「なる」と「成る」の違いや使い分け|公用文の正しい表記を解説

文章を書いていると、「なる」と「成る」のどちらを使えばよいのか迷うことがあります。普段はひらがなで見かけることが多い一方で、新聞や公的な文書では漢字表記を目にすることもあります。

実は、この二つは単なる表記の違いではなく、公用文では一定のルールに基づいて使い分けられています。意味によって表記が変わるため、正しい使い方を理解しておくことが大切です。

本記事では、「なる」と「成る」の違い、公用文での考え方、具体的な使い分けのポイントをわかりやすく解説します。

目次

「なる」と「成る」の違い

「なる」と「成る」はどちらも同じ読み方をしますが、意味や用法によって表記が異なります。

一般的に、状態の変化や結果を表す場合は「なる」を用います。一方で、構成する・完成する・成功するという意味を持つ場合は「成る」と表記します。

例えば、「医者になる」「春になる」のような表現は、ある状態へ変化することを表しています。この場合はひらがなの「なる」を使います。

これに対して、「五人のメンバーから成る」「計画が成る」「優勝成らず」などは、構成や完成、実現といった意味を持つため、「成る」を使います。

つまり、単純に漢字とひらがなの違いではなく、言葉が持つ意味によって表記が分かれるのが特徴です。

公用文における表記の考え方

公用文では、文化庁の「常用漢字表」や政府の「公用文における漢字使用等について」が基準となっています。

公用文では、原則として常用漢字表に掲載されている漢字を使用します。しかし、すべてを機械的に漢字にするわけではありません。読みや意味、慣用的な使い方を考慮して表記が決められています。

「なる」の場合、日常的な状態変化を表す用法では、ひらがなで書くことが一般的です。

例えば、「予定どおり完成することになる」「責任者になる」「来月から実施することになる」といった表現では、ひらがな表記が自然です。

一方、「構成する」「完成する」「実現する」といった意味が明確な場合は、「成る」という漢字表記が認められています。

そのため、公用文では単に漢字を使うかどうかではなく、言葉がどのような意味で使われているかを判断することが重要です。

「なる」と「成る」の例文

実際の使い方を例文で確認してみましょう。

「なる」を使う例文

  1. 彼がチームのリーダーになる予定です。
  2. 合計金額は、一万円になることが確定した。
  3. 春になると、桜が咲き始めるのは恒例だ。
  4. 将来は、教師になるのが夢です。
  5. 予定どおり進めば、来月には建物が完成することになる

これらはすべて、状態の変化や結果を表しています。

「成る」を使う例文(構成の意味)

  1. この委員会は、五人の委員から成る
  2. 日本列島は、複数の島々から成る
  3. このコースは、三つの科目から成る
  4. 研究チームは、専門家十名から成る
  5. この制度は、複数の仕組みから成る

これらは「構成する」という意味で使われています。

「成る」を使う例文(完成・成功の意味)

  1. 長年の計画が、ついに成った
  2. 新しい橋が、無事に成った
  3. 交渉は最後まで続いたが、合意には成らなかった
  4. 悲願の優勝は、惜しくも成らずに終わった。
  5. 新事業が、ようやく形と成った

こちらは完成や実現、成功の意味を表しています。

迷いやすいポイント

「なる」と「成る」の使い分けで迷う最大の理由は、どちらも変化を表しているように見えることです。

例えば、「社長になる」はひらがなですが、「計画が成る」は漢字です。この違いは、単なる変化なのか、それとも完成や実現なのかにあります。

「社長になる」は身分や立場の変化です。一方で、「計画が成る」は計画が実現することを意味しています。

また、「~から成る」という表現は公用文やビジネス文書でも頻繁に登場します。これは「構成される」とほぼ同じ意味であり、漢字表記が適切です。

反対に、「~になる」は日常的な変化を表すため、ひらがな表記が基本です。迷ったときは、「構成する・完成する・成功する」の意味があるかどうかを確認すると判断しやすくなります。

なお、公用文では「成る」が使われる場面はそれほど多くありません。実際には、「~から成る」のように構成を表す表現や、「成らず」のような慣用的な表現で用いられることが中心です。

「計画が成る」「事業が成る」といった表現は意味としては誤りではありませんが、現代の行政文書やビジネス文書では「計画が実現する」「事業が成立する」などの表現が使われることが一般的です。

そのため、公用文では意味だけで機械的に「成る」を使うのではなく、慣用的な用法かどうかも考慮する必要があります。

まとめ

本記事の内容をまとめると、以下のようになります。

表記意味
なる状態の変化・結果医者になる、春になる
なる身分や立場の変化社長になる、責任者になる
成る構成する五人の委員から成る
成る完成する橋が成る、工事が成る
成る成功する・実現する優勝成らず、計画が成る

「なる」と「成る」は同じ読み方でも意味によって使い分けられます。一般的な状態変化や結果を表す場合は「なる」を使い、構成する・完成する・成功するという意味を表す場合は「成る」を使うのが基本です。

特に公用文やビジネス文書では、言葉の意味に応じた表記が求められます。迷ったときは、「状態変化なら「なる」、構成・完成・成功なら「成る」という基準を意識すると判断しやすいでしょう。

この記事を書いた人

大学卒業後、出版会社へと就職。退職後はフリーライターとして独立し、現在は言葉の意味や違いなど、日々の生活やビジネスに役立つ情報を発信しています。皆さんに「なるほど」と思ってもらえる内容をお届けすることを心がけています。




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