続くことを意味します。動詞「繰り返す」の連用形であり、日常会話から文章表現まで幅広く使われる言葉です。
たとえば、説明を何度も行う場合や、同じ作業を何回も実施する場合などに用いられます。
例文は次の通りです。
- 同じ作業を繰り返し行うことで、手順を覚えた。
- 重要な内容は、会議の中で繰り返し説明された。
- 練習を繰り返し行うことで、技術が向上する。
- この問題は、過去にも繰り返し議論されてきた。
- ミスを繰り返し発生させないように、作業手順を見直した。
このように、「繰り返し」は日常的にもビジネス文書でもよく使われる一般的な表記です。
「繰返し」の意味
一方、「繰返し」は「繰り返し」と同じ意味を持つ言葉です。意味そのものに違いはなく、送り仮名を省略した表記という位置づけになります。
日本語には、複合語の送り仮名を省略する書き方があり、「繰返し」もその一つです。例えば、次のような語も同様に、送り仮名を省略した形が使われることがあります。
例
- 申込み → 申込
- 取扱い → 取扱
- 打ち合わせ → 打合せ
このように、送り仮名を省略した表記は古くから一定の範囲で使われてきました。
ただし、「繰返し」は現在の一般的な文章ではあまり多く使われていません。新聞や書籍、ウェブ記事などでは、送り仮名を付けた「繰り返し」の表記が主流です。
そのため、特別な理由がない限り、「繰り返し」を使う方が自然な文章になると言えるでしょう。
「繰り返し」と「繰返し」の違い
「繰り返し」と「繰返し」は意味が同じであるため、違いは送り仮名があるかどうかです。
| 表記 | 特徴 |
|---|---|
| 繰り返し | 送り仮名を付けた表記 |
| 繰返し | 送り仮名を省略した表記 |
この違いは、日本語の送り仮名のルールと関係しています。
日本語の送り仮名の基本ルールは、昭和48年に内閣告示として示された「送り仮名の付け方」に定められています。このルールでは、複合語の送り仮名について「通則6」という規定があります。
通則6では、原則としてそれぞれの語の送り仮名を付けるとされています。しかし、読み間違えるおそれがない場合には、送り仮名を省略してもよいという「許容」が設けられています。
そのため、一般的な文章では「繰り返し」と「繰返し」のどちらも間違いとは言えません。ただし、現在の日本語では送り仮名を付けた形が一般的であり、多くの文章では「繰り返し」が使われています。
したがって、文章を書く際には「どちらが正しいか」だけでなく、「どのような場面で使うのか」を意識することが大切です。特に不特定多数の読者が読む文章では、一般的で分かりやすい表記を選ぶ方が無難と言えるでしょう。
公用文ではどっちを使う?
では、公用文ではどちらを使うべきなのでしょうか。
公用文の表記には、「公用文における漢字使用等について」という内閣訓令があります。このルールでは、公用文における送り仮名も、原則として「送り仮名の付け方」に従うこととされています。
ただし、公用文では次のような運用がされています。
- 原則:送り仮名を付ける
- 例外:特定の語のみ省略を認める
つまり、送り仮名を省略できる語は、あらかじめ例として挙げられている語に限られるという考え方です。
例えば、公用文で送り仮名を省略する例として、次のような語が挙げられています。
例
- 打合せ
- 問合せ
- 届出
- 持込み
- 引渡し
しかし、この一覧の中には「繰返し」という語は含まれていません。
そのため、公用文では送り仮名を省略せず、「繰り返し」と書くのが適切とされています。公文書や行政文書などで表記を統一する場合も、基本的には「繰り返し」を使うのが一般的です。
なお、公用文では表記の統一が重視されるため、同じ文書の中で送り仮名の有無が混在しないように注意することも大切です。文章全体で表記をそろえることで、読み手にとって分かりやすく整った文書になります。
まとめ
本記事の内容をまとめると、以下のようになります。
| 項目 | 繰り返し | 繰返し |
|---|---|---|
| 意味 | 同じことを何度も行うこと | 「繰り返し」と同じ。 |
| 表記の特徴 | 送り仮名を付けた表記 | 送り仮名を省略した表記 |
| 一般的な使用 | 現在の日本語ではこちらが主流 | あまり一般的ではない |
| 公用文での扱い | 使用される(基本はこちら) | 原則として使用しない |
「繰り返し」と「繰返し」は意味は同じですが、送り仮名の有無や公用文のルールによって使い方が異なります。特に公用文では表記の統一が重視されるため、正しい基準を理解しておくことが重要です。
文章を書く際に迷った場合は、基本的に「繰り返し」を使えば問題ありません。特に公用文やビジネス文書では、「繰り返し」と書くことで統一された分かりやすい表記になります。