「です・ます」体と「である」体の違いは?公用文での使い分けを解説

「です・ます」体と「である」体は、どちらも日本語の文章でよく使われる文体です。しかし、公用文を書くときには、どちらを使えばよいのか迷うことがあります。

また、同じ文章の中で両者を混ぜてもよいのか、疑問に感じる人もいるでしょう。本記事では、「です・ます」体と「である」体の違いから、公用文での使い分け、混在させる場合の考え方まで分かりやすく解説します。

目次

「です・ます」体と「である」体の違い

「です・ます」体は、一般に敬体と呼ばれる文体です。「です」「ます」などを文末に用いて、読み手に対して丁寧に伝える文章になります。

一方、「である」体は、一般に常体と呼ばれる文体です。「である」「であった」「であろう」などを用いて、事実や内容を客観的・簡潔に説明する文章に適しています。

例えば、「この制度は利用できます。」は「です・ます」体、「この制度は利用できる。」は常体です。伝えている内容はほぼ同じですが、文章から受ける印象が異なります。

「です・ます」体は、特定の相手に説明したり、読み手に直接語り掛けたりする文章と相性がよい文体です。一方、「である」体は、記録や説明資料など、客観的な記述を重視する文章に適しています。

文化庁の「公用文作成の考え方」では、文書の目的や相手に合わせて常体と敬体を適切に選択することが示されています。法令、告示、訓令などでは常体を用い、通知、依頼、照会、回答など、特定の相手を対象とする文書では敬体を用いることを目安としています。

つまり、「公用文では必ず『である』体を使う」というわけではありません。どのような文書を、誰に向けて作成するのかによって、適切な文体を選ぶことが大切です。

公用文での使い分け

公用文で「です・ます」体と「である」体を使い分けるときは、まず文書の種類と目的を考えます。

例えば、法令、告示、訓令などは、基本的に常体(である体)を用います。規定や制度の内容を客観的に示す必要があるためです。

一方、通知、依頼、照会、回答など、特定の相手に向けて情報を伝える文書では、敬体(です・ます体)を用いることが目安とされています。

また、現在の公用文では、国民に直接向けた広報や解説などについて、読み手に合わせた分かりやすく親しみやすい表現が積極的に認められています。これは、従来の公用文が持っていた硬い印象を見直し、現代の情報発信に対応するためです。

ただし、文書の中で「です・ます」体と「である」体を無秩序に混ぜるのは避けます。文化庁の資料では、一つの文書内では常体と敬体のどちらかで統一することが示されています。なお、引用や従属節、箇条書きなどに異なる文末表現が現れる場合は問題ないとされています。

そのため、「混在は絶対に禁止」と考えるのではなく、文書の基本となる文体を決めた上で、文章の構造上必要な場合には異なる文末表現が現れることもあると理解するとよいでしょう。

公用文の例文で確認

「です・ます」体と「である」体の違いは、同じ内容をそれぞれの文体で表現すると分かりやすくなります。次の例では、意味をできるだけそろえながら、文末表現だけを変えています。

  1. 「この制度は、18歳以上の人が利用できます。」
    「利用できます」は「です・ます」体の表現です。読み手に対して丁寧に説明する文章になります。
  2. 「この制度は、18歳以上の人が利用できる。」
    「利用できる」は常体の表現です。「です・ます」体に比べて、簡潔で客観的な印象になります。
  3. 「申請書は、窓口に提出します。」
    「提出します」は「です・ます」体です。
  4. 「申請書は、窓口に提出する。」
    「提出する」は常体です。このように、動詞の文末を「ます」から常体に変えることで、文体を使い分けられます。
  5. 「この方法が適切です。」
    「適切です」は「です・ます」体の断定表現です。
  6. 「この方法が適切である。」
    「適切である」は常体の断定表現です。「です」と「である」は、どちらも断定を表しますが、文章から受ける印象が異なります。
  7. 「申請期限は3月31日です。」
    「です」は「です・ます」体で用いられる代表的な文末表現です。
  8. 「申請期限は3月31日である。」
    「である」は常体の文末表現です。制度の説明や記録など、客観的に内容を示す文章で使われます。
  9. 「必要な書類は、申請時に提出してください。」
    「提出してください」は、読み手に行動を求める丁寧な表現です。通知や案内など、特定の相手に伝える文章で使いやすい表現です。
  10. 「必要な書類は、申請時に提出する。」
    「提出する」は常体です。規程や手続の説明などで、行うべき手続きを簡潔に示す場合に使われます。

このように、「です・ます」体は丁寧に伝える文章、「である」体は簡潔・客観的に記述する文章という違いがあります。ただし、どちらが優れているということではなく、文書の目的や読み手に応じて使い分けることが重要です。

文体を混在させる場合の注意点

「です・ます」体と「である」体は、原則として一つの文書内で混在させないようにします。

例えば、

この制度は18歳以上の人が利用できます。この制度の対象者は18歳以上である。

とすると、前半が「です・ます」体、後半が「である」体になっています。

このような文章では、どちらかに統一した方が自然です。

この制度は18歳以上の人が利用できます。対象者も18歳以上です。

または、

この制度は18歳以上の人が利用できる。対象者も18歳以上である。

というようにします。

ただし、引用や箇条書きなど、文書の構造上異なる文体が現れる場合まで一律に誤りとする必要はありません。文化庁の「公用文作成の考え方」でも、このような場合は例外として認められています。

さらに、文体をそろえることだけに注意して、文章が回りくどくならないようにすることも重要です。現在の公用文では、冗長な表現を避け、読み手にとって分かりやすい文章にすることが重視されています。例えば、「利用することができる」は「利用できる」、「調査を実施した」は「調査した」とすることで、簡潔にできます。

公用文では、「~すべく」「~ごとく」「~ごとき」などの文語的な表現よりも、「~するように」「~のように」「~のような」など、一般の読み手にも分かりやすい表現を選ぶことが基本です。

そのため、文体を統一することと同時に、難しい表現を避け、必要な情報を簡潔に伝えることも意識するとよいでしょう。

まとめ

本記事の内容をまとめると、以下のようになります。

項目「です・ます」体「である」体
文体敬体常体
印象丁寧・柔らかい客観的・簡潔
主な文末です・ます・でしたである・であった・であろう
向いている文書通知・依頼・照会・回答など法令・告示・訓令など
基本的な考え方特定の相手に伝える場合に用いる客観的に内容を示す場合に用いる
文書内での扱い原則として統一する原則として統一する
現代の公用文読み手に配慮した分かりやすい表現を重視簡潔・客観的な表現を重視
注意点過度に丁寧な表現を重ねない硬くなりすぎないよう注意する

公用文における「です・ます」体と「である」体は、単純に「どちらが正しい」という問題ではありません。文書の目的、相手、媒体などに応じて適切な文体を選ぶことが基本です。

特に重要なのは、文書の中で基本となる文体を決め、原則として統一することです。文化庁の「公用文作成の考え方」でも、一つの文書内では常体と敬体のどちらかで統一することが示されています。

一方で、現在の公用文は、従来の硬い文章だけを想定しているわけではありません。2022年に示された「公用文作成の考え方」では、国民に直接向けた情報発信について、読み手に合わせた分かりやすく親しみやすい書き表し方が積極的に認められています。

したがって、「公用文だから難しい表現を使う」のではなく、正確さを保ちながら、読み手が理解しやすい文章にすることが大切です。

なお、昭和27年の「公用文改善の趣旨徹底について」は、2022年1月11日に廃止されています。そのため、昔の公用文ルールを現在の公用文にそのまま当てはめるのではなく、現行の「公用文作成の考え方」を基準に確認する必要があります。

この記事を書いた人

大学卒業後、出版会社へと就職。退職後はフリーライターとして独立し、現在は言葉の意味や違いなど、日々の生活やビジネスに役立つ情報を発信しています。皆さんに「なるほど」と思ってもらえる内容をお届けすることを心がけています。




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