「推挙」と「擁立」の違いとは?意味と使い分けを解説

推挙 擁立 違い

「推挙」と「擁立」は、どちらも似たような印象を持つ言葉です。しかし、両者には中心となる考え方や背景事情に明確な違いがあります。

言葉の性質を理解しないまま使うと、相手に誤った印象を与えてしまう可能性があります。本記事ではそれぞれの意味を、具体例を交えてわかりやすく解説していきます。

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目次

「推挙」の意味

推挙(すいきょ)」とは、人物の能力・功績・人柄などを高く評価し、その人物がふさわしいと判断して前面に出す行為を指します。一般的な紹介とは異なり、公的な文書や厳粛な場面で使われることが多い言葉です。

漢字の構成を確認すると、「推」はおし進めること、「挙」は取り立てることを示します。そのため、「推挙」には、“能力を根拠に適任者として押し上げる”という意味合いが含まれます。

たとえば、学会で功績を残した人物を表彰対象として前面に出す場合や、組織内で実績を重視して責任ある立場に立てる場合など、人物の力量が判断の中心にあるときに用いられます。

日常会話ではそれほど用いられませんが、丁寧さや格式を求める文章ではよく使われます。

「推挙」の例文

  1. 委員会は、長年の研究成果を理由に彼を最終候補として推挙した。
  2. 学校は、模範的な行動を評価して生徒を代表の一人として推挙した。
  3. 町内会は、地域活動への貢献を認めて彼を表彰対象として推挙した。
  4. 先輩は、確かな実績を見込んで後輩を中心メンバーとして推挙した。
  5. 取締役会は、その専門性の高さから彼女をプロジェクト責任者に推挙した。
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「擁立」の意味

擁立(ようりつ)」とは、特定の人物を支持し、その人物を前に立てようとして押し上げる行為を指します。特に政治・選挙の場面でよく使われ、支持団体やグループが中心となって人物を立てるという性質が強い言葉です。

漢字の成り立ちを見ると、「擁」は「支える・守る」、「立」は「立たせる」ことを意味します。つまり「擁立」は、“勢力が支援し、中心人物として押し立てる”というニュアンスを持ちます。

たとえば、政党が選挙に出る人物を決める場合や、組織の方向性に合わせてリーダーを前面に立てるときなど、個人の能力そのものよりも支持勢力の意志が重視される場面で使われます。

一般的な人事行為に使うのは不自然なため、使用する場面には注意が必要です。

「擁立」の例文

  1. 政党は、新たな政策を掲げる若手議員を代表候補として擁立した。
  2. 支援団体は、その行動力を評価して彼を次期会長に擁立した。
  3. 地域の有志は、改革を進めるため彼女をリーダーとして擁立した。
  4. 党員たちは、組織の将来像に合う人物を選び、選挙に擁立した。
  5. 後援会は、地元活動の実績を理由に、彼を主要候補として擁立した。
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「推挙」と「擁立」の違い

「推挙」と「擁立」の違いは、次のように整理することができます。

項目推挙擁立
主な意味能力・功績を根拠に適任として押し上げる支持勢力が中心となって人物を押し立てる
主体評価する立場の人・組織支持グループ・団体
重視点力量・実績・適性支持・勢力の意志・戦略
主な場面表彰、役職選出、公的文書政治、選挙、組織内対立が絡む場面
ニュアンス格式があり丁寧支持の力を前面に出す

「推挙」は、人物の能力や徳を高く評価し、適任者として前に立たせることを意味します。主体は個人でも組織でも構いませんが、基本的には「能力や評価に基づいて押し上げる」というニュアンスが強く、格式のある場面で用いられやすい語です。

また、「推挙」はあくまで“押し上げる行為”であり、推挙されたからといって必ずしもその人が地位に就くとは限りません。さらに、「推挙」する側は必ずしも政治的な利害を持つとは限らず、人物の力量や実績が根拠となります。

一方、「擁立」は特定の人物を支持し、その人をある地位に就けるために積極的に後押しすることを指します。「擁する=かばう、支える」という語源からも分かるように、単なる評価や押し上げより踏み込んだ行為で、組織・派閥・政党などが戦略的に人物を立てる場面で用いられます。

「擁立」は、政治や組織内の選挙など、複数の勢力が絡む場面で使われやすく、その人物を“候補として担ぎ上げる”ニュアンスが明確です。

まとめると、「推挙」は人物の能力や実績に基づく丁寧な押し上げ、「擁立」は立場を獲得させるための積極的・組織的な後押しという点に違いがあります。どちらも人を立てる行為ですが、目的の強さや行為の主体、政治性の有無が異なります。

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「推挙」と「擁立」の使い分け

それでは、実際に両者をどのように使い分ければよいのでしょうか?以下に、場面ごとの使い分け方を簡単に示します。

①能力・功績を重視する場合 ⇒ 「推挙」

人物の力量を中心に判断する場面では「推挙」を使います。その人がふさわしいと認めて前に出す場合に適しています。

②政治・選挙で候補を立てる場合 ⇒ 「擁立」

政党や支援団体など、勢力が中心となって人物を押し立てる場面では「擁立」を使います。背景に支持基盤があるときに用います。

③組織内で支持の力を示したい場合 ⇒ 「擁立」

人物の力よりも、団体として誰を前面に立てるかを強調したいときは「擁立」を使います。支持の意志が中心となります。

※誤解を避けるためには、「判断の軸が能力なのか、支持勢力の意志なのか」を意識すると適切に使い分けられます。

まとめ

この記事では、「推挙」と「擁立」の違いを解説しました。

「推挙」は能力・功績などを根拠として人物を前に出す行為であり、「擁立」は支持勢力が中心となって人物を押し立てる行為です。

場面ごとの性質を理解して使うことで、読み手に誤解を与えるのを防ぐことができます。

「推挙」と似た言葉で混同しやすいのが「推薦」です。正しく使い分けたい方は、以下の記事もあわせて読むと理解がより深まります。

「推挙」と「推薦」の違いとは?意味と使い分けを解説

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この記事を書いた人

大学卒業後、出版会社へと就職。退職後はフリーライターとして独立し、現在は言葉の意味や違いなど、日々の生活やビジネスに役立つ情報を発信しています。皆さんに「なるほど」と思ってもらえる内容をお届けすることを心がけています。

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