「ある・有る・在る」の違いや使い分け|公用文の正しい表記を解説

「ある」という言葉は日常生活の中で頻繁に使われます。しかし、文章を書いていると「ある」「有る」「在る」のどれを使えばよいのか迷った経験がある人も多いのではないでしょうか。

特に公用文やビジネス文書では、表記のルールを意識する必要があります。実は、「ある」「有る」「在る」にはそれぞれ異なる役割があります。

本記事では、それぞれの意味の違い、公用文での扱い方、具体的な使い分けのポイントをわかりやすく解説します。

目次

「ある・有る・在る」の違い

「ある」は、物事の存在や有無を表す基本的な言葉です。しかし、漢字で表記する場合には「有る」と「在る」があり、それぞれ意味が異なります。

まず、「ある」は抽象的な有無を表す言葉です。問題や感情、考えなど、形のないものが存在していることを示す際に使われます。

一方、「在る」は存在や所在を表す言葉です。建物や場所、人などが実際にどこかに存在していることを強調したい場合に使われます。

さらに、「有る」は所有を表す言葉です。権利や資格、能力などを持っている状態を示します。

つまり、簡単に整理すると次のようになります。

表記意味
ある抽象的な有無
在る存在・所在
有る所有

ただし、現代の一般的な文章では、この違いを厳密に使い分けるケースはそれほど多くありません。多くの場合は、ひらがなの「ある」で表記されます。

「ある」の意味と使い方

ある」は、抽象的な事柄や概念について、その有無を表す場合に使われます。

例えば、問題や課題、不安、意志などは目に見える物体ではありません。そのため、存在場所を示す「在る」や所有を示す「有る」ではなく、「ある」と表記するのが一般的です。

日常会話や新聞記事、Web記事などでも最もよく使われる形といえるでしょう。

実際の例文は次のとおりです。

  1. 大きな問題があるため、計画を見直した。
  2. 今後の課題があることが分かった。
  3. 彼女は将来への不安がある
  4. 彼は成功したいという意志がある
  5. 改善の余地があると考えている。

このように、「ある」は幅広い場面で使用できるため、迷った場合はひらがなの「ある」を選ぶことが多くなります。

特に一般向けの記事やビジネス文書では、読みやすさを重視してひらがな表記が採用される傾向があります。

「在る」の意味と使い方

在る」は、物や建物、人などが実際に存在していることや、特定の場所にあることを表します。

「存在する」「そこにある」という意味を強調したい場合に使われる表記です。

例えば、「駅前に図書館が在る」という文章では、図書館が実際にその場所に存在していることを示しています。

例文を見てみましょう。

  1. 駅前に図書館が在る
  2. 東京に本社が在る
  3. この町に神社が在る
  4. 山の中に古い寺が在る
  5. 海辺に灯台が在る

これらはすべて、具体的な場所に何かが存在していることを表しています。ただし、現代の日本語では「在る」を使う機会はそれほど多くありません。

例えば、「駅前に図書館がある」と書いても意味は十分伝わります。そのため、一般的な文章ではひらがなの「ある」が使われることがほとんどです。

「在る」は、文学作品や哲学的な文章、あるいは存在を強調したい場面で見かけることが多い表記といえるでしょう。

「有る」の意味と使い方

有る」は、何かを所有していることや権利・資格を持っていることを表します。

つまり、「持っている」という意味を強調する際に使われる漢字です。

例えば、「権利が有る」という表現では、ある人や組織がその権利を保有していることを示しています。

例文を見てみましょう。

  1. 発言する権利が有る
  2. その業務を行う権限が有る
  3. 応募する資格が有る
  4. 契約を解除する権利が有る
  5. 株主総会では株主に発言権が有る

「有る」は法律文書や規程、契約書などで見られることが多いです。

しかし、一般的な文章では、「権利がある」「資格がある」とひらがなで書かれることが大半です。

そのため、日常的な文章において「有る」を無理に使う必要はありません。所有の意味を明確に示したい場合に限定して用いられる表記と考えるとよいでしょう。

公用文ではどう使い分ける?

文化庁の常用漢字表では、「在る」「有る」という表記が認められています。そのため、理論上は意味によって使い分けることが可能です。

しかし、公用文では必ずしも厳密な使い分けが行われているわけではありません。

実際には、

  • 問題がある
  • 本社がある
  • 権利がある

のように、すべてひらがなの「ある」で統一している自治体や行政機関も数多く存在します。

その理由は、意味による細かな使い分けを行わなくても文章の内容が十分伝わるためです。また、表記を統一したほうが読み手にとって分かりやすいという利点もあります。

したがって、公用文の考え方を整理すると、

  • 意味を厳密に区別するなら「在る」「有る」を使う
  • 読みやすさや統一性を重視するなら「ある」を使う

ということになります。

一般のブログ記事やビジネス文書では、ひらがなの「ある」を使用するのが最も自然で読みやすい表記といえるでしょう。

まとめ

本記事の内容をまとめると、以下のようになります。

表記意味使用例一般文章での使用頻度
ある抽象的な有無問題がある、不安がある非常に多い
在る存在・所在駅前に図書館が在る少ない
有る所有・権利権利が有る、資格が有る少ない

「ある・有る・在る」は、意味の上では「抽象的な有無」「存在・所在」「所有」という違いがあります。しかし、現代の日本語ではひらがなの「ある」が広く使われており、公用文でも統一表記として採用されることが多いです。

そのため、一般的な文章では「ある」を使えば問題ありません。意味を特に強調したい場合のみ、「在る」や「有る」を使い分けるとよいでしょう。

この記事を書いた人

大学卒業後、出版会社へと就職。退職後はフリーライターとして独立し、現在は言葉の意味や違いなど、日々の生活やビジネスに役立つ情報を発信しています。皆さんに「なるほど」と思ってもらえる内容をお届けすることを心がけています。




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