「ただし」と「但し」の違いや使い分け|公用文ではどっちが正しい表記?

文章を書いていると、「ただし」と「但し」のどちらを使えばよいのか迷うことはありませんか。どちらも同じ読み方・同じ意味を持つため、何となく漢字を使っている人も少なくありません。

しかし、公用文には明確な表記ルールがあり、一般的な文章や法律・契約書では使われ方にも違いがあります。この記事では、「ただし」と「但し」の違いや使い分け、公用文での正しい表記について分かりやすく解説します。

目次

「ただし」と「但し」の違い

「ただし」と「但し」は、どちらも前に述べた内容に対して条件や例外、注意事項を付け加える接続詞です。意味そのものに違いはなく、基本的には同じ働きをします。

例えば、「入場は無料です。ただし、事前予約が必要です。」という文では、「入場無料」という内容に対して「予約が必要」という条件を追加しています。このように、前の内容を補足し、例外や制限を示す役割を持っています。

両者の違いは意味ではなく表記の違いです。

現在の一般的な文章では、「ただし」とひらがなで書くのが基本となっています。一方、「但し」は古くから使われてきた漢字表記で、現在でも法律や契約書などの一部の文書で見かけます。

つまり、意味の違いではなく、「どのような文書で使うか」によって表記が異なるということです。

混同されやすい理由として、パソコンやスマートフォンで変換すると「但し」が候補に表示されることが挙げられます。しかし、漢字変換できるからといって、その表記が現在の公用文や一般文章で推奨されているわけではありません。

そのため、日常的な文章やビジネス文書、Web記事などでは「ただし」を使用するのが自然です。

公用文では「ただし」が正しい

公用文では、「ただし」とひらがなで表記するのが原則です。

その根拠となるのが、文化庁の「常用漢字表」と、内閣訓令である「公用文における漢字使用等について」です。

公用文では、常用漢字表を基準として漢字を使用しますが、それとは別に接続詞は原則としてひらがなで表記するというルールがあります。

そのため、「ただし」は漢字の「但し」ではなく、ひらがなの「ただし」を用います。

なお、接続詞の中には例外もあります。法令などで使われる「又は」「若しくは」「及び」「並びに」の4語は漢字表記が認められていますが、「ただし」はこの例外には含まれていません。

また、「ただし書き」についても、公用文では「ただし書」や「ただし書き」とひらがなで表記するのが基本です。

近年では官公庁の通知や自治体の文書でも「ただし」が広く使われており、公用文のルールに沿った表記として定着しています。

一方で、法律の条文や古い規則などでは「但し」という漢字表記が残っている場合があります。これは歴史的な表記慣行によるものであり、現在の公用文の表記ルールとは区別して考える必要があります。

つまり、公用文を書く場合や、公用文に準じた文章を作成する場合は、「ただし」を選ぶのが正しい表記といえます。

「ただし」と「但し」の使い方と例文

「ただし」と「但し」は意味が同じであるため、文章の内容自体は変わりません。しかし、一般的な文章では「ただし」法律や契約書などでは「但し」が使われることが多いです。

次の例文を見れば、使い方の違いが分かりやすく理解できます。

  1. 一般的な文章
    • 入場は無料です。ただし、事前予約が必要です。
    • 本商品は返品できます。ただし、未使用品に限ります。
    • 応募は誰でも可能です。ただし、18歳未満は保護者の同意が必要です。
    • 会議はオンラインで開催します。ただし、役員は会場へお越しください。
    • 駐車場をご利用いただけます。ただし、利用時間は午後10時までです。
  2. 法律・契約書などの例
    • 本契約は1年間有効とする。但し、双方が合意した場合は更新できる。
    • 商品の返品を認める。但し、開封後はこの限りではない。
    • 本規定を適用する。但し、特別の定めがある場合を除く。
    • 利用料金は毎月支払うものとする。但し、別途定める場合はこの限りでない。
    • 契約を解除できる。但し、相手方の承諾がある場合を除く。

このように、文章の役割や意味は共通していますが、一般的な文章では「ただし」、法律・契約書などでは慣例的に「但し」という使い分けが行われています。

なお、一般企業のビジネス文書やブログ記事、社内文書などでも、公用文の考え方に合わせて「ただし」とひらがなで書くケースが増えています。そのため、迷った場合は「ただし」を選んでおけば、多くの場面で自然な表記になります。

まとめ

本記事の内容をまとめると、以下のようになります。

項目ただし但し
意味条件・例外・注意を付け加える接続詞条件・例外・注意を付け加える接続詞
意味の違いなしなし
公用文○(原則はこちら)×
一般的な文章△(あまり使われない)
ビジネス文書△(契約書などを除く)
Web記事
法律・契約書○(近年は増加傾向)○(慣例的に多い)
表記の考え方現在の公用文・一般文章の標準法律・契約書などに残る慣用表記

「ただし」と「但し」は、意味に違いはなく、どちらも前の内容に条件や例外、注意事項を付け加える接続詞です。違いは意味ではなく表記ルールにあります。公用文では、文化庁の指針に基づき、接続詞は原則としてひらがなで表記するため、「ただし」が正しい表記となります。

一方、「但し」は法律や契約書などで古くから使われてきた慣例的な表記であり、現在でも法令や約款などでは見かけることがあります。しかし、一般的な文章やビジネス文書、ブログ記事では、「ただし」を用いるのが自然で読みやすい表記です。

迷った場合は、一般文章・公用文・Web記事では「ただし」、法律や既存の契約書では文書の慣例に従って「但し」と考えると、適切に使い分けられるでしょう。

この記事を書いた人

大学卒業後、出版会社へと就職。退職後はフリーライターとして独立し、現在は言葉の意味や違いなど、日々の生活やビジネスに役立つ情報を発信しています。皆さんに「なるほど」と思ってもらえる内容をお届けすることを心がけています。




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