
文章を書いているとき、「カンマ」と「コンマ」という言葉をよく目にします。しかし、この二つの違いは何なのか疑問に思ったことはないでしょうか?
どちらも似たような意味に思えますが、実は両者には微妙な違いがあります。この記事では、「カンマ」と「コンマ」の違いを分かりやすく解説します。
「カンマ」と「コンマ」の違い
「カンマ」と「コンマ」の違いを簡潔に説明すると、以下のようになります。
- 「カンマ (comma)」:英語の発音に由来した表記。
- 「コンマ (komma)」:オランダ語の発音に由来した表記。
「カンマ」は英語に由来した表記で、発音は /ˈkɒmə/ (カマ)と聞こえます。現代の日本では、主にこの「カンマ」という呼び方が一般的です。
一方、「コンマ」はオランダ語に由来した表記で、発音は /ˈkɔmaː/ (コンマ)と聞こえます。かつては、日本語において「コンマ」という呼び方が主流であった時代もありました。その時の名残りがあり、現在でも「コンマ」という言葉が残っています。
このように、同じ記号を指していても、どの国の言語から日本へ入ってきたかによって呼び方が異なるということです。
「カンマ」と「コンマ」の使い方
「カンマ」と「コンマ」は、意味自体に違いはないです。呼び方に違いがあるだけで、どちらも同じ記号である「,」を指します。しかし、その使われ方には若干の違いがあります。
一般的な用法
一般的には、「カンマ」を使うことの方が多いです。例えば、文章中で単語を区切る場合、数字の桁を区切る場合などは「カンマ」を使います。
また、プログラミング言語の区切り記号として用いる場合にも「カンマ」を使います。
特殊な用法
陸上競技などで僅差の時間を表現する場合、「コンマ1秒」のように「コンマ」が使われることがあります。これは、「コンマ」という言葉の持つ、より微細なニュアンスが僅差を表現するのに適しているためと考えられます。
また、小数点を「コンマ」と言い表すこともあります。例として、「コンマ0.3秒」などがあります。
このように、細かい数値を表現し、わずかな違いを強調するような場面では、「コンマ〇秒」という言い方が使われることが多いです。
「カンマ」が使われるようになった理由
日本語における「,」の呼称は、明治時代に西洋の文化と共に導入されました。当初はオランダ語由来の「コンマ」が一般的でしたが、第二次世界大戦後、アメリカの影響力が強まり、英語由来の「カンマ」が広まりました。
その後、1952年には国語審議会が公用文での「コンマ」使用を推奨したものの、現代では「カンマ」の方が主に使われています。
この背景には、戦後のアメリカ文化の浸透に加え、情報技術の発展が大きく影響しています。二十世紀後半になると、コンピューターの普及により、英語の技術用語が多用されるようになり、「カンマ」の使用頻度が増えました。
また、言語は時代とともに変化し、広く使われる言葉が定着する傾向があります。国語審議会の勧告は公用文に限られ、日常会話への影響は限定的であったため、社会全体の変化の中で「カンマ」が優勢になったと考えられます。
特に、現代社会においては、情報技術の発展が「カンマ」の普及を大きく後押ししていると言えるでしょう。
さらに、グローバル化の進展により、国際的な文書や技術仕様書で英語が標準的に用いられることが増えたことも、「カンマ」の普及を加速させた要因として挙げられます。
「カンマ」と「コンマ」の使い分け
「カンマ」と「コンマ」はどちらも「,」という記号を指します。しかし、日本語においては、場面や分野によって使い分けられることがあります。以下に、具体的な使い分けを説明します。
一般的な文章では「カンマ」
日本語の横書き文章では「カンマ」が主に使用されます。特に、学校教育や公的な文書では「カンマ」と呼ばれることが一般的です。
- 例:「彼はりんご,バナナ,みかんを買った。」
- 用途:文中の区切り、リストの区切り
専門分野では「コンマ」
「コンマ」は、ある特定の分野(数学、音楽、印刷業界など)で使われることがあります。
- 数学
- 欧米では小数点の代わりに「コンマ」を使用する国もあります。
- 例:「3,14159(日本では3.14159と表記)」
- 音楽
- 楽譜で短い休止を示す記号を「コンマ」と呼ぶことがあります。
- 印刷業界
- 活版印刷の歴史的な影響で「コンマ」と呼ぶ場合がある。
実際の使い分け
使い分けを表で整理すると、以下のようになります。
用途 | 使用する表現 |
---|---|
一般的な横書きの文章 | カンマ |
数学の表記(小数点の代替) | コンマ |
音楽の休止記号 | コンマ |
印刷業界での記号の呼称 | コンマ |
まとめ
「カンマ」と「コンマ」はどちらも記号「,」を指しますが、その由来と使われ方には違いがあります。
「カンマ」は英語の “comma” に由来し、現代日本語では一般的な横書き文章や数字の区切りなどに使われます。
一方、「コンマ」はオランダ語 “komma” に由来し、かつては日本でも一般的でしたが、現在では数学や音楽、印刷業界などの専門分野で使われることが多くなっています。
日常では「カンマ」を使用しつつ、「コンマ」が特定の分野で使われることを知っておくと、より適切に使い分けることができるでしょう。